Cities: Skylinesのために学ぶ空港
Cities: Skylinesというゲームは何でも作れてしまうことに定評がありますが、当然空港も作れます。
でも、空港ってよくわからんマークとか決まりがいっぱいあって作りたくてもよくわかりませんよね。
そこで、この記事ではゲームで空港を作るにあたって必要な知識とアセットについて簡単に解説したいと思います。
※独学と勝手な考察を含むので間違っている可能性あり。
1. 空港の大まかな構造
まずは全体的なデザインに必要な知識から解説します。
1.1 滑走路の配置
標識などの細かい話はあとでするとして、ここでは滑走路の配置について語りたいと思います。
2つ以上の滑走路を置く場合、向き(平行かどうか)と距離(近いか遠いか)で大きく場合分けすることができます。
平行でない場合(横風用)
これは比較的古い空港で見ることができます。
滑走路に対して横向きの風が吹くと離着陸がむずすぎて困るのでいろんな方向があったほうが安心という思想です。そのかわり地上や空中で機体がぶつかる危険性が高い問題があります。
最近は機体の性能向上で横風が強くてもなんとかなるようになってきたので海外ではどんどん平行に滑走路を作っていくのが一般的です。
平行で近い場合(クロースパラレル)
二つの滑走路を近くに並べるパターンです。土地が狭くても済む利点がありますが、同時に発着できないという問題があります。
平行で離れている場合(オープンパラレル)
大体1km以上(日本規格1310m、国際規格1525m)離して配置します。この場合は上記と異なり同時発着ができますが、広い土地が必要になります。
近年海外で新しく作られる空港は2本のオープンパラレルとその間にターミナルを設けるのが一般的になりつつあります。
1.2 誘導路
ここでも細かい標識とかは置いといてとりあえず全体的な話をします。
誘導路はその名の通り滑走路など各施設を結ぶ飛行機が通る道です。
これも機能によっていくつか種類があります。
斜めの誘導路(高速脱出誘導路)
滑走路から斜めに伸びる誘導路です。
着陸してからスピードを落とさずにそのまま滑走路から出るためにあります。
直角の誘導路(取付誘導路)
滑走路と直角につながる誘導路です。
上記の斜めの誘導路がある場合、基本的に離陸でしか使わないので滑走路の端のみにあります。
逆に発着数が少なく斜めの誘導路を作るほどでもない規模の空港では離脱用にも使われます。
そもそも誘導路がないパターン
離島など利用者の少ない空港では滑走路と並行した誘導路がありません。
離陸の時は滑走路を通って端まで行ってUターンします。
1.3 エプロン
航空写真で見ると地面が白っぽくなっているところです。
旅客用、貨物用、エンジンテスト用、駐機用、整備用などがあり千歳や那覇では自衛隊用のものもあります。
2. 滑走路の細かい話
それでは滑走路についてもっと詳しく見ていきましょう。
2.1 長さ
2500~4000mがよくある長さとなってます。近所の土地で測ってみるとわかりますが、空港は思ってる10倍でかいです。
ゲーム内のタイルでいえば2、3個分の大きさに相当します。
長さによって飛行機の種類も変わってきます。
747や380などの大型の飛行機も利用する空港や、過去にコンコルドが飛来していた設定なら長めの滑走路が必要です。
ちなみに上記3種類の飛行機はすべてワークショップにあります。
2.2 地面の標識
以下のような標識たちについてです。
左右にある四角(接地帯標識、接地点標識)
ここらへんで地面に降りてね、という標識です。
黒っぽいタイヤ痕はここら辺に集中してできます。
端の縞々(滑走路末端標識)
滑走路の端を意味します。
黄色の矢印みたいなやつ(過走帯標識)
非常時以外は入っちゃいけないエリアです。
数字やアルファベット(指示標識)
滑走路の方角などを示します。北から時計回りに何度回転したかを数字です。
同じ向きの滑走路が複数ある場合はアルファベットで区別します。この写真の34Lであれば北から340度の向きを向いた滑走路のうち左のものを意味します。
色
白色が基本ですが雪国では見やすさからオレンジにすることもあるようです。
アセット
