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林檎の妖精 #6

翌朝、妻に昨日の夜の出来事は話さずにいた。琴も不思議と話題に出すことはなかった。

私は通院のために家を出た。病院へと車を走らせる。頭の中では、これまでの出来事がぐるぐると回り続ける・・・。

誰に相談出来るわけもなく、解決の糸口すらない。気にしなければ良いだけのはずなのに、何か引っかかるものがあって気持ちが悪い。

通院後、本屋で立ち読みをしていると店内のポップが目に入った。

「七夕」

もうすぐ、七月七日。琴の誕生日だ。

(今年は何をあげよう・・・)

自粛が続いていたので、おもちゃ屋にも全然来ていなかった。欲しがっている物も分からない。

(帰ったら、それとなく聞いてみるか・・・)

その時だ。

「・・・あの。」

後ろを振り返ると、男の人が立っていた。

「これ、落ちてましたよ。」

その人の手には・・・しおりが一枚。

「あ・・・ありがとうございます。」

「いえいえ(笑)」

立ち去るその人を見送って、手元のしおりに目をやる。

(・・・これ、誰のだ?)

少し大きめのしおり・・・いや、これは・・・短冊?・・・何でこんなところに。表も裏も、特に何も書いてはいない。

受け取ってしまったけど、私の物ではない。

そっと置いてその場を後にした・・・。

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Created by Ryohei Osawa

こちらは、キングコング西野亮廣さんが現在制作を進めている【夢幻鉄道】という作品の「二次創作」となっています。

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 朝生配信「まーちゃん広場」が懐かしくなります…。T_T

この動画を編集してくれたTomokoさんのnoteはこちら。


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