せいしょのおはなし for kids2ーペンテコステまで、オメルを数えて収穫を待つー
しばらく記事を更新できずにいます。きょうは趣向を変えて、聖書からのお話を。
ユダヤ人にとってもクリスチャンにとっても、今のこの季節は、1年のうちでとても大切な時期のひとつです。ペンテコステといって、聖霊が降って大きな奇跡が起きた出来事を迎えるシーズンであり、これは同時に、ユダヤ人の歴史では、神様の恵みである大麦の収穫を感謝して、毎日捧げものをしながら、次の収穫を楽しみに待ち、次の小麦の収穫の準備をするシーズンなのです。そんなことをふまえて、子どもたちにもわかるように聖書からのお話をしました。
過越しの祭りの復習
4月に、私たちは「イースタ―」(復活節)と言って、イエス様が死んで3日目にお墓からよみがえられて、弟子たちのところにあらわれたことを聞きましたね。イエス様が、つかまる前の日、この「過ぎ越しの祭り」の会食の時間に、パンを裂いて「これはわたしのからだだよ」と配り、食事の後ぶどう酒を配って、「これはあなたたちのために流す私の血だよ」と言われたことも覚えていますか?
イエス様は、よみがえったあと、何度も弟子たちのところにあらわれて、神さまの国のことを教えて、弟子たちを励ましてくれました。そして、40日経った時に、「さあ、これでわたしはお父さんのところに帰るよ。でもね、わたしがいなくなっても大丈夫。代わりに聖霊がやってきて、キミたちに聖霊のバプテスマを授けてくれるから、待っていなさい」と言って、天に帰って行かれました。そのあと、弟子たちは「そうは言っても、イエス様はいきなりいなくなっちゃうし、何をどんなふうにして待ったらいいんだろう」とちょっと困っていたかもしれませんよね。
初穂の祭り
この過越しの祭りは、1週間にわたって行われる盛大なお祭りなんですが、ちょうどその中間あたりの日に「初穂の祭り」というお祭りがあります。
イエス様は過ぎ越しの祭りの日に十字架にかかって死なれ、この初穂の祭りの日によみがえってお墓から出てこられたのでした!
初穂っていうのは、最初の収穫物のことで、旧約聖書にこういうきまりが書かれています。
ついで主はモーセに告げて仰せられた。
「イスラエル人に告げて言え。わたしがあなたがたに与えようとしている地に、あなたがたがはいり、収穫を刈り入れるときは、収穫の初穂の束を祭司のところに持って来る。
祭司は、あなたがたが受け入れられるために、その束を主に向かって揺り動かす。祭司は安息日の翌日、それを揺り動かさなければならない。」
(レビ記23: 9~11)
このほかにも、創世記から新約聖書の手紙まで、たくさんの聖書の箇所で、神さまは人間に「最初のものは、人でも家畜でも、農作物でも、全部主にささげてね」と教えています。実はイエス様ご自身、死者の中からよみがえった「初穂」なんです! 一度死んで、もう二度と死ぬことのないからだによみがえったのはイエス様が最初だから「初穂」なんですね。
「しかし、今やキリストは、眠った者の初穂として死者の中からよみがえられました。キリストによってすべての人が生かされるからです。」(Ⅰコリント15章20、22節)
イエス様がこの初穂の祭りの日によみがえられたってことは、イエス様が初穂として、天の父なる神様、主にささげられたという意味も、実はあったんです!
そして、「初穂をささげる」ということは、「私たちのものは全部あなたのもの、あなたの恵み、あなたの祝福です」と認めて、それを行動として表現することです。初穂だけが神様のもので、残りは全部オレのもの、っていう意味じゃないんですね。初穂は、受けた恵みの代表として、具体的に神様にお返しする、ってことです。そうすると、まず代表でよみがえって神様にささげられたイエス様に、続く私たちも神様のものです、ってことになりますね!
オメルを数える期間(過越し~七週の祭りまで)
ところで、イスラエルの人たちにとって、この「過越しの祭り」が終わったあと、次の「七週の祭り」を迎えるまでの50日間という期間は、特別に大切な期間でした。イエス様が来られるよりずっと前から、神さまは「初穂の祭り」を終えて「七週の祭り」を迎えるまで、50日(7週間)を数えなさい、と言われたからです。この期間、人びとは毎日、その日の収穫から神さまに、感謝と共に1オメル*の大麦をささげました。そして、次にやってくる七週の祭りを指折り数えるようにして待ったんです。大麦は、日本では麦茶を作ったり、ビールを作ったり、お米に混ぜて食べたりする麦ごはんとしてなじみがありますね。次の七週の祭りのころには、今度は小麦を収穫できます。受けた恵みである大麦を感謝しつつ神さまにささげ、「次に来る恵み」である小麦の収穫を楽しみにしながら毎日を過ごしたんですね。
*オメルは度量衡の単位。1オメル=2.3リットルで、穀物を測るときに使う単位だった
15 あなたがたは、安息日の翌日から、すなわち奉献物の束を持って来た日から、満七週間が終わるまでを数える。
16 七回目の安息日の翌日まで五十日を数え、あなたがたは新しい穀物のささげ物を主にささげなければならない。 (レビ記23:15~16)
さてさて、今年は、次の日曜日がこの七週の祭り=「ペンテコステ」です。弟子たちが待っていた聖霊がいよいよやってくる日なんです。すると、きょうあたりは、イエス様が天に帰っちゃって、「いったいどんなふうに聖霊を待っていたらいいんだろう?どんなふうに来るんだろう?」って弟子たちは戸惑っていたころですよね。
この時、弟子たちは、エルサレムのある家に一緒にお泊りして、集まってお祈りしてたみたいですよ。聖書に書いてあります。
「この人たちは・・・みな心を合わせ、祈りに専念していた。」
(使徒の働き1:14)
弟子たちは、イエス様がおっしゃった聖霊が、この七週の祭りのまっ最中にやってくることはまだ知りませんでした。でも、みんなで集まって、お祈りしながら、「いったいイエス様がおっしゃった聖霊が来るってどんなことだろう? わからないけど、それは素晴らしいことにちがいない」って信じて、期待して待っていたと思います。毎日、きょうかな、あしたかな、と、待っていたんでしょう。
「イエス様が自分たちの所に来てくれて、一度死んだのによみがえってくれて、私たちに新しい命を与えてくれた。それはとても感謝なことなのに、更にまだもっと、次の恵みを与えてくださるらしい・・!」
弟子たちがそんな、「神さまが今までとはちがう、新しい出会いを準備してくれてる」という期待をもって待っていたその期間が、ちょうどオメルを数えて感謝をささげながら、次の収穫を祝う七週の祭りを待っていたユダヤ人たちの姿と重なりますね。
ですから、私たちは次の日曜日までの1週間、ふだん以上に感謝をささげながら、次に主がくださるものを期待して待っていたいと思います。私にくださる収穫は何だろう? 「初穂」であるイエス様に続いて、神さまのことがもっとわかって、もっと大好きになるっていう収穫かな? 家族が神様のところに帰ってくるっていう収穫かな?
そんなふうに思い巡らして期待しながら、ペンテコステを楽しみに1日1日を過ごしましょう。
(今回のトップ画像に、pokoさんhttps://note.com/pokousaのすてきな麦畑の写真を使用させていただきました。心から感謝します!)