現場で見られるゲーム分析の落とし穴1
研究の話ばかりでは面白くないので、少し現場の話をします。フットサルでもアナリストを目指す方が少しずつ出てきました。まだまだ、予算的な側面でアナリストだけで生活ができる環境ではありませんが、大学生チームではちらほらと見かけます。
分析は必ず行われている
フットサルだけではないのですが、ここ最近のマスコミによるマーケティング(印象操作?)が効きすぎたせいか、データによって勝敗が決するというような印象を受けがちです。
しかし、現場によってはデータを重視しない(できない)ところが多いのも事実です。チームの予算的問題として、データを集めるスタッフがいない、時間がないという現場も多いでしょう。また、指導者によっては、データというものを毛嫌いする方もいるかも知れません。ただ、彼らも(特に結果を出している指導者であれば)何らかの指標や物差しを頭の中に準備していて、意識・無意識に関わらず、これらを元に決断していることが多いです。
一方でデータを活用する指導者であっても、データだけで決断してるのではなく、先述のタイプと同じく、頭の中で何らかの経験知をアナリストから得られたデータに付け加えて、決断していることが多いのです。
なので、アナリストは所属するチームにおいて、「どんなデータを得ることができるのか?」、「指導者はどのようなデータ処理を頭の中で行っているのか?」を理解する必要があります。
現場とメディアの分析は異なる
一般的な話として、メディアに掲載されているゲーム分析はファンを対象にしたものです。ファンを対象にしたゲーム分析とコーチング現場を対象にしたもの、どちらの方が市場が大きいのか、ビジネスとして魅力的なのか言わずもがなですよね。
現場で分析をする場合、ファン向けのゲーム分析と現場向けの分析は異なることを理解する必要があります。さしずめ、アナリストはレントゲンや血液検査をする担当。監督やヘッドコーチ(HC)がそれらの結果から診断し、処方箋を出すという流れでしょうか。現場では、解決できないデータや分析結果は意味がありません。検査結果が分かっても、薬を持っていなければ、医師が専門外であれば意味がないのです。アナリストがアウトプットする分析は、監督やHCの引き出し、チームのリソースに基づいたものである必要があります。