大人になって漫画家を目指す人の「時給」という概念。
「漫画を描きたいなぁ」
大人と子どもでは、その意味合いが異なります。
小さい頃から漫画を描いてきている人は、
練習段階ではまだ義務教育中だったりします。
だから、放課後とか長期休暇とかに結構描く時間がとれると思うし、生きるために働きに出ることもありません。
働きに出るのは養っている保護者の人です。
だから顔は模写で身体は棒人間みたいな漫画を1年に5本も10本も、小中学生なら大量に作ることができます。
(私もそんな幼少期を送っていました。
私は重度の手掌多汗症により、汗が滴り落ちて学校の答案用紙が濡れ、破けて字が書けないレベルの困った生活を送っていましたが、
紙工作や、絵を描くのが好きで好きで仕方ありませんでした。
9歳頃から、ページごとに番号を振って、選択肢形式でストーリーを分岐させ、エンディングをいくつも用意したゲームブックをらくがき帳で大量に作っていました。
漫画を原稿用紙で描き始めたのは13歳の頃でした。
ですが辺りをびちょびちょにしながら、
紙を再生不可能なものにしながら、
それでも絵を描き続ける姿は今考えると狂気の沙汰でした。)
「ありがちな話ー」とか「なにその絵ー」とかってダメ出しする人が周囲にいないなら尚更、自由な発想でいっぱい描けるはずです。
そうやって養われながら遊びの延長のように漫画を描いてきた人のやり方が、
必ずしも、大人になって漫画家を目指す人にも当てはまるとは限りません。
一度就職し、培ってきた知識で働いて収入を得た経験のある人が、「漫画を描いて売りたい」と思い立つ時に考えることは。
時給換算でいくらなのか、コスパは良いのか
これに尽きます。
私も夫によく言われます。
夫はイラストや漫画を描く私を応援してくれていますが、
「時給〇〇円もいかないお仕事は受けちゃだめだよ」
と。
確かにそうです。
絵だから漫画だから、無償でもいっぱい練習しましょうね、なんて思われがちですが。
大人になってからは、即戦力がなにより重要となってきます。
描けるのであれば、もう、売らなくてはいけません。
描いてる時の時間は?収入は?
無償で描いてはいけません。
それは私が20代の頃、いろいろなところで言われました。
準備のためならポートフォリオに組み込むなど、必ず意味のあるものに仕上げなければなりません。
描き始めた時点でそれは仕事なのだから。
働きながら睡眠時間を削って、
本業も漫画もパフォーマンスを落として、
「漫画スクールや漫画賞に投稿して…今回は賞金が〇円でした…沢山描きましたが5年前とあまり変わっていません…」
なんてことは絶対あってはならない社会現象だと思っています。
描いた絵は必ず何かに繋げます。
下手で売れないとはどういうことなのか。
これまでの仕事で培ったスキルは何のためにあるのか。
答えは必ず、今まで生きてきた人生にあります。
画力は指摘されてから、職場でやってきたように即座に軌道修正していきます。
社会経験のある大人は、直し方に気付けばすぐに上達します。
大切なのは、絵や漫画を
どんな人が
売るのかです。
職場で信頼関係を築いてきた人なら、必ずそれは文面に現れ、表情や態度に現れます。
存在感のあるその人には必ず依頼は来ます。
「漫画家は時給換算でいくらなのか」
その考えで間違っていません。
無償でダラダラと年5本も10本も量産しないでください。
大量に投稿しても変に名前を覚えられて編集部で悪評が広まるだけです。
3ヶ月かけてもいいです。ただ、1作に対しての期限は必ず決めます。
魂のこもった1作を、期限を決めて、その時点で納得いくかたちで仕上げます。
それを引き金に、仕事に繋がる何かが起こるかもしれないのです。
誰かに強く伝えたいことがあって、漫画を描きたいという気持ちが存在しているのは真実なのだから。
伝えようと強く思ったら、きっと誰かのもとに届きます。ちゃんと伝わります。
…いろいろ書いてますが、人間最も大切なことは「寝ること」だと私は思っています。
文章を書いていて誤字脱字が多くなったら、それはもっとたくさん寝なくてはいけない合図かもしれません。
そんなわけで今日も私は7時間は寝ます。
楽しい明日が来ることを、信じきって。
朝巳そると