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支離滅裂に見えてしっかりストーリーがあるコウメ太夫のネタをChatGPTに書かせる

1. はじめに

コウメ太夫といえば、

朝はごはん派かと思ったら~、 ニョキニョキペンギンでした~。 チクショー!!

コウメ太夫 #まいにちチクショー 2022年12月28日

といったように支離滅裂な2つの事象に言及した後にチクショー!!と発言するネタが有名です。これらは支離滅裂に見えて実際にはそれなりに筋が通ったストーリーが存在しています。
例えば今の例では本人曰く、朝起きる前は寝ていて立ち上がる(二足歩行)という様をペンギンと称しているようです。

既にネットではコウメ太夫のネタをChatGPTにやらせている事例を多く見かけていますが、それらは全く関係のない事象を羅列しているだけで上記のような裏側のストーリーが存在しておらず、またニョキニョキペンギンといったような独自性のある表現を出力させることもできていません。ただ単に「〇〇と思ったら〜、〇〇でした〜、」のフォーマットに対して単語をランダムに入れさせているだけです。より本物さを出すために創意工夫をしようとは思わないのでしょうか?

そこで本記事では
一見、支離滅裂に見えるがネタの説明が可能”
という点を重視してChatGPTを教育します。使用バージョンはGPT4です。

2. 方法

2.1 本物のネタとその解説の学習

まずは本人によってネタの解説が行われている事例を学習させます。

特にスッキリで披露されたネタは番組内で説明を求められており、たくさんのサンプルを入手することができます。
以下にChatGPTに入力したネタと簡単な解説の例を載せます。

加藤浩次さんかと思ったら~、 ひざ掛けプロテインでした~。 チクショー!!

コウメ太夫 #まいにちチクショー 2023年1月6日

解説
加藤浩次はMCとして立って仕事をすることも多く、それによって膝が鍛えられ筋肉で包まれているという様を表現。

高速猫ふんじゃったを弾いてると思ったら~、 酸素たっぷりでした~。 チクショー!!

スッキリyoutubeチャンネル コウメ太夫「チクショー」地上波未公開③

解説
高速で猫踏んじゃったを弾くということは高速で手が動いていることであり、空気がたくさん手に当たるということが起こり得る。

ジングルベルジングルベルかと思ったら、キャンドル食ったら歯が折れたでした。チクショー!!

スッキリ コウメ太夫2020冬チクショー!!ネタ 企画にて

解説
主人公はクリスマスでケーキを買えずにお腹が空きキャンドルを食べてしまった。

フ~ドコ~トかと思ったら~、 バリョウムコ~トドロドロフンコロガシ逃げるでした~。 チクショー!!

コウメ太夫 #まいにちチクショー 2020年4月30日

解説
バリウムがたくさん含まれたフードコート(フードのついたコートを指すようです)はドロドロに溶けて必死にフンを転がしてるフンコロガシが誤って飲んじゃったらフンコロガシのフンも白くなっちゃうからさすがに逃げる。

当然解説ありのみのネタでは個数に限界があるため、それ以外のネタも解説なしで複数個学習させています。

そして出力させたものがこちらです。

「春の花見に行こうと思ったら〜、秋の紅葉でした〜。チクショー!!」

このネタでは、季節感の誤認という、予想外の事態を提示します。観客は春に花見に行くことを想像しますが、結果として秋の紅葉が出てくるという意外な結末になっています。

GPT-4の出力

さすが最新AI、あまりにも論理的です。初期のコウメ太夫だったらこのくらいの方があり得そうですね。
残念ながら現在のコウメ太夫はここまでの前後関係をもたせるようなことはありません。

2.1 支離滅裂の追求

より前後関係を支離滅裂にしてほしいと要望します。

前に送った京野菜のネタとかフンコロガシのネタくらい「思ったら」と「でした」の関係を一見すると支離滅裂にしてほしいです。

入力

なるほど、その特徴的な部分を理解しました。再度、新しいネタを考えてみます:

「人間ロケットに乗って宇宙を目指そうと思ったら〜、カブトムシが羽ばたいていました〜。チクショー!!」

このネタでは、観客は人間がロケットに乗って宇宙に行くことを想像しますが、結果としてカブトムシが羽ばたいているという意外な結末になっています。ロケットとカブトムシは一見関連性がないように見えますが、両方とも空を飛ぶという共通点があります。

GPT-4の出力

だいぶいい感じになりましたが、まだ前後関係のイメージはしやすいため完全なコウメ太夫とは言えません。

一度これらの出力を本物のネタと比較し相違点を考えてみます。
例えばニョキニョキペンギンのネタの場合

朝ごはん→起きる→二足歩行→ペンギン

というように連想が複数回必要なことがわかります。一方でChatGPTの提案したネタは一回の連想でたどり着けてしまいます。この点を伝えて新たなネタを考えてもらいます。

