林檎の妖精 #29
カバンの中を一生懸命探していると、見覚えのある一枚の紙が出てきた。
あの時渡された短冊だ。
(・・・あれ?これ、持ってきちゃったんだっけ?)
少しその短冊をボーっと眺めていて、思いついた。
慌ててカバンからペンケースを出すと、中からサインペンを取り出し琴を呼んだ。
「琴、ほらこれ見て!」
琴も短冊とサインペンを見て、笑顔を取り戻した。
「・・・よ・・・う・・・に。」
琴は短冊に願い事を書くと、持っていたお花を一輪私に差し出して。
「お父さん、これ紙に貼りたい。」
「え~、貼るっていっても・・・お父さん、テープ持ってないからなぁ・・・。」
「えぇ~・・・。」
カバンの中を探して、気が付いた。
「あ!琴、あったあった!」
カバンの中から取り出した小説に貼られていたテープをはがし、花を短冊に貼り付けた。
窓を少しだけ開けると、風が勢いよく吹いている。
琴はその窓の隙間から、短冊を外に出した。
短冊は風に乗って、空高く舞い上がった。
「バイバ~イ!!」
琴は短冊に手を振って、ゆっくり窓を閉めた。
満足したのか、ニコニコしている。
「おねがいかなうといいなぁ~」
「そうだね、叶うと良いね。」
列車は青い光のレールを凄いスピードで走り続けた。
Created by Ryohei Osawa
こちらは、キングコング西野亮廣さんが現在制作を進めている【夢幻鉄道】という作品の「二次創作」となっています。