【これが】借金ありの底辺がスモビジやってみたらこうなった【マジ】
全文無料。この文章を人生マイナスの人々に捧ぐ。
第1章:俺はまだ本気を出してないだけ
朝日が窓から差し込み、埃の舞う狭い部屋を照らす。目覚めた瞬間、現実の重みが胸に圧し掛かる。また同じ日常が始まるのか。そう思うと、布団から這い出す気力さえ失せる。
携帯が執拗に震える。画面を覗くと、20件の不在着信。全てコンビニ町田からだ。そうか、今日はバイトか。心の中で舌打ちをする。
俺、山田太郎。28歳。肩書きはコンビニバイト。特技は現実逃避。人生の目標?笑わせるな。
母からのLINEが入る。
『太郎、店長さんから連絡あったわよ。具合悪いの?』
またか。この心配が、どこか鬱陶しい。
『ああ、昨日から熱が...ゴホゴホ』
適当に嘘をつく。罪悪感なんて、もう随分前に手放した。
電話が鳴る。母だ。
「もしもし、太郎?本当に大丈夫なの?」
「あー...死にそう」大げさに演技する。この演技が、どこか心地よい。
「そう...あんまり無理しないでね。でも、ちゃんと店長さんに連絡入れときなさいよ」
「はいはい」
電話を切る。これでバイトは回避。後は自由だ。世間の連中が働いてる間、俺は好き放題できる。この優越感が、空虚な心を一時的に満たす。
ベッドに横たわったまま、YouTube を開く。「暇つぶし」で検索しようとした指が、「月収500万」という文字に吸い寄せられる。その瞬間、人生の歯車が音を立てて狂い始めたような気がした。
画面には高級スーツの男と派手な女。まるで別世界の住人だ。しかし、その世界に強烈な憧れを感じる。
「田中さん、本当にすごいですね!昔の生活と今の生活、天と地の差じゃないですか?」
「はは、そうですね。昔を思い出すと本当に感慨深いです」
俺は思わず身を乗り出す。この男の言葉が、まるで救いの手のように感じられる。
「田中さんって、昔はどんな生活だったんですか?」
「実は、数年前まで借金まみれで、毎日バイトを転々としてたんです。今の視聴者の皆さんの中にも、同じような境遇の方がいるかもしれません」
心臓が早鐘を打つ。まさか...俺のことか?
「それが、YouTubeを使ったビジネスに成功して、今じゃ月に500万円は稼いでます。豪華な車も買えたし、六本木にマンションも持ってますよ」
その言葉が、俺の心に火をつける。可能性の炎が、胸の中で燃え上がる。
「すごい!どうやってそんな風に変われたんですか?」
「それが...簡単な方法があるんです。今なら特別価格で、その秘密をシェアしちゃいます!」
俺の心臓が跳ね上がる。この男が、底辺から這い上がった証人なのか?俺にもチャンスがあるってことか?
気づけば「田中 成功法」で検索している。次の動画、その次の動画...時間の感覚が麻痺する。3時間が経過していた。
頭の中で言葉が渦を巻く。「誰でもできる」「簡単」「即効性」...
これらの言葉が、現実感覚を徐々に麻痺させていく。
俺にもできる。いや、俺にしかできない。この才能、今まで眠ってただけなんだ。そう思い込むことで、今までの人生の空虚さを埋めようとする。
母のクレジットカードが頭をよぎる。一瞬の罪悪感。しかし、すぐに打ち消される。これは投資だ。すぐに返せる。いや、返さなくてもいいかもしれない。俺が金持ちになれば、それでいいんだろう?
