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世界の格差は広がっている?さくらが見つけた、資産を持たないと置いていかれる現実

秋の夕暮れ、冷たい風が頬を撫でる中、さくらは仕事帰りに駅前を歩いていた。いつもと変わらない帰り道、何となく疲れを感じながら歩いていると、ふとベンチの端に座り込んでいるホームレスの男性が目に入った。彼は薄い布にくるまっており、寒さに耐えている様子だった。その姿がさくらの心に強く残り、足が止まった。「どうしてこんなに困っている人がいるんだろう…」さくらはその場を通り過ぎながらも、男性のことが頭から離れなかった。

「自分の生活はどうだろう?恵まれている方なのか…」と、さくらは自分の生活と重ね合わせて考えた。毎日忙しく働いて、貯金も少しずつ増えているが、それでも将来に対する不安は消えない。彼女は、そのホームレスの姿が頭から離れないまま、その夜、家に戻った。

自宅のリビングで、さくらはソファに腰を下ろし、スマートフォンを手に取った。「ホームレス 日本 貧困」と検索してみると、次々に情報が表示された。彼女が気になったのは「絶対的貧困」という言葉だった。世界では5人に1人が、生活に必要な最低限の物すら手に入れられない絶対的貧困状態にあるという事実に、さくらは強いショックを受けた。

「どうしてこんなに多くの人が、これほど苦しい生活を送っているんだろう?」と、さくらは疑問を抱きながら、次々と表示されるページをスクロールして読んでいった。日本だけでなく、世界中で多くの人が厳しい生活を強いられている現実が、さくらの心に重くのしかかった。単に仕事をしているだけでは解決できない大きな問題が、社会には存在するのだと感じた。

次第にさくらの興味は「格差」へと移り、なぜこんなにも経済的な格差が広がっているのか、その背景にある原因を知りたいと思うようになった。彼女は検索を続け、その中で「トマ・ピケティ」というフランスの経済学者の名前に行き着いた。彼の理論で有名なのは「r>g」というものだという。

「r>g…?」さくらはその言葉に疑問を抱き、さらに調べてみた。ネットで見つけた簡単な説明を読むと、「r」は資本(お金)から得られる利益、たとえば株式投資や不動産からの収益を指し、「g」は経済全体の成長率を表すという。ピケティは、資本主義社会では資産から得られる利益(r)が、経済成長率(g)を上回ることが多いため、資産を持っている人がどんどんお金を増やしていく一方で、資産を持たない人はその恩恵をあまり受けられないと指摘しているのだ。

「つまり、資産を持っている人はどんどんお金持ちになって、資産を持っていない人はそのままってことか…」さくらは、ピケティの理論が現代の社会でなぜ格差が広がっているのかを説明していることに気づいた。資産を持たない自分自身が、この構造の中でどうなっていくのかを考え始めた。

さらにさくらは、ピケティが述べている「20世紀前半の格差縮小」についても調べてみた。彼によれば、特に2つの世界大戦が、富裕層の資産を大きく減少させた結果、貧富の格差が一時的に縮小したというのだ。戦争によって多くの資産が破壊され、国家が高い税金を課すことで富の再分配が進んだ。そして、戦後には社会保障制度が導入され、貧困層を支えるための制度が整ったという。

「戦争が格差を縮小させたなんて、皮肉だよね。」さくらは、戦争がもたらした悲劇的な状況によってしか格差が縮まらなかったという現実に、何とも言えない感情を抱いた。多くの人々の命が失われ、経済的な混乱が生じたからこそ、格差が縮小したというのは悲しいことだと思った。

さらに調べる中で、さくらは驚くべきデータに出会った。それは、「世界のトップ26人の超富裕層が、下位50%の約40億人と同じ量の資産を持っている」というものだった。ほんのわずかな人々が、世界中の半分に相当する人々と同じだけの富を持っているという事実が、彼女に強烈な印象を与えた。このデータは、現代社会における経済的な不均衡を象徴している。

「このままじゃ、格差はどんどん広がっていくんだろうな…」とさくらは不安を感じた。自分自身がその広がる格差の中で取り残されてしまうのではないかという危機感も覚えた。単に働くだけではなく、資産を持ち、お金を増やしていかなければ、この経済的な構造に追いつけないのではないかという思いが彼女の中に芽生え始めた。

「もし格差がどんどん広がっていくなら、私も資産を持たないと取り残されちゃうかも…」さくらは、自分自身で資本を持つ必要性を感じた。それは、単に貯金を増やすことではなく、資産を運用し、株式や投資を通じてお金を増やしていくことだと気づいた。

「資産を持つって、つまり株式投資のことなんだ…」さくらは突然その結論に達した。資本主義社会の中で、資産を持っていなければ、その格差の波に飲み込まれてしまう危険性があると感じたのだ。単に働いてお金を稼ぐだけでは、広がる格差の中で生き抜くことができないのかもしれない。

「投資ってリスクがあって怖いけど、何もしなければ何も変わらない…」さくらは少し不安を感じながらも、投資について勉強してみようと思い始めた。そこで、さっそくスマートフォンで「株式投資 初心者」と検索し、出てきた情報を一つずつ読んでみることにした。

「もし今から投資の勉強を始めれば、私もこの広がっていく格差に取り残されずに済むかもしれない…」さくらは心の中で自分に言い聞かせた。自分も資本を持つことができれば、広がり続ける格差の中で、少しでも対抗できるかもしれないという期待を抱いた。

その夜、さくらはベッドに横たわりながら、将来のことを考えていた。これからはただ働くだけではなく、資産を増やす方法を学んでいかなければならない。資本主義社会で生き残るためには、資産を持ち、それを運用してお金を増やしていくことが大切だと感じた。

「これから少しずつでも、投資の勉強をして資産を増やしていこう…」さくらは決意を新たにし、翌日からの行動計画を頭の中で思い描きながら、眠りについた。

参考文献
非政府組織Oxfamが発表した報告書(2020年版)


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