マガジンのカバー画像

透明なシェイクスピア

6
もっとクリアに刺さるシェイクスピアを! 新しい翻訳の試みを語ります。 (付記)紙の本、神保町の共同書店PASSAGE(パサージュ)で取り扱っていただいています。どうぞよろしく。…
運営しているクリエイター

#生きるべきか死ぬべきかそれは誤訳だ

透明なシェイクスピア crystal−clear Shakespeare まえがき

いま、この文章を読んでくれているあなたへ。 あなたがこのページにたどり着いたのは、たぶん、偶然ではない。 あなたは捜していたのではないですか? 「シェイクスピア」を。 シェイクスピアは難しい、と言う人たちがいる。 シェイクスピアは難しくない、と言う人たちがいる。 どっちなの、と、思ったりしませんでしたか? 結論から言おう。 どちらも正しく、まちがっている。 シェイクスピアは難しい。400年前の英語だからあたりまえだ。 しかも詩だ。 小説ではない。戯曲だ。戯曲で、かつ、

「生きるべきか死ぬべきか」、それは誤訳だ。『ハムレット』の"例の箇所"について(透明なシェイクスピア(1))

To be, or not to be, that is the question.『ハムレット』三幕一場の「例の箇所」だ。いま、この記事を読んでくれているあなたは、どういう日本語訳で覚えているだろうか? 「生か死か」? 「世に在る、世に在らぬ」? 「生きるべきか死ぬべきか」? あえて言おう。どれも、誤訳だ。 え、どこが誤訳なの? と、あなたは問うかもしれない。 "be"という動詞には「存在する」という意味があるから、その不定詞"to be"は「存在すること」つまり「生き