林檎の妖精 #10
思い切って聞いてみた。
「あ?・・・イシ何だって?」
「イ・シ・キュ・ア・マ・ナ・ム。探してるんです。」
「そういう名前の人がいるのか?・・・う~ん、聞いたことないなぁ~。」
(やはりダメか・・・。)
一縷の望みで聞いてみたが、ここはそれとは特に関係のない場所なのだろうか。だとしたら、ここに連れて来られた理由は?ここから元の場所に帰る方法は?・・・だんだん不安が増してきた。
その時だった。
「あ・・・、そろそろ時間だ」
「え?」
どこからか音が聞こえる。列車の汽笛だ。
「ほれ、お迎えが来たよ。駅に戻りなさい。」
「え?・・・あ、はい。」
慌てて駅の方に走る。
(お迎え・・・?)
列車から降りたところに戻ると、ちょうど列車が到着するところだった。乗ってきたのと同じ列車だろうか?形はすごく似ている。
辺りを見渡すが、一緒に来た人達が戻ってくる気配はない。
(あの人達は乗らなくても良いのだろうか・・・?)
到着した列車に乗り込む。中の雰囲気も来た時と同じだ。
(やはり同じ列車か・・・?)
ドアが閉まり、列車が走り出した。私しか乗っていない。しばらく列車に揺られ、どのくらいの時間が経っただろうか。元の場所に戻ってくることが出来た。
Created by Ryohei Osawa
こちらは、キングコング西野亮廣さんが現在制作を進めている【夢幻鉄道】という作品の「二次創作」となっています。