今説明した滑走路やその標識に関するアセットを紹介します。
2.3 ライト
空港といえば夜のライトですね。
ここでは滑走路に関するライトを解説します。
滑走路末端灯
滑走路の端を示します。侵入する側が緑、反対側が赤色となります。
滑走路中心灯
中心を示します。これも滑走路終点側では赤くなります。
滑走路灯
滑走路の端を示します。
PAPI
着陸する飛行機の高度がいい感じなのか教えてくれます。
高さによって四つのライトの見え方が変わる仕組みです。
接地帯灯
昼用の標識と同様、地面に降りてほしい位置を示します。
進入灯
滑走路の方向を示します。
アセット
3. 誘導路の細かい話
3.1 標識
停止線
画像の滑走路の手前にある黄色いギザギザ線です。これは滑走路へ入るとき停止する位置になります。ここで許可が出るまで待ちます。
通行禁止のバツマーク
工事や設計変更で通れない誘導路にはバツマークが付けられます。
飛行場標識
こういう標識です。飛行機の窓際に座っていると見えますよね。
アルファベットのAやB3は誘導路に割り振られた名前、25Rや7Lは滑走路を指します。
色によって次のような意味を持ちます。
黄色背景に黒字はそれがある方向
黒背景に黄色い文字は自分の居場所
赤背景に白字はこれから入る滑走路の名前と向き(ハイフンの前が左、あとが右を示す)
アセット
3.2 ライト
滑走路のライトと比べれば簡単です。
端が青、真ん中が緑、停止線が赤です。滑走路から出ていく線は緑と黄色交互になります。
アセット
緑のライトは滑走路の項目で紹介したアセットに入っています。
4. 建物
4.1 旅客ターミナル
4.1.1 飛行機の周り
地面には、車用の道路、機材制限区域(赤線)、停止位置を示す線(飛行機前輪のとこ)が描かれます。
車は色々ありますがよくいるのは以下の3種です。トーイングカーは飛行機のバックに使います。
建物からは人が乗り込むボーディングブリッジが伸びていて、あとはめっちゃ背が高いライトがあります。
建物と直接つながっていなくても旅客用に使われることもあります。ターミナルでバスに乗って飛行機まで連れていかれます。
アセット
ボーディングブリッジ関係はここにまとめられています。
4.1.2 道路
利用者が増えるに応じて、普通の道路 → ロータリー風 → 2層にして出発到着分離、というように構造がランクアップしていきます。
ロータリーの中心は基本的には駐車場として利用されています。利用者数に応じて立体駐車場になったり様々。
4.1.3 建物本体
狭い土地を有効活用するために、一般的にはエプロンとの境界をギザギザさせたり飛び地を作ったりしてたくさんの飛行機が止められるようにします。
飛び地なら地上は飛行機用に使えるし、昇降口もたくさん作れるということで海外の空港でよく採用されてます。
アセット
自分は上記二つがお気に入りです。
実在する空港も充実してます。
4.2 貨物ターミナル
建物が物流センターみたいになるだけでそんなに変わりません。
屋根の色が統一されていることが多いです。
通常、貨物専用の飛行機を使用します。
アセット
日本の会社の貨物機はまだなかった気がする…
4.3 管制塔
空中、地上の飛行機に対し指示を与える超重要施設です。
空港の規模が大きいほど高くなります。
アセット
4.4 格納庫
飛行機を雨風から守り、メンテナンスを行うところです。
旅客用は四角い屋根で自衛隊のは丸い形状の屋根にする傾向があります。
アセット
4.5 燃料貯蔵施設
石油コンビナートみたいなところがこれに該当します。
4.6 その他のアセット
5. その他の話
5.1 アクセス
大型の空港であれば空港建設と並行してアクセスするための道路や鉄道が作られます。
鉄道やバスのアセットもどんどん充実してきてるのでぜひ走らせてみましょう。
5.2 街並みに影響する法律
空港から円錐状に高さ制限があります。
これを見ていただくのが一番早いです。
東京(羽田空港)、大阪(伊丹空港)、福岡(福岡空港)などで高層ビルの高さがほぼ同じになっているのはこれが原因です。規制緩和や特例などでこれより高いビルが建つ場合もあります。(あべのハルカス等)
6. ゲームで使えるテクニック
