#15 ヨーロッパ研修記 〜ヘレスを求めてミュンヘンへ〜
ミュンヘンを訪れる予定は全くなかった。
ヨーロッパに来て約2週間少々。アムステルダムに始まり、フローニンゲンのWild Festival Groningen、そしてベルギーはブリュッセル、ゲントと、ビールからワイン、シードルとさまざまなお酒とつくり手を訪れ、非常に充実した研修を過ごせている実感があったものの、正直に言えば身体が、ランビックやワイルド特有の酸にやられていたこと。
そして何よりも、モルトの風味や甘みを感じられるピュアなヘレスを、なんの躊躇もなく、ゴクゴクと飲みたくなったから、急きょミュンヘン行きのフライトを取ることにした。
ベルリンには訪れたことがあるものの、ミュンヘンを訪れるのは初めてだった。しかし、街並みは美しく、また清潔で、緩やかな空気が流れる街だ。そして観光客もローカルも朝からビールを飲んでいる。ビールを飲むためだけにミュンヘンを訪れたが、本当に最高の4日間になった。
(ちなみにパンも驚くほど美味しかった。普段パンを食べることのない僕ですら感動するレベルのパン。ビールとパンは兄弟みたいなものですものね。)
ミュンヘンといえば6大ビールが有名だが、せっかくであれば、その中でも、印象的だったビアホールとローカルについて整理したいと思う。
Stehausschank(シュテーアウシャンク)
元々は知らなかったが、ミュンヘンを訪れることが決まったタイミングでPigalleのヒデさん、Mikkellerのまさきさんに聞いたところ、二人とも口を揃えてこのお店をおすすめしてくれた。どうやら彼らは5リットル飲んだらしく、一体どんなビールだったらそんなに飲めるのか思ったが納得。
とにかくスムースなのだ。
短い滞在期間の中で周れるだけ周ったつもりだが、その口当たりと飲み心地が、どこのビールよりもスムースで、あっという間になくなる。冗談じゃなく最初の一杯は一瞬で消えた。
(なお写真のコースターに書かれている一本線が飲んだ杯数。この日はかなり体調が悪かったにも関わらずあっという間に飲んだ。)
このお店の特徴は、なんと言っても木樽から注がれるヘレス。木樽ゆえの優しく柔らかいナチュラルカーボネーションが、この特別な飲み心地を生む。炭酸が柔らかいからモルトの風味もしみじみ感じられる。泣けるほどうまい。もうこれだけあればよくなる。それほど最高のヘレスだった。
ミュンヘンの中心地に位置するものの、少し路地裏に入る。大型のビアホールの雰囲気というより、まるで神保町にある喫茶店のような雰囲気。
何より明らかにローカルの人が多く、ミュンヘンの人たちに愛されていることがよくわかる。
Müllerbräu(ミュラーブラウ)
ミュンヘン郊外にある醸造所のヘレス。
正直見たことも聞いたこともないビールだったが、街を歩いているときにやたらとローカルが吸い込まれていくお店があり、何かと思って見てみると、カリーブルストやフリッツを一緒に提供するビアスタンドだった。
フードだけ見るとまるでベルリンのようだが、提供されるのは紛れもなくミュンヘンのヘレス。とにかく次々と地元民が入ってきて、サクッと出ていく。
しかも地下鉄の入り口にあって、雰囲気は異なれど、なんとなくその様が大好きな新宿のBERGのようなところもあり、勢いそのままに入ってみたところ出してくれたのがこのMüllerbräu。
特にモルトの甘みを感じられるビールで、ヘレスらしさを感じることができる。実はこの時クレジットカードが止まるトラブルに見舞われており、現金もほぼ持ち合わせていなかったのだが、とても美味しくて、思わずおかわりしてしまったくらいだ。
ミュンヘンのど真ん中のお店にもかかわらず、キャッシュオンリー。
そのスタイル、お店とお客の雰囲気、そしてモルトの風味をガッツリ感じられるヘレス。僕がこの街に住んでいたら毎日でも通うだろう。本当に最高のビアスタンドだった。
Schneider Weisse(シュナイダーヴァイセ)
シュナイダーってミュンヘン?と思ったのだが、実は第二次世界大戦で被害を受けるまでは醸造を開始した当時はミュンヘン市内あったとのこと。 日本にいるときからシュナイダーが大好きで、お世話になっているお店を訪れたら、必ずと言っていいほど飲む大好きなビール。
6大ビールに比べると少しマイナーなのでは?なんて思っていたのだが、入ってみるとビアホールは席はほとんど埋まっていて、みんながシュナイダーのビールを楽しんでいる。
一人のシュナイダー好きとして、このタップメニューに並ぶビールたちをみるだけでとても心がときめいていた。なおオーダーはTAP1(Heffe Weisse)→ TAP7(Original)→ TAP 6(Aventinus)の順。飲んだことのないビールもあって、本当はまだまだ飲みたいくらいだったのだが、他にも予定があったため、泣く泣く以上とした。
とはいえ、Weisseという一つのスタイルでもこれだけの種類があり(TAP11まで)、小麦の風味や香ばしさ、華やかさを楽しむことができた。
この他にもAugusiner Stammhaus(アウグスティナー)、Hofbräuhaus(ホフブロイハウス)、PAULANER(パウラーナー)といった6大ビールのビアホールも訪れましたが、比較的情報も多く出ていると思いますので、写真だけを掲載し、詳細については割愛します。
ミュンヘンはまさしくビールで出来ている都市であり、このヘレスカルチャーは世界のどこを見ても存在しない。(比較できるとするとチェコ・ピルゼンくらいか?)。
いつかはその象徴であるオクトーバーフェストにも参加したい、そのためだけにでも訪れる価値があると感じた日々だった。
salo Owner & Director
青山 弘幸
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