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映画日誌’21-10:カポネ

trailer:

introduction:

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』などのトム・ハーディが、“暗黒街の顔役”と恐れられた伝説のギャング、アル・カポネの晩年を演じた伝記ドラマ。『クロニクル』などのジョシュ・トランクが脚本・監督を務め、『パルプ・フィクション』『イングロリアス・バスターズ』のローレンス・ベンダーが製作陣に名を連ねる。『ハウス・ジャック・ビルト』などのマット・ディロン、TVシリーズ「ツイン・ピークス」のカイル・マクラクラン、『ダンケルク』などのジャック・ロウデンらが共演する。(2020年 アメリカ,カナダ)

story:

1940年代半ばのフロリダ。長い服役生活を終えたアル・カポネは、大邸宅で家族や友人たちに囲まれひっそりと暮らしている。かつて“暗黒街の顔役”と恐れられたカリスマ性は失われ、梅毒の影響による認知症が進行していた。一方、FBIのクロフォード捜査官は今も彼を危険視して仮病を使っていると疑い、隠し財産1000万ドルのありかを探るべく執拗な監視活動を続けていた。やがて症状が悪化したカポネは現実と悪夢の狭間で奇行を繰り返して周囲を困惑させ、妻のメエでさえも彼の真意をつかめなくなっていくが...

review:

トム・ハーディがカポネ!カポネがトム・ハーディ!ってことで勇み足で劇場に向かったが、いささか勇み足が過ぎた。連日4時間のメイクアップを施して「スカーフェイス」になりきり、病魔に蝕まれ狂気に落ちていくカポネを生々しく演じたトム・ハーディーの怪演は確かに凄みがあったが、糞尿を垂れ流して徘徊する姿はなかなかショッキング。世界中のトム・ハーディーファンの落胆が見えるようだ。

それでも、映画が面白ければ受け入れられるものだと思うが、ひたすら陰鬱なだけで何も心に響いてこない。絶妙に間延びしたテンポ、抑揚があるんだか無いんだか、妄想なのか現実なのか分からない展開に睡魔が襲ってくるほどだった。暗黒街の顔役と言われた悪名高いギャングの哀れな末路を描いているが、これ、映画にする必要があった・・・?という疑問符しか残らない。何が言いたいのかよく分からないのである。

ちなみにこれを映画にしちゃった脚本家で監督のジョシュ・トランクは、かねてよりカポネの偉業に魅せられていたが、彼の最晩年が人々に忘れられ、勝利という観点からしか語られないことが気にかかっていたそうだ。いやだからって、という気持ちになるが、思わずアル・カポネの生涯をWikipediaで読んでしまったよ。

それで何が一番びっくりしたかって、彼の享年が48歳だったことである。ということは、本作でトムが演じていた「老」カポネは47、8歳だったということだ。深い業を背負い、生き急ぐ人間というのは、あのような形相になるのだろうか。それをなりふり構わず体現したトム・ハーディの仕事は素晴らしかったと言うべきだろう。

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