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立山芽以子・華井和代・八木亜紀子『ムクウェゲ医師、平和への戦い「女性にとって世界最悪の場所」と私たち』岩波ジュニア新書

 本書はコンゴ人の婦人科医であるデニ・ムクウェゲさんの活動、そしてコンゴで起きていること、私たちの生活との結びつきについて書かれています。ムクウェゲさんは、「紛争の武器として性暴力が使われることを終わらせようとする努力」を評価され、2018年にノーベル平和賞を受賞しました。本書には次のようなコンゴの女性たちに起きていることが書かれています。

「家の仕事のほとんどは女性がこなしている。女性に暴力を振るうことは、必然的にその家族を痛めつけているのと同じだ。働き者で責任感の強い当地の女性は、家族がつつがなく暮らしていけるよう毎日心を砕いている。そんな女性を襲うことは家族全体を攻撃し、その安全を損なう行為なのだ。と同時に、夫を深く傷つける方法でもある。多くの男性によって、凌辱された妻と暮らすことほど屈辱的なことはないのだから。村々を破壊、蹂躙するのに戦車や爆撃機は必要ない。女性をレイプするだけでいい。それによって生み出されるダメージは通常の戦闘によるものに劣らない。だから民兵や一時的に形成される小規模な武装勢力が、レイプという武器を使うのだ。p71

そして、このような悲劇の背景にはコンゴが豊かな希少価値の高い鉱物資源を有していることにあり、その資源を巡って武装勢力が対立しています。それは、私たちの日常生活にもつながっています。

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