0から1を作る桜井和寿、1を100にも1000にもする小林武史
Mr.Childrenと小林武史。桜井和寿と小林武史。両者はミュージシャンとプロデューサーという関係。作詞作曲者と編曲者という関係。切っても切り離せない関係だ。
今でこそMr.Childrenは小林のもとから離れてセルフプロデュースを行っているが、それまでのミスチルの輝かしい実績は、小林武史、彼なしでは絶対に残せなかっただろう。
ミスチルの中ファンには彼のアレンジに否定的な意見を言う者もいるが、形はどうであれ小林武史がミスチルに与えた影響は計り知れないものがある。
よくネットの掲示板なんかで「作曲者とか作詞者っているけど、一番すごいのって編曲者じゃない?」という意見を目にする。確かにそうだ。辛いけど否めない。
では、編曲者はいったいどこが凄いのか。
答えは明確で、どれだけ「数字を増やしたか」、ということである。
ところで、皆さんは「宇宙の始まり」の知っているだろうか。明確な原理はまだ解明されていないが、大前提として「何もない0の状態から、1が生まれた。」とされている。その0の空間にも僅かな、本当に僅かな何かが存在し、それが擦れあって反応を起こした。そこからビッグバンがあり宇宙の誕生があり星が誕生し水が誕生し生命が誕生し、今に至る。らしい。昔テレビで得た知識だからニュアンスとか間違ってたらごめんなさい。
作詞作曲も同じことが言える。型どられた「曲」の概念が全くない状態から歌詞を作り出しメロディを生み出し、1つの形を作り上げる。まさしく、0から1を作り上げている。
その0の中には作詞作曲者の過去の出来事や影響を受けた他の音楽が散りばめられてあって、それが擦れあって反応を起こして1つの原型が生まれる。
その生まれた原型を、手直しし新しい形に進化させるのがまさしく編曲者の仕事だ。編曲者には、1がある状態から2にしたり193にしたり276にしたり1000にしたり出来る力があるのだ。
編曲者が凄いのは、1から増やした数にある。そう考えると、作詞作曲者は、0を1にしたのみだ。数字上では1つしか増やせてない。だから「編曲者の方がすごくね?」という意見があるのはある意味では当然のことだ。ただ、0を1にする難しさも、考えてほしい。てか、難しいとかそんな次元じゃない。理屈からして0から1を作り出すなんて無理だ。たった"1つ"だけ増やす。これがどれたけ大変なことか。どれだけ奇跡なことか。
0から宇宙を生み出す桜井和寿がいて、誕生した宇宙に星を付け加え水を足し生命を合わせる小林武史がいて初めて、その世界に僕らが存在できる。
そして現在は、誕生した宇宙をMr.Children自身で拡げている。その宇宙で僕らは生きている。
この話はミスチルとコバタケだけに関わる話ではない。大体のアーティストには編曲者がいて、それとタッグを組む作詞者、作曲者がいる。
彼らのそれぞれの立場、それぞれの凄さについて、改めて考えてみてほしい。
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