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『コロの友達』コロの話第3話(全5話)


神坂雪佳『百々世草』

頭の上に友達
白くてピョンピョン跳ねる
ちょっと痛いんだけどね
まぁいいや

夏に出会った白い小鳥、ピョン
ほんとは違う名前らしいけど
いいさ、深くは聞かない
腹を空かせてうずくまっていた

「空を自由に飛んでみたくてさぁ
それで逃げてきたんだ
鳥かごにいれば食べるのに困らないけど
ぼくは自由に憧れたんだ」

ピョンが憧れたという自由
彼は何度も空を飛び回ったよ でも
すぐ疲れてぼくの頭に降りてくる
自由は疲れるものらしい

頭の上に友達
一人の旅が二人連れになった
話し相手になってくれるから
時間が経つのが速くなった

「ねぇ、コロ。君だから言うけどさ
ぼく、ほんとは捨てられたんだ
カゴから出されて、自由に生きろって
だからぼく、名前を言いたくなかったんだ」

いいさ、君はピョン
ぼく達、友達さ
ずっとね
そう思っていたけれど

冬はピョンには厳しすぎた
霜が降りて葉っぱも凍ったある朝
ピョンは目を開けてくれなかった

何でだよう
ピョンはいい奴だった
どうしてこんな目に遭うんだよう
悲しい、悲しいけど……

泣くもんか
ピョンを捨てた奴を恨むもんか
友達になれたんだから
これからも友達なんだから

頭の上に青い空
白い雲が流れていくのを見ると
ピョンが飛んでるように見えるんだ
疲れたら降りておいでよ

ぼくはいつでもいるよ
ずっと友達だよ



こちらが以前の話になります。


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