フリーマガジンTimofee〜親愛なる、東ティモールへ〜
あなたは東ティモールという国を知っているだろうか。
21世紀最初の独立国、この国はできて間もない。
500年という長い数々の国による植民地支配、国民の3分の1が虐殺された独立紛争、世界から見捨てられた島。
私たちは2015年の夏に東ティモールを訪れた。
ほとんど情報がなく未知だった東ティモールは、メディアに流されて偏見を持っていたや、実際に訪れたら全然違ったなどのよくある混乱などもなく、すんなりと私たちの中に溶け込んでいった。
歌うのが本当に好きで、人に優しくするのは当たり前、英語を喋れる人もほとんどおらず、観光地と呼べる場所もない。
皆ゆったりとした時間の中で暮らし、思いやりに満ち溢れ、物乞いもいない国だ。
人々が想像する、とある小さな島でゆったりと生活している人々、そのイメージが一番正解に近いかもしれない。
私たちの団体SALは国際問題啓発団体だ。
だから帰国後に東ティモールのことを日本の人々に啓発する活動を何かしらするのであろうと考えていた。
だが、私たちは東ティモール人に知ってほしいと感じることが多くあった。
何を上から目線と思われるかもしれないが、彼らは情報を得る手段がほとんどない。
国民の90%が理解する現地語テトゥンで書かれた書物は聖書と新聞だけとも言われ、他はポルトガル語や英語の輸入品がほとんどだ。
彼らは読み物を求めているが、それらは値段が高くて彼らには買うことができない。
私たちにできること、
東ティモールの人たちが喜んでくれること、
東ティモールの人たちにとって少しでもいいから意味のあること、
私たちが東ティモールの宿で夜中に話し合って至った結論は、
「東ティモールで、テトゥン語のフリーマガジンを配る」だった。
読み物を求めている彼らに本を届けられる、そして私たちが伝えたいことを伝えられる。
世の中どうだこうだを気にせずに、自己満足でもいいから自分たちのしたいことができる大学生だからできることだ。
私たちは帰国後、すぐにフリーマガジン制作に取りかかった。
題名は”Timor"と東ティモールで有名な”coffee"を掛けあわせて「Timofee」
メンバーではださいと評判だったが、編集長がこの名前に愛着が湧いてしまったため強行採決。
coffeeなら“f"が一個足らないと思っている人、あなたは賢い。完全にポンコツが露呈した題名だ。
しかしコーヒーだけしか産業がない東ティモールにコーヒーだけに頼ってほしくない、コーヒーのfunctionを減らしたい、だから"f"が一個ないんだという意味のわからない言い訳で「Timofee」制作が始まった。
雑誌を作ったことがあるのは一人だけの初心者の集まり。
自分の伝えたいことをうまく文章にすることすらできない。
厳しい現実が待っていました。
雑誌を刷るためのお金も、東ティモールで配るということで企業のメリットの面から渉外も取りにくく、
どうしようもない歯がゆさに駆られながらの作業会。
でも私たちは東ティモールのために何かしたいと本気で思っていました。
毎晩大学の講義ない夜中に作業会をし、週末は誰かの家で泊まりこみで作業する日々。
テトゥン語への翻訳も、数少ない英語が喋れる東ティモール人を見つけては頼み込みました。
資金集めもクラウドファンディングというインターネット上で募金を集めるシステムのようなもので集めることになりました。
5ヶ月間休むことなくTimofeeに向き合い続け、遂に雑誌もお金もすべてがうまく行きました。
綺麗事のようですが、メンバー全員が努力を惜しまず、そして周りでたくさんの人が支えてくれたからこそTimofeeが完成しました。
そして2016年3月、この前の春休みにメンバー6人全員で再び東ティモールを訪れ、Timofeeを配ってきました。
大人から子供まで、彼らは満面の笑みで、そして真剣に1ページ目から読んでくれていました。
配ろうとすると人だかりができたり、大学にも配りに行ったり、お店に置かせてもらったりして、すぐに1000冊のフリーマガジンはなくなりました。
中には、海沿いで読み終わった後に私たちを見つけにきて、「なんでこの雑誌を作ったんだい?」と下手な英語で喋りに来てくれる人がいました。
彼はタクシーの運転手をしながら、英語を独学で学んでいる人でした。
私たちは2回の渡航と翻訳作業などを通して少し身につけたテトゥン語と英語でこの雑誌を作った経緯と理由を話しました。
彼は、「この雑誌はとても意味があるものだ。最近ではボランティアなどがよくこの国に来るが、今本当にこの国に必要なのは、国民の意識を変えることなんだ。君たちが伝えたいことはこの雑誌からとても伝わったよ。本当にありがとう。」と言って周りの人たちにこの写真についてどう思うかなどディスカッションを始めてくれました。
みんな雑誌をもらえて喜んでくれていました。そして大きな抱擁と特大のありがとうをくれました。
ただ、本当に伝えたいことが伝わっているのか私たちにはわかりませんでした。
でも、海沿いで私たちを見つけ出し、話しかけてくれた彼の意見を聞けて、私たちはTimofeeを作って本当に良かったと心の底から思うことができました。
東ティモールを訪れて、そしてTimofeeを制作して、意味があったかはわかりませんが彼らが喜んでくれて、本当にいい経験でした。
大好きな国、東ティモールのために、今後も何かしていけたらなとメンバー一同考えています。
(次は映像でも作ってみるかという話は出ています。実現するかわかりませんが笑)
以上、今回は東ティモールスタディーツアーを経て、フリーマガジンTimofee〜親愛なる、東ティモールへ〜を作ったメンバーがお送りしました!
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