パソコンに向かう。画面に『0から始める億万長者への道』。
50万円。高額だ。しかし、田中の言葉が頭を占める。「成功には投資が必要」「自己投資こそ最高の投資」
これらの言葉で自分を納得させる。「普通に考えりゃ高いけど、自己投資と考えりゃ安いよな。これで億万長者になれるなら、むしろ安いくらいだ。すぐに元は取れる」
躊躇する指が、決済ボタンを押す。心臓が激しく鼓動する。もう後戻りはできない。
「よっしゃ!これで俺も起業家の仲間入りだぜ!」
その言葉に、どこか空虚さが混じる。
Twitterを開く。
『今日から俺は起業家!月収500万目指すぜ! #新時代の成功者 #億万長者への道 』
投稿する。その瞬間、現実世界からの最後の警告が響く。玄関の開く音。
「太郎、具合はどう?」
母の声に、慌ててベッドに潜り込む。
「あー、まだクソみてえにキツいわ...」
「そう...あ、そうだ。さっき店長さんから電話あったわよ。もう大丈夫なら出てほしいって」
「知らねえよ、そんなの」
母の足音が階段を上がってくる。クレジットカードのことがバレたらマズい。しかし、もはや後には引けない。
「太郎、お金のことなんだけど...」
「うっせえな!いちいち俺に構うな!」
母の声が止まる。その沈黙が、胸に突き刺さる。
でも大丈夫。明日からは大金持ちだ。バイトなんて行く必要ない。俺は起業家になるんだ。
今に見てろよ、世間のヤツら。俺が這い上がる姿を。母さんも、お前の息子が世界を変えてやるよ。
そう思いながら、心の奥底で不安が渦巻く。しかし、その不安から目を逸らし、パソコンの画面を見つめる。『0から始める億万長者への道』の文字が、まるで俺を誘うように輝いている。
よし、始めるか。
マウスをクリックする。動画が始まる。
「みなさん、おはようございます!今日から、あなたの人生が変わります!」
画面に映る男の笑顔が、俺の未来を約束しているようだ。心の奥底で何かが軋むのを無視して、俺は動画に見入る。
第2章:コレは嘘じゃない。未来の自分を映してるだけ
起業塾の動画では「成功はまず見た目から」と言われていた。俺は鏡を見る。ジャージ姿の自分が映っている。これじゃダメだ。でも、高級スーツを買う金なんてない。
途方に暮れかけたが、動画はそんな状態でも大丈夫な方法を教えてくれた。それは「成功者のふりをする」ということだった。
「見た目は内面を作る」とか「なりたい自分になりきる」とか、耳障りのいい言葉が頭の中でグルグル回る。
動画の男は続ける。「高級車の前で写真を撮って、SNSに投稿してみましょう。それだけで、あなたは成功者に一歩近づくんです」
馬鹿げている。そう思う自分がいる。でも、それ以上に、藁にもすがる思いで、その言葉にしがみつきたい自分もいる。
「まあ、試してみるか...」
Google マップで近所の高級車ディーラーを検索する。歩いて30分。行けなくはない。
財布の中身を確認する。1000円札が2枚。
「まあ、何とかなるだろ」
そう呟いて、家を出る。けれど、その一歩が、どれほど危うい賭けなのか、まだ気づいていない。
高級車ディーラーの前で足が止まる。ガラス越しに並ぶ艶やかなボディが、俺の人生とは別世界の象徴のようだ。深呼吸をする。これまでの人生で吸い込んだことのない空気。これが成功者の空気、そんな気がした。
「よし、行くぞ」
自分に言い聞かせるように呟き、扉を開ける。心の中では、これが詐欺まがいの行為だという認識と、これが成功への第一歩になるかもしれないという期待が激しくせめぎ合う。
冷気と共に、革と金属の匂いが鼻をくすぐる。ピカピカの車が整然と並んでいる。値札を見て、思わず息を飲む。
「くそ、桁が違いすぎだろ」
心臓が早鐘を打つ。ここにいるだけで、罪悪感と興奮が入り混じる。俺がこんな場所にいていいのか。そんな疑問が頭をよぎる。
店員が近づいてくる。ビシッと決まったスーツ。俺のジャージとは対照的だ。
「いらっしゃいませ。何かお探しですか?」
声が震える。「あー、ちょっと見てるだけです」
「かしこまりました。ゆっくりご覧ください」
店員が離れていく背中を見送る。ほっとすると同時に、何かが掻き立てられる。今の俺には手が届かない。けど、いつかは...