6.1 離着陸位置調整
このゲームの仕様上、着陸は滑走路の端でしてしまいます。これを防ぐ方法として二つの滑走路を重ねそれ以外の部分はダミーの滑走路にしてしまうのがあります。
以下の例の場合、実際に機能する滑走路誘導路は離陸用(青)と着陸用(赤)の部分だけでそれ以外はダミーです。
6.2 離陸挙動
Advance Vehicle Options (AVO) というMODで加速度を変えることでよりリアルな挙動にすることができます。個人的には0.2~0.5くらいにしています。
※最高速度を変更すると何故か挙動がおかしくなるので注意
また離陸時に変な方向に飛んでいってしまう問題はMore Network StuffというMODで追加される航路を調整することである程度抑えることが可能ですが、最近のDLCのアップデートでこの方法でもうまく調整できなくなってしまったような気がしています。いい方法があったら求む
6.3 エプロンの道路
空港用道路もエプロンの地面も両方アセットはあるのですが重ねて使えない問題があります。(アセットは4.1.1を参照)
自分はIMTというMODで道路を描いて解決しています。
6.4 駐機挙動
図のように配線すると多少はましな動作になります。
6.5 地面の色
芝生のテクスチャをべた塗すると作り物感がすごくなってしまうので、Decal、Ground Resources、Surface等でいい感じにランダム感を出すとちょっとだけ見栄えが良くなります。
6.6 完全に別のアプローチで挙動を改善する
↓のタイトル通りです。気になる方はぜひ
7. 各空港の特殊な事例を語るオタク
あんまり記事のタイトルと関係ない気もしますが、参考になるかもしれないという名目で語ります。
7.1 成田空港
建設時に色々もめて用地買収に失敗した土地が点在しています。
一般人でも入れるところもあるっぽいのでいつか行ってみたい。
7.2 羽田空港
一番新しい滑走路のある島をよく見てみると左側の土地の色が違います。
この部分は多摩川の流れを阻害しないように全部柱で待ちあげられています。
7.3 千歳空港
航空写真では4本の滑走路が確認できます。実はそのうち右2本が千歳空港用で左2本が自衛隊用です。
運用思想の違いが誘導路などの形状に現れていて面白いです。
管制は一括で行われていて、航空祭の時には展示飛行の間を縫ってせっせと飛んでいく旅客機も見どころとなっています。
8. ワークショップにある個人的に好きな飛行機
ここで紹介されてなくても、大体の飛行機はワークショップにあります。
ボーイングの工場まで飛行機の部品を運ぶ飛行機です。日本だとセントレアでまれに見られます。SUGOIDEKAI
黒い塗装が最高
A340のスレンダーな形状とスカンジナビア航空の塗装がマッチしすぎてる。
いまは亡き787のANA特別塗装。かっこいい
すごいでかい飛行機です。最近いろいろあって現実のものはなくなってしまいました…
地方空港に鮮やかな色どりを与えてくれるFDA
迷彩がかっこよすぎてしびれる。
アメリカのステルス機。形はもちろんのことながらくっそ高いことでも有名。
9. 参考になるサイト
やっぱり国の資料が一番確実。以下のサイトの「陸上空港の施設の設置基準と解説」の項目です。
本記事ではあまり具体的な寸法を書いていませんでしたが、この資料を見るとわかるように ”○○m以上が望ましい" といった感じで具体的に数値が決まっていないものが多いです。
Wikiももちろん使える。
10. いろんな人が作ったすごい空港を紹介
空港どころか神戸を丸ごと作っている人です。
すごすぎる…
11. 自分の宣伝
2023/06/13 追記
最近空港を作ってみたのでこちらで紹介します。
この空港は透明の線路に鉄道と化した飛行機を走らせて運用しています。
6. の項目で述べた方法よりこっちのほうがリアルに動作することが分かったためある程度技術が習熟してきたらこちらの記事を更新しようと思います。
2023/08/25 追記
新しく記事を書きました
こんな動画も作ってます。
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