同級生の親が毒親だった話
私の地元は田舎の方で中学生になると
各学区から一つの中学に生徒が集まっていたので
新しい出会いが多かった。
私自身も部活動やクラスで新しい友人が増え
中学校生活に慣れ始め2年生に進級したクラスに今回の話の核でもあるAがいた。
Aは自分とは違う小学校で部活も文化部で性格はとても内気な感じの子だった。
今まで一切関わりがなかったのでこれを機に仲良くなれたらと挨拶程度に少し会話をしAから離れたところ私と同じ部活動のBが駆け寄ってきて
「Aの家って親が過保護で大変らしいからあまり仲良くしないほうが良いかも…」と一言
BはAと同じ小学校の出身だった。
あの時のBの言葉をしっかり受け取っておけば良かったと後に後悔することになる。
それからAとは学校内での行事など会話も増え
休日にたまに遊ぶ程度の交友関係になっていた。
その頃からAも心を開いてくれAからは親関連の相談を聞いていた。
内容は父親が家庭内で権力を持っているので
学校の時間以外は外出が難しいとの事で今日も友人と会うと言ったら数時間説教をされ軟禁されかけたけど何とか逃げるようにしてなんとか出てこれたと言うものだった。
これを聞いた私は
「誘うの控えたほうが良いよね…ごめんね。」
と言ったがAは
「迷惑じゃないよ!!自分が遊びたいから来ているから全然大丈夫」
正直、この時すでにかなり不安ではあった。
頻度も毎週ではなくAとは月に1度、多くて2度程度だったのでまだ大丈夫だよねと過信していた。
数ヶ月後、その日もAが家に遊びに来ていた。
その日は2人で少し外で運動しようと家の庭に出ていた。
暫くして家の電話がずっと鳴っている事に気づきAに電話がかかって来たから少し待っててと言い私は小走りで家にむかい受話器を取る。
「あんたんとこに息子行っとると思うけど帰らせてくれ」
受話器を取った瞬間 もしもし もクソもなくデカい声で自分の主張だけをいきなりしてきた。
そうAの父親だった。
私「すみません。確認なのですがAのお父さんですよね?緊急みたいなのでAには伝えますけど何かあったんですか?」
A父「そうや!お前には関係ない!うちの事だから詮索すんな。
はよ帰るようだけ伝えてくれそうすりゃ帰ってくるわ。
あと前々から思っていたけど今後は息子を遊びに誘うのやめてくれ。
お前の家行くの嫌がってる。
そもそもお前と息子は出来が違うんじゃ!
お前みたいなのとつるんでると息子に悪影響が出るから関わるな。
どう言う神経すればそんな事ができる親の顔見てみたいわ。どうせろくでもない〜」
途中までは私もハイと律儀に相手の言葉に対して相槌を打っていました。
自分の事を言われるまでは耐えていましたが親の事を言われて死ぬほど腹が立ち
私「はいそうですか。わかりました。」
と受話器を叩くように切ったのを今でも覚えています。
親同士の話し合いならヒートアップして言ってしまう事もあるかと思います。
ですが子ども相手で尚且つ他人の子に対してここまで言う時点でAの親は人間的にお察しレベルだったのだと今、思い返しても感じます。
その後は、ぐちゃぐちゃになった感情を押し殺し電話で言われた酷い内容はAに伝えたらダメだと思いながらAのもとにむかい父親から帰ってこいと電話があったとだけ伝えました。
それを聞いたAも理由がわからない様子で
こちらにいくつか質問してきた際に私が堪えきれず泣いてしまい
私「自分と遊ぶのは嫌だったよねごめんね」
と言うとAは
A「父親から何を言われたのかはわからないけれどそんな事ない自分が楽しいから今日も来てる」
Aはそう言ってくれましたが私は「電話があったから今日はもう帰ったほうが良い」と強く伝えると
Aは、ずっと「ごめんごめん」と謝りながら去っていきました。
後日、Aから聞いた話によると
Aはその日の夜初めて親に反抗をしたらしく
今までは言ったら聞いていた息子が物凄い形相で問い詰めてきたので父親は電話で私に対して吐いた言葉を全てAに話したらしい。
父親の言い分はAの弟が熱を出したのでAを早く帰らせたかった。
テンパっていらない事を言ったのでお前から謝っておいてくれとの事だった。
それに対して謝罪するA。
私はAから何かされた訳ではないからAが私に謝る必要はないと答えた。
しかし、自分が言った事を他人に謝らせる様な無責任な大人を許す気はない。とAに伝えごめんねと一言それからAとは気まずくなり疎遠気味になった。
その後、冬の時期だったと思う。
緊急で初のクラス会議が開かれて担任はマジギレしている。
理由は数日前にAが放課後、同級生によって怪我を負ったという内容。
今までクラスメイトの誰かが病院を頼る様な怪我を負っても会議になる事などなかったのでまた
あの父親が学校に怒鳴り込んだんだろうと内心思っていた。
それに加え問題が一つ担任は私を犯人扱いし名指ししてきたのだ。
勿論、そんな事していない…
その時に気付いたのです。
Aの父親が息子の怪我の原因は私と勝手に憶測し担任に見せしめるよう促したらしい。
しかし、その日の放課後は私は部活動でトレーニングをしていたアリバイがあり同じ部活の仲間が擁護してくれ潔白を証明する事ができた。
その後、別の生徒が名乗り出たので事件は解決したが私にとってはこれが生きてきた中で最初に人との縁を自発的に完全に切る瞬間になった。
中学卒業後も一切関らなかったのですが
風の噂で流れてきたのはAは大学に受かったものの1人暮らしを父親が許さず田舎から往復5時間かけて毎日通学しているらしいとの事。
色々な家庭の形があるでしょう
しかし子は親の所有物ではないです。
もしも今、同じように子を躾と称してあらゆる形で縛っている方がいらっしゃいましたらどのタイミングでも遅くはありません。
今一度自身を見直す時間を作っていただきたいです。