スマホを取り出し、高級車の前で自撮りをする。シャッター音が鳴る。その音が、現実と虚構の境界線を引くようだった。
Instagram を開く。写真をアップロード。指が震える。
『新車購入!人生変わったぜ!#成功者 #億万長者 #高級車 』
投稿ボタンを押す。心臓が飛び出しそうだ。でもこれは詐欺のためじゃない。未来の自分を今映してるだけ。
店を出る。胸がスカッとすると同時に、背中に冷たい汗が流れる。
歩きながら、スマホをチェックする。いいねが少しずつ増えていく。それぞれのいいねが、俺の存在を肯定してくれているようで、胸が熱くなる。でも、その熱さが空虚さを際立たせる。
「へへ、簡単じゃねえか」
そう呟いた瞬間、母からLINEが来る。画面を見た瞬間、胃が縮む。
『太郎、クレジットカードの明細が来たけど、50万円の請求があるわ。これ、あなたが使ったの?』
「チッ、うるせえな」
返信せずに無視する。けど、頭の片隅でチクチクした痛みが走る。現実から目を逸らそうとしても、それは執拗に俺を追いかけてくる。
金のことなんて、あとからどうにでもなるだろ。まずは見た目が大事なんだよ。
そう、俺は成功者なんだ。金なんて、あとからついてくる。
そう自分に言い聞かせる。でも、その言葉が空っぽに響く。俺は今、嘘と現実の狭間で宙ぶらりんになっている。そして、その境界線がどんどん曖昧になっていくのを感じる。
帰り道、街を歩く人々を見る。みんな忙しそうに、でも充実した顔で歩いている。俺だけが、この流れに逆らっているような気がする。
家に着く。部屋に入る前に、深呼吸をする。ドアを開け、暗い部屋に足を踏み入れる。パソコンの画面が、まだ起業塾のサイトを映している。
もう一度、あの動画を見よう。きっと、何か見落としているはずだ。俺にもできるはずなんだ。
マウスを握る手に、わずかな震えを感じる。画面上で再生ボタンをクリックする。
「みなさん、おめでとうございます!」動画の男の声が響く。「あなたは既に成功への第一歩を踏み出したんです」
その言葉が、妙に心地よく響く。
第3章:金なんて、あとからついてくる。成功は引き寄せるもの
朝日が差し込む部屋で、俺はスマホの画面を食い入るように見つめていた。フォロワーが1000人を超えていた。たった1週間で。
「へへ、人気者になっちまったな」
起業塾の動画では「成功者になりきること」の重要性を説いていた。俺は今、まさにそれを実践して成果を出している。
毎日、高級車や高級レストランの前で自撮り。これは嘘じゃない。未来の自分を今に引き寄せてるだけ。これが俺の新しい現実。
「これが、起業家ってやつさ」
そう呟きながら、Instagram に新しい投稿をアップロードする。
『今日も忙しい一日。でも、こんな充実した毎日を送れるなんて幸せだよ。#億万長者の日常 #成功者の朝 #カネが減らなくて困る 』
投稿ボタンを押す。実際は、昨日の夜撮った写真だ。俺はまだベッドの中にいる。
通知音が鳴る。母からのLINEだ。
『太郎、もう3日も部屋から出てないわよ。大丈夫なの?』
返信はしない。母親には俺の世界は理解できない。SNS上の俺を応援してくれる人たちこそが、本当の理解者だ。
しかし、現実世界に引き戻すようにドアをノックする音が聞こえる。
「太郎、出てきなさい」
母の声だ。重々しくて、少し震えている。
「なんだよ」
ドアを開ける。
「クレジットカードの件、説明してもらえる?」
「あー、それな。ビジネスの投資だよ」
「投資?何のビジネス?」
「SNSマーケティングってやつさ。今に大金持ちになるから」
母の表情が厳しくなる。
「太郎、現実を見なさい。あなた、バイトもクビになったのよ」
「だからなんだよ。俺はもう成功者なんだ」
「何言ってるの?Instagram の投稿のこと?」
「うっせえな!お前に俺の才能なんてわかんねえよ!」
ドアを閉める。鍵をかける。
