[ソウル暮らしのおと]ゼロ・ウェイストの取り組み
ゼロウェイストは、環境を考えてごみを出さない、もしくは減らすという考え方や行動のこと。
韓国では、2018年から資源再活用法によって、カフェなどの店内で使い捨て容器の使用が制限されるなど、ごみや使い捨てに関する意識が高まっていました。
ところがそんな矢先に、新型コロナの影響で、感染予防のために使い捨て容器などが解禁に。飲食物のテイクアウトが増えたこともあり、プラスチック容器の使用が増え、また、マスクや衛生用ビニール手袋など、使い捨ての量がとても増えています。
「感染予防のためには仕方がない」と考えるのか、それとも
「もっと長い目で持続可能な社会を考えれば、このような流れを止めなければダメだ」と考えるのか。難しい問題ではあります。
そんな時代だからこそ、ゼロウェイストという概念がますます注目されているのかもしれません。
そこで、韓国でのいくつかの実践的な活動をご紹介します。
まずは、ソウルにあるゼロウェイストの代表的なお店。
一つ目は、「the picker」です。
http://www.thepicker.net/
こちらは2016年に始まった韓国最初のゼロウェイストショップです。
城東区聖水洞(ソンスドン)にある売り場には、ごみを出さない、そしてCO2を最小化するというコンセプトで選ばれた商品が並んでいます。
ここにはビニール袋や包装は一切あません。お米や豆類、果物など、客は自分でもってきた容器や袋に入れて持って帰るんです。
(写真:the pickerのFacebookより)
同じようなゼロウェイストのお店として、麻浦区望遠洞(マンウォンドン)にある「アルメン商店」というお店もあります。알맹이(アルメンイ)というのは中身のことで、その名のとおり中身だけ売っているので容器や袋は持参です。ここはシャンプーやローションのような液体も売っているんですが、持参のボトルに入れて量り売りをしてくれます。ここは商品の販売とともに牛乳パックやコーヒー豆のカスを回収してリサイクルもしています。
https://www.instagram.com/almangmarket/
(写真:マガジンSSSSLのインタビュー記事より)
そして次に、ゼロウェイスト文化を広める雑誌・「SSSSL」(쓸=スル)。
SSSSLというタイトルはスモール、スロー、サステナブル、ソーシャルライフのかしら文字だそう。
https://m.post.naver.com/my.nhn?memberNo=39942840
SSSSLの編集長のミンジさんは、6年前にゼロウェイストを知って日常で実践したいと思ったけど、当時韓国ではなかなかそのような環境がなかったので、もっとゼロウェイストを知らせなければという思いからマガジンを発行しました、と語っています。この雑誌では、ごみを出さない暮らし方に関するさまざまな情報を取り上げています。例えば、生ごみの処理場まで取材してごみ分別の現状を明らかにするなど、身近な問題を深く取り上げています。
このような最近のゼロウェイスト活動、特筆すべきことは、
それぞれのスタイルがとてもおしゃれ、ということ。
お店もマガジンも、センスにあふれています。
なにしろいまはSNS時代。インスタ映えも重要な要素。
なので、素敵なゼロウェイストショップをSNSでたまたま見つけて、あ、こんなのがあるんだ、と知る人も多いようです。
もうひとつお伝えしたいのは、こういった関心はもちろん韓国だけの動きではないということです。
世界的な流れのなかで、とくに日中韓という東アジアで活発に交流して、情報交換されています。
ゼロウェイスト活動に取り組む韓国の若者のなかでは、日本の都市で行われていたファーマーズマーケットなどのエコイベントに参加してヒントを得た、という人も、けっこういるんですよ。
さいごに、私の取りくみ。
家にあるビニール袋を小さく畳んで保管しておいて、買い物にはかならずいくつか持参(カバンにも常に入れておくように)します。スーパーでは野菜などはなるべく量り売りしているところで買い、持参した袋を使います。
そして、シャンプーはボトルのではなく、固形の髪用せっけんを使っています。
大したことではないですが、自分のできることから一つずつ。
なるべく使い捨てをしない・プラスチックごみを出さないということを意識するだけで、暮らしのなかでの選択が少しずつ変わってくるなあと実感しています。
[KBS World Radio「土曜ステーション」2020.09.05放送]
http://world.kbs.co.kr/service/program_main.htm?lang=j&procode=one