おひげのこと
おひげ、とは私が預かっている双子の仔猫の女の子の名前だ。鼻にぶちがあるのでおひげという名前だと言われて預かった。うまくいけば1カ月ほどでうちを離れていく、おちびちゃん。
おひげはおでこ、という名前の男の子の双子のカタワレと一緒にうちに来た。保護猫で、生後2カ月で里親探しの会に出るまでの間、うちで預かっている。私にとっては人生初の預かりボランティア。保育園の先生とか肝っ玉母ちゃんとは程遠く、新米ママですらない。いかにもお世話係という雰囲気だけど、やってきてから5日目。この短い期間でもそれなりにいろいろありました。
元気で好奇心旺盛、人懐っこいおでこ(男の子の方)は着いて早々から部屋中を歩きまわって自分で遊んだり、おでこにプロレスを仕掛けたり、ご飯も食べてうんちもして、大きなストレスを感じている感じはない。一方のおひげ。歩きまわりはするものの、寝ている時間も長くて、なにより、ごはんを食べない。
初日はほぼごはんを食べず、見ている間は水も飲まなかったおひげ。でも持ってきた毛布に顔をうずめてゴロゴロ大きな音で喉を鳴らしながらチュッチュし続けているし、弱っているふうでもないし、シッコもウンチもちゃんとしていたので様子をみてみることにした。
翌日もごはんを食べない。もともと好き嫌いがあったようで、そう言えばもらった総合栄養食の缶詰は嫌いみたいって言ってたな、とミルクをあげてみるがこれもいらない。カリカリはまだ食べられないらしく、大きな塊は食べられない様子。赤ちゃんって口に食べ物をつけたらペロリとしてみて気に入ったら食べてくれるものだと思っていたのだけれど、おでこにはそれが通じなくて、口についてもそのまんま。汚れていても気にならないのか、口を開けもしない。
保護団体の人からは毎日、体重をはかって一日10gくらい増えてればOKと言われたけれど、500gくらいしかないチビッコが、こんな食餌で10gも増えたら奇跡だ。
さすがになんにも口にしないのはなあ、と思い、薬を飲ませるためのシリンジにミルクを入れて口に流し込んでみる。最初はそれも飲まなかったけれど、タイミングをみてトライしているうちに、少しは飲んでくれるようになった。と言っても10mlとか、よくて20ml。ミルクがいやなのかもと思い、補助食とミルクをまぜて、上澄みをやるもこれは拒否。ネット上では気難しい仔猫にも好評、と書かれていたロイヤルカナンは全滅だ。ミルクだけの方がましだけれど、それも嫌になったら吐き出すので飲ませているうちに口周りがミルク周りになり、それでもぺろぺろもしない。
ふむぅ。仔猫ってこんなに厄介なの?
かてて加えて、保護団体の人も言っていたけれど、なんかウンチくさいなあと思っていたおひげ。うんちもシッコも自分でできるんだけど、なんか変だなと思い、お尻をティッシュで拭いてみたら、少し茶色いものがついてくる。拭いても拭いてもついてくる。ということは、漏れてるってことだ!と気がついて、どうしようかなと思っていたら水様便を出した。
移動によるストレスか、と思ったのだけれど、飲まず食わずの仔猫の水様便とはなかなかの状態だ。なんでこんな繊細な状態で預かりに出したの?と思ったけれど、もう来ちゃったしな、脱水症状にならないように様子をみるしかない。とりあえずタイミングを見て小まめにミルクを飲ませる。飲みたくないのを押し込む分、元気なミルクのみの子よりも手がかかるかも。
有難かったのはそんなことしてても、私が近寄っても怖がったりしないことで、飲むことを完全に拒絶してるわけじゃないからたぶん大丈夫なんだろうな、と思った。
飲みたかったら少しだけ受け入れてくれて、いらなくなったら吐き出す。10mlも飲んでくれないことがほとんどで、作っても作っても捨てないといけない。新しい缶を持ってきてくれたのに申し訳ないけれど、ほとんど廃棄でなくなっちゃうかも。
うんちについてはワンコの時にけっこう勉強したから、毎日出てるうんちやシッコをみて状態を把握できるのは安心だった。臭いや量、色や硬さでみていくのだけど、仔猫なんて特に見た目だけでは分からないことも多いから、排泄物の観察は有効だなーと思う。薬は一度だけ飲ませようとトライしたけれど全然ダメだったのでやめた。でもその後のうんちは硬くなっていて、この子は弱ってるわけじゃないし、ちゃんと選んでるんだな、と思った。
と、ここまでが来てから3日目までのこと。下痢は止まったけれど、ごはんを食べないので強制ミルクの日が丸二日続いて、そろそろだなーと思っていたところで母がおでこの食餌スタイルを発見した。