スマホを見る。また新しいフォロワーが増えている。この数字こそが現実だ。
これが現実だ。俺は成功者なんだよ。
そう、現実なんて知るかよ。俺の世界は、俺が作るんだ。
パソコンの前に座る。起業塾の新しい動画が来ている。
「今回は、成功者になるための究極の秘訣をお教えします」
画面の中の男が、にやりと笑う。
「それは...」
俺は身を乗り出す。この講義で、俺の人生がさらに良くなるんだ。そう確信している。
「お金の引き寄せです」
男は続ける。
「お金は、それを求める人のところにやってくるんです。毎日、自分が大金持ちになる姿をイメージしてください。そうすれば、必ずお金はあなたのもとにやってきます」
なるほど、俺のやり方は間違っていなかったんだ。
「よし、もっとやるぞ」
俺は決意を新たにする。明日からは、もっと豪華な写真を投稿しよう。ダイヤモンドでも買った気分で。
そうすれば、きっと本物のダイヤモンドが俺のもとにやってくるはずだ。
マウスをクリックする。次の動画が始まる。
「みなさん、成功への準備はできていますか?」
俺は大きくうなずく。もちろん、準備はできている。俺は既に成功者なんだ。あとは、世界がそれに気づくのを待つだけさ。
第4章:評価経済社会では俺は富豪。だってフォロワー多いし
2週間が経った。
俺の部屋は、もはや現実世界の一部じゃない。カーテンは閉じられ、外の光は一切入らない。スマホの青白い光だけが、俺の世界を照らしている。
「また100人増えた...これで3000人だ」
フォロワーの数を確認する。その数字が、俺の脳を心地よく刺激する。これこそが俺の資産だ。世間が俺の価値を認めた証拠じゃないか。
「3000人のフォロワーは、3000万円の価値がある」
起業塾の動画でそう言っていた。つまり、俺は既に3000万円の資産家ってことだ。
起き上がる。鏡を見る。髭は伸び放題、目は充血している。でも、それは関係ない。スマホのカメラを向ければ、そこには億万長者の俺がいる。フィルターと加工で、俺は誰よりも成功している。
「よっしゃ、今日も資産を増やすか」
外に出る。まぶしい日光が目に痛い。でも、これも投資活動の一環だ。
高級ブランド店の前で自撮り。 『今日も買い物♪ #億万長者の日常 #評価経済の勝者 』
高級車の前で自撮り。 『愛車のメンテナンス♪ #高級車 #フォロワーは資産 』
高級レストランの前で自撮り。 『今日のランチ♪ #セレブ飯 #いいねの数だけ豊か 』
これは現実だ。だって、評価経済社会では、フォロワーの数こそが富の証明なんだから。
帰り道、コンビニに寄る。カップ麺を買う。レジの女の子が、俺を見て目を逸らす。髭面で、ジャージ姿の俺を、怪しいやつだと思ったんだろう。
「へへ、お前には分からねえよ。俺がどれだけの資産家か」
家に帰る。スマホを見る。いいねの嵐だ。コメント欄には羨望の声が並ぶ。
「あぁ...俺って、富豪なんだ...」
涙が出る。嬉しさで胸がいっぱいだ。
そのとき、母ちゃんからの着信。無視する。旧経済の価値観なんて、もう必要ない。
カップ麺をすする。味なんて関係ない。Instagram には高級フレンチの写真をアップする。
『舌が肥えすぎて、普通の食事じゃ満足できない♪ #美食 #評価経済の勝者の舌 』
投稿する。いいねが付く。資産が増えていくのを実感する。
「これが新しい富の形なんだ...」
起業塾の動画を思い出す。「評価経済社会では、フォロワー数こそが富です。あなたのフォロワーは、あなたの銀行口座です」
そうだ、俺は既に大富豪なんだ。今の生活が貧しいように見えるのは、まだ旧経済の価値観に縛られているやつらには分からないだけだ。
でも、大丈夫。俺の資産(フォロワー)は日々増え続けている。そのうち、誰かが俺の価値に気づいて、大金を払ってビジネスを持ちかけてくるはずだ。
そうすれば、母ちゃんにも見せつけてやれる。俺が正しかったって。
スマホを見る。またフォロワーが増えている。
