林檎の妖精 #11
改めて周りを見渡すと、見覚えのある場所だった。子供たちが通っている保育園からすぐ近くの公園。運動会をやった場所だ。ビデオの映像が蘇る。列車に乗ったのもここだったのか・・・?
(・・・家に帰ろう。)
もう一つ気が付いたことがある。周りの暗さが、列車に乗る前とほとんど同じだったのだ。そして、スマホを見て愕然とした。時間が全く進んでいなかった。
(一体、何がどうなっているんだ。)
こんな話、誰にどう説明すれば良いのだろう。どんなに説明しても、何一つ伝わる気がしない。
家に着くと、子供たちはいつも通り部屋で遊んでいた。妻からは「夕飯どうする?」と尋ねられたので、少し考えて「たまには食べに行くか」と切り出した。
何だか色々なことがあり過ぎたので、気分を切り替えるためでもあった。
妻は子供たちに出掛けることを伝えると、二人とも大はしゃぎしている。外食というだけでテンションが上がるのは、いつの時代も同じだ。
「よし、行くよー。」
子供達と手を繋ぎながら、駐車場に移動する。お店まではそんなに遠くないが、帰りも考えると車移動の方が何かと都合がいいのだ。
「何食べたい?」
そんなことを聞きながら、エンジンをかけて車を走らせた。
Created by Ryohei Osawa
こちらは、キングコング西野亮廣さんが現在制作を進めている【夢幻鉄道】という作品の「二次創作」となっています。