かなりいい感じなのですが、今のネタでは共通点は一回の連想だけでたどり着ける状態となっています。これを複数回の連想でないとたどり着けないようにしてほしいです。例えばニョキニョキペンギンのネタでは、朝ごはん→寝ていた状態から起き上がる→二足歩行になる→ペンギンとそのさまを表すニョキニョキ、という関係になっており複数の連想が必要になります。

入力

ご指摘ありがとうございます。多段階の連想を必要とするネタを考えてみます:

「銀行で大金を引き出そうと思ったら〜、石油王のバスタオルでした〜。チクショー!!」

このネタでは、観客は銀行で大金を引き出すというシチュエーションを想像しますが、結果としてそれが石油王のバスタオルだったという意外な結末になっています。一見、銀行とバスタオルは無関係に見えますが、以下のような多段階の連想により関連性を見出すことができます:

銀行で大金を引き出す → 豊かさや贅沢を想像する
豊かさや贅沢 → 石油王(一般的に大富豪とされる)を想像する
石油王 → バスタオル(生活の一部であり、石油王ならば高級なものを使っていると想像できる)

これにより、一見無関係な事象でも何らかの関連性やストーリーが生まれます。

GPT-4の出力

まだ関連性の予想は簡単にできてしまいます。

2.3 本文そのものの意味不明さの付加

他にも本物と異なる要素を考えてみます。
ChatGPTの出力した文章は正しい日本語であるためそれだけでしっかりと意味がわかります。しかし本物のネタではニョキニョキペンギンというように本文自体の内容が意味不明である場合が多く存在します。

あとはネタ本文も状況を全て説明する必要はないとおもいます。これまでの会話で説明したジングルベルジングルベルかと思ったら〜のネタではお腹が空いている点は触れられていましたし、クリスマスであるということを直接述べてません。また、フンコロガシのネタではフードコートという単語で誤解を誘発していました。ニョキニョキペンギンもこれだけでは何を意味しているかわかりません。これらの技法により「思ったら〜」前後の関係の支離滅裂さをより増やせるのではないでしょうか

入力

なるほど、非常に鋭い指摘ですね。全てを説明するのではなく、観客が自分で考える余地を残すことで、ネタがより深みを持つ、と。その上でネタの前後の関係をより支離滅裂にするための工夫も重要だと理解しました。

それを踏まえて、新たなネタを作ってみます:

「バイオリンの練習でヴィヴァルディを弾こうと思ったら〜、カエルの合唱団でした〜。チクショー!!」

このネタでは、観客はバイオリンの練習を通じてヴィヴァルディの音楽を奏でることを想像しますが、結果としてそれがカエルの合唱団だったという意外な結末になっています。一見、バイオリンとカエルは無関係に見えますが、以下のような多段階の連想により関連性を見出すことができます:

バイオリンの練習 → 音楽、音の出るものを想像する
音の出るもの → 自然の音を想像する(音楽は元々は自然の音を模倣したもの)
自然の音 → カエルの合唱(自然の中で特徴的な音を出す)

全てを説明せず、観客が自分で考える余地を残すことで、ネタの前後の関係がより支離滅裂に見えるようになると思います。

GPT-4の出力

まだわかりやすいですがこちらの意図は理解してそうです。

2.4 フィードバック方式で改良

これ以上は私自身が感じた違和感を言語化し、指示をすることが難しいため「複数個の出力に対して私がフィードバックを行う」というスタイルで精度を高めて行きます。

もちろんです、それでは以下にいくつかのコウメ太夫風のネタを考えてみます:

「ハワイアンパンケーキを焼こうと思ったら〜、ビキニアーマーでした〜。チクショー!!」
ハワイアンパンケーキ → ハワイ、トロピカルなイメージ
トロピカル → ビーチ、水着
水着 → ビキニアーマー(ファンタジーの世界で女性が着る装甲)

「赤ちゃんのおむつを替えようと思ったら〜、宇宙ステーションでした〜。チクショー!!」
赤ちゃんのおむつ → 重力の影響を受けるもの
重力 → 宇宙(重力の影響が少ない)
宇宙 → 宇宙ステーション

「春の桜を見に行こうと思ったら〜、スノーボードでした〜。チクショー!!」
春の桜 → 季節、自然
自然 → 山
山 → スノーボード(冬季のスポーツ)

