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美しい夢の裏に潜むリスク チューリップバブルから学ぶ、堅実な投資の一歩

「さいた さいた
チューリップのはなが
ならんだ ならんだ
あか しろ きいろ
どのはなみても きれいだな~」

さくらは、幼い頃に母と一緒に歌ったこの童謡を、ふとした瞬間に思い出していた。春が訪れるたびに家の庭に咲いた色とりどりのチューリップ。それを見ながら、この歌を母と一緒に口ずさんでいたのだ。赤や白、黄色のチューリップが並んで咲く姿は、子どもの頃の彼女にとって純粋な美しさの象徴だった。

「どのはなみてもきれいだな…」

その時は何も疑うことなく、ただその美しさに浸っていた。だが、22歳になった今のさくらにとって、チューリップは違う意味を持ち始めていた。福岡を離れ、東京で一人暮らしをする彼女は、日々の生活費をなんとか賄うだけで精一杯の状態だ。派遣事務員として働きながら、小説家になる夢を抱えてはいるものの、現実の経済的な問題が重くのしかかっている。

夢を追い続けるためには、どうしてもお金が必要だと感じたさくらは、最近「投資」を始めた。年金2000万円問題が話題になった頃から、将来への不安が募り、少しでも資産を増やす必要があると感じたからだ。

しかし、投資初心者のさくらにとって、何から始めればいいのか分からず、まずはオールカントリー(オルカン)に100円を投資した。まだ本格的な積立はしていないが、少しずつ投資の世界を学んでいる最中だ。

そんな彼女が最近気になっているのが、Twitterで話題になっている「Nvidia」の株だ。AIと半導体技術で世界を席巻しているこの企業の株価は、日を追うごとに上昇していた。さくらがフォローしている投資アカウントも次々と「Nvidiaは今が買い時!」といった投稿をしており、その熱気は日に日に高まっていく。

「今買っておかないと、後悔するかもしれない…」

さくらはそう思わずにはいられなかった。Nvidiaの株価が急騰するたびに、Twitterのタイムラインには「何年か前にNvidiaを買っていたら、今はこんなに儲かっていたのに」という話があふれていた。その投稿を見ながら、さくらも自然と心がざわついていた。

「もしかして、今Nvidiaの株を買っておいた方がいいのかな…」

しかし、その瞬間、さくらの頭の片隅には、17世紀にオランダで起こった「チューリップバブル」の話がよぎった。

彼女が最近読んだ投資関連の書籍に載っていたこの歴史的事件は、彼女の中に強く刻まれていた。美しいチューリップの球根が、ある時期に富の象徴となり、人々はその価値が永遠に上がり続けると信じて投機を繰り返した。しかし、やがてバブルは崩壊し、財産を失った人々が続出した。

「みんな、あの時も価値が上がり続けるって信じていたんだよね。でも、結局は崩壊した…」

さくらは、楽天証券の画面を見つめながら、深く息をついた。Nvidiaの株価は、彼女のフォローしている投資家たちが言うように、確かに急上昇していた。しかし、彼女の中で警鐘が鳴っていた。これは過去のチューリップバブルのような、短期的な熱狂ではないのか、と。

「焦っちゃだめ。私はまだ初心者だし、リスクを無視して大きく張るなんて危ない」

そう自分に言い聞かせた。彼女はまだ100円しかオルカンに投資していない。

投資の経験は浅く、無理をして大きなリスクを取るべき段階ではないことは明らかだった。それに、今ここでNvidiaに投資してもし大きな損をしたら、その失敗をどうやって受け止めればいいのか、想像するだけで恐ろしかった。

その夜、さくらは2歳上の兄に電話をかけた。兄は昔からさくらの相談相手で、頼れる存在だ。彼は既に社会人として数年の経験があり、冷静に物事を判断する力があるとさくらは信じていた。「Nvidiaの株が今すごいことになってるんだけど、買った方がいいかな?」と、さくらが尋ねると、兄は少し考えてから答えた。

「確かにNvidiaは今話題になってるけど、株価は上がり続けるわけじゃないよ。チューリップバブルと同じように、どこかで過熱が冷める瞬間がくることもある。

それに、さくらはまだ投資を始めたばかりだろ?焦らずに、自分のペースでやっていくのがいいんじゃない?」

その言葉に、さくらはホッとした。彼女も兄の言う通りだと感じていたし、そのアドバイスを聞いて安心感を得た。焦ってリスクを取るのではなく、まずは少額で学びながら投資に向き合うことが今の自分には最適だと感じた。

翌日、さくらはNvidiaの株を買うという誘惑を振り払い、もう少し冷静に相場を見守ることに決めた。

投資は長期的に取り組むものだと自分に言い聞かせ、過去のバブルの教訓を胸に刻んで、さくらはこれからも焦らず、自分のペースで進んでいこうと決意した。

「さいた~ さいた~
チューリップのはなが~
ならんだ~ ならんだ~」

子どもの頃の思い出の歌が、さくらの中で静かに響いていた。チューリップのように美しく、しかし儚いバブルを乗り越え、さくらはこれからも堅実に、自分の人生を歩んでいこうと心に決めた。

これからも投資頑張るので、皆応援よろしくね😚
ここまで読んでくれたあなたが大好きです😍!
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