見出し画像

林檎の妖精 #26

(私は、現実世界に存在する生き物ではありません・・・人がこの世に生を受ける前に出会う、想像上の生命体なのです。)

「え?想像上の・・・生命体?」

(人は寝ている時に毎回夢を見ています。大人も子供も・・・もちろん産まれてくる前の胎児も。)

「胎児も夢を見ているんですか!?」

(もちろんです)

「でも、夢って経験とか記憶の寄せ集めだって聞いたことがありますよ?」

(確かにそれも夢になりえますが、胎児も非常に抽象的な夢を見ています。その中で唯一具体的に見るのが、私の姿なのです。)

「そ、そうだったんですか・・・。」

(人は誕生の瞬間に、光や音や臭いなど外部からの強い刺激によって私のことを忘れてしまいます・・・あなたも覚えていなかったでしょう?)

「え、ちょっと待ってください・・・確かに私は覚えていません。でも、琴はあなたのことを覚えていましたよ?」

(私もあの子に名前を呼ばれた時に、本当に驚きました・・・でも、嬉しかった。あの子が授かった特殊な才能なのかもしれません。大事にしてあげてください。)

「・・・分かりました。」

「お父さ~ん!これ見て~!凄いキレイなお花だよ!!!」

琴が両手いっぱいに花を抱えて走ってきた。

←前頁 次頁→

Created by Ryohei Osawa

こちらは、キングコング西野亮廣さんが現在制作を進めている【夢幻鉄道】という作品の「二次創作」となっています。

いいなと思ったら応援しよう!