トップセールスより素直でやり切る社員を採用すべき理由
1. 導入
少し前までは、「優秀なセールスを採用すれば、すぐに売上が伸ばせる」と考える企業も多くありました。しかし、昨今の採用マーケットは極めて厳しく、優秀な人材を確保すること自体が困難になっています。さらに高報酬を提示して採用に成功したとしても、より良い条件を提示されれば転職してしまうリスクは常につきまといます。
また、優秀な人材が全員“再現性のある営業ノウハウ”を持っているとは限りません。トップセールスのなかには属人的なスキルで成果を出している“再現性のないタイプ”が少なくないのも事実です。こうしたトップセールスの“ノウハウ”は表面化しにくく、周りの社員に水平展開できず組織全体の底上げにつなげるのが難しいことが課題となっています。
では、どうすればこのような状況を打開し、組織として着実に売上を伸ばしていけるのでしょうか? 本記事では、「優秀な人材を高報酬で採用・引き留めするリスク」から脱却し、“普通の社員”でも高いパフォーマンスを発揮できる“仕組み”を作るための考え方・アプローチをご紹介します。
2. 主な課題(背景)
2-1. 採用マーケットの厳しさ
優秀な人材は争奪戦
求職者有利の市場が続いており、特にセールスのようなポータブルスキルを持つ人材はどこからも引き合いが強い状況です。高コスト・高リスク
せっかく高報酬を提示して採用できても、もっと好条件を見つけて転職してしまう恐れがあるため、企業にとっては不確実性が大きい。
2-2. トップセールス依存のリスク
属人的で再現性がない
トップセールスの中でも、ノウハウが本人のカンや長年の経験に基づく場合、組織としてマニュアル化や展開が難しく、離職とともに知見が失われてしまいます。報酬アップ・退職の脅威
そもそも優秀な社員は市場価値が高く、会社として十分な報酬を支払えなければすぐに他社へ流出してしまう可能性があります。
2-3. “普通の社員”のパフォーマンスを最大化できない背景
属人化された営業プロセス
トップセールスが自己流で動いている場合、それ以外の社員が同じ成果を再現する手段がありません。仕組み不在による教育・成長機会の不足
体系化されたマニュアルや研修プログラムがないため、営業社員が自己学習・自己流で仕事を進めるしかなく、成長スピードが遅れがちです。
3. 解決策・ノウハウ
ここからは、優秀な人材だけを追いかけるのではなく、「誰でも高いパフォーマンスを発揮できる営業組織」を作るための具体的な考え方とアプローチを紹介します。
3-1. 平均値を底上げする「仕組み」の重要性
(1) 営業プロセスの標準化
見込み顧客の獲得から商談化、フォローまでを一元化
営業活動の各ステージを分解し、具体的な行動指針(例えば、見込み顧客への連絡のタイミングや方法など)を明文化しておく。ツールやテンプレートの活用
CRM/SFAを導入し、顧客情報やアクション履歴を可視化することで、誰でも同じ手順でフォローできるようにする。メールテンプレートやスクリプトなども共有し、営業経験の浅い社員でも成果を出しやすい状態をつくる。
(2) 成功事例(ベストプラクティス)のデータベース化
トップセールスの“再現性のある部分”だけを抽出
たとえ属人的なスタイルで成果を上げているトップセールスでも、再現できる要素は必ずあります(例えば、ヒアリングシートの活用方法や顧客との関係構築のプロセスなど)。それらを抽出し、共有可能な形に落とし込む。社内ポータルやナレッジベースの整備
営業トーク例、顧客への提案資料テンプレートなどを蓄積し、誰でも閲覧・活用できる状態にしておく。
3-2. 採用戦略の見直し:ポテンシャル重視
(1) 高報酬合戦からの脱却
優秀な人材を獲得しようとするあまり、給与テーブルを大きく上げすぎると、企業としての収益バランスが崩れる危険があります。そこで、誰もが機能する仕組みを構築することで、求める人材のハードルを“トップクラスの即戦力”から“ポテンシャル採用”へシフトさせることが可能になります。
(2) 成長余地を見込んだ採用
「営業に必要なマインドセット(チャレンジ精神やコミュニケーション力など)はあるが、経験は浅い」という応募者でも、社内に整備された仕組みを使えば高い成果を狙える体制を整えておけば、採用コストを抑えながら将来性ある人材を育成できます。
3-3. 教育・評価体制のアップデート
(1) オンボーディングの強化
業務フローを理解しやすい研修プログラム
テンプレート、シナリオ、ヒアリングリストなど、実際に使うものを学習しながら仕事に慣れるプログラムを設計。メンター制度・チーム体制の導入
経験豊富な社員だけでなく、社内で仕組み活用が上手い社員がメンターとなり、新人がつまずきにくい環境を作る。
(2) 評価の透明化
行動ベースの評価指標を設定
「訪問件数」「商談化率」「フォローアップ件数」など具体的な行動指標を設けることで、営業スキルが高くない社員でも“やるべきこと”が明確にわかる。定期的なフィードバックサイクル
KPIの進捗確認とフィードバックを繰り返し、仕組みの運用状況を評価・改善していく。
4. まとめ
4-1. 本文の要点振り返り
優秀な人材の採用競争は激化しており、高コスト・高リスクがある
トップセールス依存は属人化や離職により事業停滞リスクにつながる
“そこまで優秀じゃない社員”でも成果を出せる仕組みづくりが重要
営業プロセスの標準化やナレッジベース化
成功事例をデータ化し、組織全体で共有
オンボーディングと評価制度の強化
結果的に、“人材の市場価値”よりも“組織としての再現性・仕組み”にフォーカスすることで、採用コストや退職リスクを抑えつつ、安定的に売上を伸ばす体制を築くことができます。
4-2. 今後のアクション
現状のプロセスを見える化する
営業フェーズ、KPI、ツール活用状況をすべて洗い出し、“どこに属人化があるか”を明確に。
トップセールスのノウハウを棚卸しする
「再現性のある部分」と「属人的な部分」を切り分け、前者を徹底的に仕組みに落とし込む。
社内で共通化できる仕組みやマニュアルを整える
チームごとに異なるやり方を一本化し、誰でも同じ品質で営業活動ができる土台を作る。
4-3. 無料相談
弊社では、営業DX導入コンサルティングからツール選定・運用支援まで、一気通貫でサポートしています。以下よりお問い合わせください。
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優秀な人材に頼りすぎず、“普通の社員” でもしっかりと結果を出せる仕組みがあれば、人材難の時代を乗り越えて持続的に事業を成長させていけるはずです。ぜひこの機会に、自社の営業組織を見直してみてください。