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映画日誌’20-44:エイブのキッチンストーリー

trailer:

introduction:

異なる文化を背景にもつ両親のもとに生まれた少年が、何かと衝突する家族の絆を料理でつなぎ直そうと奮闘する姿を描いたドラマ。映画監督であり、YouTuberであり、新聞や雑誌の記者でもあるブラジル人のフェルナンド・グロスタイン・アンドラーデが、自身の半生をベースに独自の視点で物語を紡ぐ。ドラマシリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」などのノア・シュナップ、『シティ・オブ・ゴッド』などのセウ・ジョルジが出演する。(2019年 アメリカ,ブラジル)

story:

ニューヨーク・ブルックリンで生まれ育ち、イスラエル系の母とパレスチナ系の父を持つ12歳の少年エイブ。文化や宗教の違いから何かと対立する父方と母方の家族に悩まされる中、彼にとって料理をすることが唯一の心の拠りどころだった。そんなある日、世界各国の味を掛け合わせた「フュージョン料理」をつくるチコというブラジル人シェフと出会う。フュージョン料理を自身の複雑な背景と重ね合わせたエイブは、自分にしか作れない料理でバラバラになった家族をひとつにしようと決意するが...

review:

食べ物と料理が大好きな12歳のエイブ、イマドキの子どもらしく、作った料理をインスタにアップしたりする。そんなに料理が好きならとサマーキャンプの料理教室に放り込まれるが、レベルの低い内容にウンザリして抜け出し、前から気になってたフュージョン料理人チコのところに押し掛け入門しちゃう。でもエイブはパレスチナ系とイスラエル系のハーフっていうブルックリンでも稀に見る超レアキャラで、双方の家族が集まるともうたいへん。ざっくり言うとそういうプロットなんだけど、この作品を撮ったフェルナンド・グロスタイン・アンドラーデ監督はユダヤ人とカトリック系ブラジル移民の三世で、自身の体験をベースに物語を構築したそうだ。が、イスラエルとパレスチナって、重みが・・・

イスラエル/パレスチナはアジア、ヨーロッパ、北アフリカを結ぶ重要な場所であり、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の聖地であるエルサレムをめぐる争いには長い長い歴史があり、さまざまな国や民族、宗教に支配が移り変わってきた。1947年、アラブ人の住むパレスチナにユダヤ人国家イスラエルが建国されると紛争が勃発。現在のパレスチナは、東をヨルダンに接する「ヨルダン川西岸地区」、西を地中海、南をエジプトに接する「ガザ地区」に分かれており、ガザには、「自治区」とは名ばかりのイスラエルの占領地に180万人のパレスチナ人が収容されている。四方を海と壁、フェンスで囲われ、イスラエル軍に完全に包囲された“空の見える監獄”だ。イスラエル軍の激しい爆撃を受けて多くの市民が犠牲になっており、世界で最も1平方メートルあたりの流血量が多いと言われている地域である。

という背景からして、孫がフュージョン料理を作ったくらいで仲直りとか無理よね・・・。そんなに簡単じゃないから、孫が一生懸命料理してる隣で紛争始まっちゃって止まらないのはある意味リアリティがあるが、パレスチナ系、イスラエル系のみなさんはこの映画をどう観るのかが気になる。何ならそれだけが気になる。テーマそのものはとても興味深いけれど、いまいち奥行きがなくて納得感がない。「少年が料理を通じてアイデンティティーを探し出す」と謳っているが、あんまり心に残らなかったなぁ。ただ、ノア・シュナップかわいい。どこまでもかわいい。眼福なので、みんな観たらいいよ。ブラジル人料理人のチコは『シティ・オブ・ゴッド』に出ていたそうで、『シティ・オブ・ゴッド』はいい映画だったよなぁ。

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