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ことば録.1 日常から気付きを一匙

Sesameです。
今日より「ことば録」を本格的に投稿していきます。どうぞよろしくお願いいたします。


1_余談

さて、私はつい先日から大学生となり、一人暮らしを始めたのですが、一人暮らしを始めてから実家で受けていた恩恵に気付くとは、これは本当のことだったのだなと今更ながら実感しています。

また、地形にも随分救われていたのだと気づきました。何せ、今の通学路には坂が多い。私の実家は非常に平坦な土地に建っていた為、無意識に「土地は平らなもの」と思ってしまっていたのだと思います。登山をしたこともあるのに一体何をどうしてそう認識してしまったのか、自分でも今一分かってはいないのですが、恐らくそれもあって、今の通学路の坂の多さには驚いています。

一人暮らしにはそれなりに覚悟が必要だったのだということに、覚悟を決めずやってきた後に気が付きました。先を見通す力というのは、本当に大切です。もし一人暮らしを検討している方がいらっしゃれば、是非「一人の生活」をよく考えてみて頂きたいと思います。

2_ことば録
 

さて、前置きも長くなりましたが、ここからは「ことば録」に移りたいと思います。今日取り上げるのは、山東京伝著『江戸生艶気樺焼』です。

大学の図書館というのは、本当に高校とは違うのだと、実際に目にして初めて実感しました。高校には山東京伝の作は一つとして並んでいませんでしたが、大学の図書館にはずらりと並んでいて、感動して借りました。未だ読んでいる途中ですが、読み進めながら記事にしていきたいと思っています。

『江戸生艶気樺焼』の主人公である艶二郎は、「浮名を立たせたい」として、お金を駆使して様々な方法で「自分は女性に好かれているのだ」ということをアピールしていきます。
その様な中で、彼が発した言葉で気になった言葉は、


「頼む」

です。

彼は何かを頼るということに、一切嫌悪を向けていないように感じられました。お金で人を雇い、望む通りの台詞を言わせる。その様な事をする位であるなら、余程態度が尊大でも可笑しくはない。
しかし、彼はそうではなかったんですね。あくまで頼んでいたんです。
浮名を立たせるために行う行動の一つ一つに手が込んでいるのですが、その様な中で彼が尊大な振る舞いを見せることは未だありません。謙虚とはとても言えませんが、素直に「頼む」と、人に言う人間でした。

「頼む」という言葉一つを取り上げたいと思ったのは、「頼む」ことができない人って、それなりに多いのではないかなと思ったからです。
頼む事に嫌悪を感じる人や、「頼む」という言葉を出す事に嫌悪を感じる人、一定数いるのではないでしょうか。
「頼む」というには勇気が要ります。自分にそれをできる力量がない事を認める、ないしは頼る相手方が自分以上の力を持っていると認めなければならない。結果、立場を持ち出してみたり、年齢を持ち出してみたり、どうにも態度が尊大になりがちである。価値観にも依りますが、このような事は実際にあると思っています。
艶二郎は決してその様な思考に至っていないのです。彼の目的の為に行われる事は彼が「頼んだ」のだということを、自覚している。
これは実は凄い事なのではないかと思っています。

3_まとめ


今回は「頼る」という言葉を一つ取り上げてみました。
これを取り上げるきっかけになった『江戸生艶樺焼』ですが、本当にお勧めです。是非読んでいただきたいです。大声で笑うというより、くすっと笑ってしまう面白さがあります。私もこの後、読了に向けて読み進めたいと思います。
ことば録はこの様な形で進みます。もし宜しければ、今後も見てくださると幸いです。


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