[ソウル暮らしのおと]“ごはん”にまつわる挨拶ことば
あいさつことばや、よく使うフレーズというのは、その国の文化や習慣を表します。
韓国ではごはんを食べること、食事することは何よりも大切なこと。
そのためか、よく使うフレーズの中に「ごはん」がとても頻繁に登場します。今日はそのうちの7つを紹介してみます。
1. 식사 하셨어요? /밥 먹었어?(シッサ ハショッソヨ?/パプ モゴッソ?)→ [直訳] 食事しましたか?/ご飯食べた?
この言い回しは本当によく使います。
実際に食事したかどうかを確認しているわけではなく、ごく日常的な「こんにちは」くらいのあいさつ。
それくらい、ご飯をたべるというのが一日のうちで欠かせない大事な習慣、ということですね。
2.밥은 먹고 다니냐? (パブン モッコ タニニャ?)→ [直訳] ご飯は食べているかい?
「ちゃんと食べてるのかい?」という言い方からして、目上の人から年下の人に対してや、親しい間柄で気づかう言いまわし。
きちんと暮らしているか、健康に、安定して暮らせているのか、など安否を尋ねる挨拶です。
久しぶりにあった友人や後輩、独立した自分の子などに対して言ったりします。
ご飯を食べている=ちゃんと暮らせている、ということになるんですね。
3. 나중에 밥 사줄게(ナジュンエ パプ サジュルケ)→ [直訳] 今度、ご飯をおごるよ
これは、ひとことでいうと、「ありがとう!」なんです。
何かをしてもらったときや助けてもらったときなどの感謝の気持ちを表しています。とはいえ、とても丁重な感謝というよりは、親しい間柄でのラフな表現です。
面と向かって深く感謝するにはちょっと照れ臭い、なんていうときに使ったりします。
本当におごってくれるかどうかは、あまり期待しないほうがいいかも。
4. 너 밥맛 없어.(ノ パンマプ オプソ)→ [直訳] 食べる気がしなくなる
これは、相手の態度や行動が気にくわないとき、憎たらしいときに言います。
これだけご飯を食べることを大事にしている文化なのですから、食べる気がしない、食欲がわかないというのは相当に癪に障って嫌だ、というのを示しているのです。
これは、 アンタむかつく!と、面と向かって相手にいう状況。第3者について「あの人、気に入らないよね」と批判するときにも밥맛 없다(パンマプ オプタ)を使います。
5. 밥값은 해야지 (パプカプスン ヘヤジ)→ [直訳] ご飯代くらいはやらなきゃ
これは、なにかをしっかりやる、役に立つようがんばるときに使います。
例えばこんなシーン。キャンプにきて、セッティングに精を出している友人に、張り切ってるね!と声をかけたら、「 밥값은 해야지~(ご飯代くらいはやらなきゃ) 」という答え。せっかく来たんだから役に立たなきゃね!という意味合いです。
6. 목구멍에 밥이 넘어가?(モックモンエ パビ ノモガ?)→ [直訳] 飯がのどを通るのか?
これは、とても深刻な状況にぶつかったときにいいます。
日本語でも、心配事などがあるときに「飯ものどを通らない」なんて言いますよね。
これを疑問形でいうときは、深刻な状況の前で平然としている人に対して非難するニュアンスです。「この状況でよく平気でいられるね!と、皮肉たっぷりな言い方です。
7.점심/저녁 맛있게 드세요 (チョムシム/チョニョク マシッケ ドゥセヨ)→ [直訳] 昼食/夕食をおいしく食べて下さいね
これも最初の「ご飯食べましたか」と似たような感じですが…
昼食おいしく食べてね、と言われて、「あ、もう食べましたよ」なんて答えるのはナンセンス。
これも簡単にいえば、じゃあね、さようなら、というような会話の終わりのあいさつです。
例えば電話で話していたとき、お昼時や夕食時であれば、こんな風に言って通話を終わらせるのが普通です。
他にも、ごはんに関するフレーズはとてもたくさんあります。こんなところからも、韓国における食の意味や習慣というものが見えてくるようです。
今日はごはんにまつわる韓国語のユニークな挨拶やフレーズをご紹介しました。
[KBS World Radio「土曜ステーション」2021.01.16放送]
http://world.kbs.co.kr/service/program_main.htm?lang=j&procode=one