「へへ、俺の資産がまた増えたな」
夜が更ける。スマホの画面を見つめ続ける俺。旧経済の現実なんて、もういらない。
俺の富は、ここにある。このフォロワー数の中に。明日は、もっとすごい写真を撮ろう。もっと豪華な場所で。そうすれば、きっと旧経済の現実も俺に追いついてくる。
俺は、評価経済社会の勝者なんだ。
最終章:評価経済社会の頂点に立つ者
1ヶ月が経った。
俺のフォロワーは10000人を超えた。つまり、俺の資産は1億円だ。億万長者になった瞬間だった。
「やったぜ...ついに、な」
暗い部屋の中、青白いスマホの光だけが俺の顔を照らしている。髭は伸び放題、目は充血している。でも、それが何だっていうんだ。俺は今や評価経済社会のトップだ。
起業塾の最新動画が来ている。
「評価経済の次のステージ、それは『現実創造』です」
画面の中の男が語る。
「あなたがSNSで創り出した世界こそが、真の現実なのです。今こそ、その現実を具現化するときです」
俺の目が輝く。そうか、俺の想像力が現実を作り出すんだ。
「よし、やってやろう」
スマホを手に、外に出る。まぶしい光に目が痛むが、気にしない。世界は俺のものだ。
高級車のディーラーに向かう。1ヶ月前、初めてここに来た時のことを思い出す。あの時は緊張で足が震えていた。今の俺には、そんな弱さはない。
颯爽と店に入る。前回と同じ店員が声をかけてくる。
「いらっしゃいませ。また見学ですか?」
俺は高らかに笑う。「見学?違うね。今日は買いに来たんだ」
店員の顔が僅かに引きつる。前回の俺を覚えているんだろう。哀れな旧経済の住人め。
「この車を買おう」
最高級のスポーツカーを指差す。以前はガラス越しに眺めるだけだった車だ。
「かしこまりました。お支払い方法は?」
「ふん、現金でいいさ」
俺は胸を張る。これが評価経済の勝者の姿だ。
「はい、では1億円になります」
「ほう、ちょうど良いな。フォロワー1人1万円の計算か」
店員の表情が曇る。「あの、お客様。現金でのお支払いと伺いましたが...」
「ああ、もちろんさ。ほら」
スマホの画面を見せる。フォロワー10000人の数字が輝いている。
「これが俺の資産だ。1億円の価値がある」
店員の困惑した顔が、1ヶ月前の俺自身を思い出させる。哀れな旧経済の住人め。
「お客様、申し訳ありませんが、それでは...」
「なに?お前、評価経済を知らないのか?」
俺は怒り出す。前回の自分のような弱々しい態度はもう取らない。
「すみません、お帰りいただけますか」
店員が丁重に言う。だが、俺にはもう我慢ができない。
「くそっ、お前らみたいな無知な奴らがいるから、世の中が進歩しねえんだ!」
俺は激高して、近くにあった高価そうな置物を掴むと、それを床に叩きつける。1ヶ月前、恐る恐る触れた同じ置物だ。今はもう、そんな遠慮は必要ない。
派手な音と共に、置物は粉々に砕ける。
「これが評価経済の力だ!見ろ!」
次々と商品を床に投げつける。ショールームは瞬く間に破壊の跡が広がる。
「やめてください!」
店員たちが俺を取り押さえようとする。しかし、こいつらに俺の価値が伝わっていない怒りが止まらない。暴れながら、陳列されている車のキーを掴み取る。エンジンをかけ、店内を暴走し始める。
ガラスのショーケースが砕け散り、高級車同士が激突する。破壊の快感と共に、俺のフォロワー数が頭の中で増えていく。
「見ろ!これが俺の力だ!」
店の外に飛び出す。パニックになった人々が逃げ惑う。その様子をスマホで撮影しながら、車を猛スピードで走らせる。
『リアルな世界を作り変える。これぞ評価経済の真髄! #現実創造 #評価経済革命 』
投稿ボタンを押す。いいねの数が瞬く間に増えていく。
街中を暴走する俺。人々の驚愕の表情が見える。みんな俺の凄さに気づいたんだ。
「そうだ、俺こそが時代の先駆者なんだ!」
そう叫んだ瞬間、目の前に大型トラックが現れる。
ガシャーン!
