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あらすじ小説情報本文『シャキン…シャキン……』 スルっとカットクロスを掠めて、何十センチもある黒い束が床へと落ちていく。 後ろに居るのは明るい髪色で癖毛風の耳にピアスをいくつも付けた、いかにも若そうな男性の美容師だ。 『シャキン……シャキン』 ――あ、短い…… 正面の鏡に自分の姿が映っている。見るからにそういう長さだ。物心ついてから一番短いのではないだろうか。 ――髪を短くしたからと言って、気分は晴れるのかな…… 少し後悔をし始めていた。外は絶え間なく雨