それぞれのネタは一見無関係な事象を結びつけていますが、多段階の連想を経てなんとなく納得できる(?)ストーリーを持っています。

GPT-4の出力

すでに全体的にかなりいい感じです。たくさん出力させるアプローチの重要さを感じます。特に2つ目のネタは私の琴線に触れました。

以降、「何番目のネタはいい、何番目は微妙」と評価していき複数個のネタを出力させました。選りすぐりのは最後にまとめます。

2.5 独自言語の創造

ここまでのいくつかの出力と本物のネタを比較したときにニョキニョキペンギンひざ掛けプロテインといったような独自の言語の使い方という要素がまだ再現できていないことに気づきました。
これもフィードバックを行い複数個出力させています。 

これは全部いいです。ただ、これらのネタは文章が完全なものになっています。ニョキニョキペンギンのように意味不明な独自の単語があるパターンもあるともっといいかもしれません。

入力

いいですね、これは3が一番いいです。さっきのフィードバックでいい忘れてた例としてひざ掛けプロテインというのもあるので、カタカナにこだわる必要はないです。

入力

3. 出力結果:選抜AIコウメ太夫 

以上の手順によって得られたAIコウメの中から私の琴線に触れたものを紹介します。

※この中に本物のネタが複数紛れています。あなたはわかりますか?
答えは記事の最後

  1. 鮭のお刺身を食べようと思ったら〜、パラシュート雲でした〜。チクショー!!

  2. 新幹線で旅行に行こうと思ったら〜、カエルのケロリンパでした〜。チクショー!!

  3. プールで泳ごうと思ったら〜、ゲノム編集でした〜。チクショー!!

  4. 人力車がこっちに来るかと思ったら~、 野生のウトヴァラヘルカイトでした~。 チクショー!!

  5. 午前中にジョギングをしようと思ったら〜、ダークマターでした〜。チクショー!!

  6. 熱いお茶を飲もうと思ったら〜、ゴリラのブランコでした〜。チクショー!!

  7. ラインナップに入っているかと思ったら~、 パスポートケースないでした~。 チクショー!!

4. 今後の展望

この記事を書いているときに気づいてしまいましたが今回のAI小梅太夫は、「○○と思ったら~」に対してほとんど動詞(しかも、~しようとするという意味での使用ばかり)、後半は名詞のパターンばかりを生成しているようです。これもChatGPTに伝えればさらに最善が見込めそうです。人間側もコウメ太夫のネタへの理解を深めることでAIと本物の差を減らしていくことができるでしょう。

フィードバックの部分では人間側のセンスに影響されてしまうためもっと笑いのセンスに優れている人が行えばもっとよいAIコウメ太夫にすることができるのではないでしょうか。

5. 感想

単純に「〇〇と思ったら〜、〇〇でした〜、」のフォーマットに従ってください、と指示をするだけでもそのフォーマットに沿った出力を出してくれるのがChatGPTですが、こちらの希望との差を言語化したり言語化が難しい場合は複数候補を出してもらってフィードバックをするということをすることでかなり細かく複雑な要望にもしっかりと答えてくれることが確認できました。

つまり、最初に指示した〇〇の部分の穴埋めをさせるということだけではChatGPTの本来の能力を全く有効活用できていないと言えます。でもそれを知らない(or 目的に対して人間様の入力に誤りがある可能性を考慮してない)人は「なんだ、こんなもんか」と言うわけです。
現状この前者と後者の隔たりがかなりあるように感じます。

自分の宣伝

youtubeでこんなものを作ってます。

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本物

人力車がこっちに来るかと思ったら~、 野生のウトヴァラヘルカイトでした~。 チクショー!!

コウメ太夫 #まいにちチクショー 2023年4月21日

ラインナップに入っているかと思ったら~、 パスポ~トケ~スな~いでした~。 チクショー!!

コウメ太夫 #まいにちチクショー 2023年4月19日

AIコウメ太夫

「鮭のお刺身を食べようと思ったら〜、パラシュート雲でした〜。チクショー!!」
鮭のお刺身 → ピンク色 → 夕焼け → 雲 → パラシュート雲(雲の形)

「新幹線で旅行に行こうと思ったら〜、カエルのケロリンパでした〜。チクショー!!」
新幹線 → 高速移動 → ジャンプ → カエル → カエルのケロリンパ(カエルのジャンプの様子)

「プールで泳ごうと思ったら〜、ゲノム編集でした〜。チクショー!!」
プールで泳ぐ → 水の中 → 生物の細胞(細胞の大部分は水) → DNA, ゲノム編集

「午前中にジョギングをしようと思ったら〜、ダークマターでした〜。チクショー!!」
午前中にジョギング → 朝、太陽が昇る時間 → 星、宇宙 → ダークマター(宇宙の大部分を占める未知の物質)

「熱いお茶を飲もうと思ったら〜、ゴリラのブランコでした〜。チクショー!!」
熱いお茶 → 蒸気が立つ → 上に昇る → ブランコ(上下に揺れる) → ゴリラのブランコ(ゴリラが揺れる様子)



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