激しい衝撃と共に、意識が遠のいていく。
目を開けると、そこはパトカーの中だった。手錠をかけられている。
「なに...これ...」
隣に座る警官が冷ややかな目で俺を見る。
「あなたを器物損壊と危険運転致傷の容疑で逮捕します」
現実?幻想?もはや区別がつかない。
だが、俺にはまだスマホがある。最後の力を振り絞って、自撮りをする。
『警察も俺の評価経済理論に興味津々。さすが時代の先駆者は大変だ。#逮捕 #評価経済の殉教者 』
投稿ボタンを押す。いいねが殺到する。
これでいい。俺の資産がまた増える。
そう、これこそが現実なんだ。俺は今、1ヶ月前の自分には想像もできなかった高みにいる。
警官が俺のスマホを取り上げる。
「これは証拠品として押収します」
俺の中で何かが崩れ落ちる。だが、それでも俺は信じている。
評価経済は、きっと俺を救ってくれる。そう、必ず...
底辺がスモールビジネスに取り組むとこうなります。
上で書いたストーリーは実話です。ごめん、嘘です。フィクションです。
終盤はちょっとやりすぎなくらいイカレタ人間になりましたが、人生マイナスの人がスモビジに挑戦して成功するのはそのくらい不可能なんです。
スモビジ大全では、人生マイナスの状況に居る人が"一発逆転"を求めて挑戦することは推奨していません。
もちろん、そんなことを言われても俺はやる、という人は好きにしてください。自分の人生ですから。他人に迷惑をかけないのであれば自由に生きていいんです。
ただ、断言してもいい。世の中にはスモビジに挑戦する資格すらない人がいるんです。
【具体例】どんな状況の人が挑戦するとこうなる?
スモールビジネスという挑戦に関していうと次の3点に当てはまる人は挑戦しない方が良いです。
借金がある人
ブラック企業勤め
生活困窮者
消費者金融系の借金がある人や信用情報に傷があってクレカが作れない(貯金もない)という方はまぁ、厳しいです。
スモビジはスモールとはいえ、リソースを効率よく投資してリターンを得る活動です。IQ80でも、普段の生活で金の使い道が破綻している人が事業をやってうまく行く確率が低いことくらい理解できますよね。
また、ブラック企業勤めは薄給と激務の両方が重なると無理です。投資するリソースが無いということになりますから。一旦転職するなど、環境を整えたうえで挑戦しましょう。
最後に、どんな理由であれ明日生きるのも大変な人が事業をやるべきではありません。
ビジネス、特に真っ当なビジネスというのは「お客様に価値を提供して」そのあとにお金を頂くのです。明日生きるのも怪しい状況で、先に与えることができるでしょうか?
価値を提供する人すら見つからないことがあるのに?
普通に考えて無理です。
一発逆転系ストーリーは詐欺への入り口
昔は貧乏で、パスタをみずにつけて食べてました。みたいな貧乏ストーリーからビジネスに出会って成功した系の話は大抵詐欺への入り口です。
語っている本人は成功していることもあるでしょう。しかし、大事なところを伝えてないことが多いのです。
血反吐を吐くような努力、人間関係などすべてを捨ててでも事業に取り組む覚悟、24時間365日売上を作ることだけを考える。
これらを薄っぺらい宣言だけでなく、実際にやってのけていた期間があるはずなんです。
真に目を向けるべきは貧乏だった時のエピソードではなく、這い上がることのしんどさの部分。そこが薄い人は甘言であなたを沼に"引き寄せ"用としていると思って間違いありません。
悪いことは言わない。まずはゼロの状態に戻ろう
悪いことは言いません。マイナスの状態からプラスを目指すのではなく、まずは一旦ゼロの状態を目指しましょう。
そうして、そこから何度も挑戦してプラスを掴めばいいんです。
その方が早いんです。
高評価・リツイート・スキ大好きです
承認欲求モンスターなので高評価・リツイート・スキがないと狂います。お願いします。高評価、リツイートを良くしてくれる人、認知してます。良いことが起きるでしょう。
ここから先は
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