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「未来を見据えるなら、S&P500よりオルカン!歴史が教える投資の真理とは
さくらは、今日も兄と電話をしていた。最近、投資を始めたばかりのさくらにとって、兄は頼れる先生だった。電話の向こうの兄の声は少し興奮気味で、いつもより熱を帯びている。
「さくら、S&P500よりもMAXIS全世界株式、いわゆるオルカンに投資した方がいいって話、ちゃんと理解してるか?」兄がそう言うと、さくらは少し困った顔をした。
「うーん、なんとなく分かるけど、アメリカ株って人気なんでしょ?なんで危険なの?」と、彼女は正直に答えた。
兄は一瞬沈黙した後、丁寧に説明を始めた。「さくら、今アメリカの株式市場はバブル状態かもしれないんだ。バブルっていうのは、価値が本来の水準以上に膨れ上がっている状態を指す。例えば1980年代の日本を覚えてる?」
「ううん、その頃のことは知らないけど、日本もバブルだったんだよね?」さくらは好奇心旺盛な声で尋ねた。
「そう、日本株が世界の60%を占めていた時代があった。でもそのバブルははじけて、日本経済は長い間低迷することになったんだ。その頃の日本みたいに、今のアメリカも株価が過大評価されている可能性が高いんだよ。」
「それじゃ、アメリカの株に投資するのは危ないってこと?」さくらは不安そうに聞いた。
兄はゆっくりと肯定するように答えた。「その可能性はある。アメリカは今、株式市場の中心だけど、未来永劫そうだとは限らない。歴史を振り返れば、日本がそうだったように、他の国が台頭する可能性がある。例えば、インドや中国がこれからの主役になるかもしれない。」
その言葉を聞いたさくらの頭には、テレビやニュースで見た活気あるインドや中国の街並みが思い浮かんだ。急成長する経済や、未来に向かって進んでいる様子が鮮明に浮かぶ。
「でも、どうしてオルカンが良いの?」さくらは質問を重ねた。
「それはね、オルカンが世界中の株式に分散投資しているからだよ。」兄の声が少し得意げになる。「今はアメリカがポートフォリオの60%を占めているけど、それは世界経済の現状を反映しているだけだ。もしこれからインドや中国が成長すれば、オルカンのポートフォリオも自然とそれに合わせて変わる。つまり、自分であれこれ調整しなくても、世界の流れに沿った投資ができるんだ。」
「へえ…便利だね。それに比べてS&P500はどうなの?」さくらは素直に感心しながら尋ねた。
「S&P500はアメリカの企業500社だけに投資する仕組みだから、アメリカがバブルだったり、成長が鈍化したりすると一気に危険になる。それに分散が効いてないから、リスクも高いんだよ。」兄の言葉に力がこもる。
さくらはふむふむと頷きながら、ふと気になったことを聞いてみた。「でも、アメリカってずっと強いイメージがあるよ。そんなに簡単に落ちぶれるものなの?」
兄は少し笑いながら答えた。「それが、歴史の面白いところなんだ。どんな国にも全盛期があるけど、それがずっと続くわけじゃない。例えば大英帝国も一度は世界を支配していたけど、今はその影響力が小さくなった。同じことがアメリカにも起こるかもしれないんだよ。」
「なるほどねぇ…」さくらは考え込むように言った。今までアメリカ株が最強だと思っていたけれど、兄の話を聞いていると、確かにその先行きが不安になる。
「それに、オルカンは初心者にも向いてるよ。」兄が付け加える。「国や企業を自分で選ばなくても、世界全体に投資できるから、リスクが分散されていて安心なんだ。」
さくらは頷きながら、心の中で新たな目標を立てていた。「じゃあ、私もオルカンに投資してみようかな…。まずは小額からでも始めてみたい。」
その夜、さくらはノートを開いて今日学んだことを整理し始めた。「S&P500よりオルカンが良い理由」を自分なりに書き留め、次の行動に向けて計画を立てる。未来への一歩を踏み出すその表情には、不安と期待が入り混じっていた。
さくらは、自分がどれだけ成長できるのか、そしてどんな未来が待っているのかを想像しながら、少しずつ眠りについた。