珈琲

最近、ブラックコーヒーを飲めるようになった。
今のところ、近所のカフェの安いブレンドコーヒーと、自宅で挽いたアメリカンコーヒーしかブラックで飲んだことはないのだけれど、万年お砂糖とミルクをドバドバ入れていた私からすれば大きな進歩だ。

大人になったのかな、と思う。

大人になれたんだろうか。
もう成人してからそこそこ経つけれど、もっと幼かった時の方が、物事をストレートに捉え、思ったことを言い、我慢をしないで人間らしく生きていたような気がする。

思ったことを言わない、周りの空気を読んで我慢する、というのは、なんだか一見まろやかなようで、自分が擦り潰されていくような痛みを伴う。

嫌だ、とか
それちょうだい、とか
つまらない、とか
もっと私を見て、とか
好きだよ、とか

人目を憚って出て行けなかった言葉たちが、漉された後の珈琲豆のように心に積もっていく。
そうやっていろいろ積もったゴミに曇らされて、世界がどんどん窮屈になって、綺麗だったものもそうは見えなくなってしまう気がして。

それじゃああまりにも悲しい。
それが大人になることなのか。そうではないと思いたい。
大人になった証と、苦いのはブラックコーヒーだけで充分なのだから。

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さとうの塩漬け
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