林檎の妖精 #20
車を停めて外へ出てみた。風も少しあって涼しい。辺りはすっかり暗くなり、街灯も少ないので星が奇麗に見える。
(やはり、ここにきて正解だったな。)
琴に星の話をしていると、妻が何かを探している。
「ん?どうした?」
「いや、写真を撮ろうかなと思ったんだけど携帯が見つからなくて。」
「まさか、お店に忘れたとか?」
「車で見てたから、多分席に置いてきたのかも。」
私は妻に車のキーを預けた。妻は次女と車の方に歩いていく。
私は、琴と一緒に空を眺めていたが、周囲に座るところがないか探してみることにした。あまり離れると、妻が困惑するから周辺を見渡してみた。
琴が、何かに気付いた。
「お父さん、あれ。」
(・・・え?)
少し離れたところにある木々の向こう側に、大きく光っているものが見える。
(車か・・・?いや、あそこに車が入っていくのは無理だ。とはいえ民家があるわけでもない。)
「ねぇお父さん、見に行ってみようよ!」
琴が、私の手を引っ張る。
この場から離れるのは少し抵抗があったが、妻も何かあれば携帯に連絡をくれるだろう。
「よし、足元に気を付けてね。手を放しちゃだめだよ?」
「うん、わかった!」
私は、琴と光の方へゆっくり歩いて行った。
Created by Ryohei Osawa
こちらは、キングコング西野亮廣さんが現在制作を進めている【夢幻鉄道】という作品の「二次創作」となっています。