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Wanderer/Ren Zotto(にじさんじEN)歌詞和訳

 個人的な和訳+和訳自体の解説の記事です。
 歌詞に対する個人的な解釈もちょこっとだけ。
 先に翻訳にあたっての自分ルールを記載していますので、そちらもご確認ください。

今回の翻訳のスタンス

 割と抽象的、比喩的な歌詞が多い印象だったので、なるべく意訳しすぎないようにしています。それは和訳された状態でも、歌詞を受け取った人それぞれが自分なりに解釈できるように、訳者個人の解釈を和訳の段階で含まないように心がけているためです。

 そして、和訳のあとの章では、
 原文>翻訳>教科書的な直訳>どうしてこう訳したのか解説
 を並べるパートを設けます。
 私個人の翻訳ベースに、直訳や解説も含めて歌詞全体を理解する助けになれば……というのが記事の目的です。
 また今回は結構you,Iって誰なんだろう? というのが歌の中で明確に示されていなかったため、翻訳しながら自分で解釈を決めて訳にあたりました。それでも訳だけで各自の解釈ができるような翻訳に努めているつもりですが、私自身の解釈も最後におまけとして付けておきます。

 また今回も正式な歌詞が分からなかったため、とりあえず行先頭を大文字にするような形で適用しています。最適な原文(?)がわかる方がいらしたらお知らせください。

 誤訳や疑問点ある方はぜひぜひコメント欄やツイッターにてお知らせください。ツイッター↓

咲斗 (@sakuto_en) / Twitter

 また、まだ少ないですが、他の曲も同じように大抵解説付きで訳しています。以下にまとめていますのでよろしければどうぞ。

歌詞和訳

In the back seat of your mind, do you feel as though you’ve always known me?
頭の中の後部座席あたり 僕がいるってずっと分かってたみたい?

Shivers down your spine, are you feeling like you’re missing something?
ぞっと震える背筋 何かを逃してる気分なの?

I could turn your night alive, would it be wrong to trust me?
僕だったら まるで死んでる君の夜に明かりを灯せるけど 僕を信じるのは間違いかも?

Only inches and inches away
あとたった数センチ 数センチのところにいるのに

It’s not black and white, there’s only so much words can convey
白黒つけられない 言葉で伝えられることは限られてる

I could be human or there could be more that I could say
僕は人間だと言えるのか 他の選択肢だってあるんだろうか

So, can you hear?
ねえ 聞こえる?

I’m afraid I’ll disappear
消えるのは怖いよ

I’m a wanderer, my dear
僕は放浪者 そうだよね

Falling down like lonely tears
孤独な涙みたいに落ちてゆく

Could you be alone with me?
僕とひとりになってくれる?

I’m an untold archetype, there’s a reason why they all evade me
いわゆるこういうタイプの存在って僕を言い表せる言葉はなくて だからみんな僕を避けるんだろう

Lost just out of sight? Well you won’t be alone now
ちょっと目を離せば見失う? それならひとりでいるわけじゃないってことになるね

I could be yours, kept alive in the shallow breaths you try to hide
僕は君のものだと言えるのかも 呼吸はずっと浅いまま生かされて 君は隠そうとするけど

Only inches away
あとたった数センチのところにいるのに

So can you hear?
ねえ聞こえる?

I’ve lived here, I’ve lived here waiting, it’s been some time
ここで生きてきた 待ちながらここで生きてきた いくらかの時間が経った

I can’t take it anymore, I’m one step behind
もう耐えられそうにない あと一歩だったけど

So, can you hear?
ねえ 聞こえる?

I’m afraid I’ll disappear
消えるのは怖いよ

I’m a wanderer, my dear
僕は放浪者 そうだよね

Falling down like lonely tears
孤独な涙みたいに落ちてゆく

Could you be alone with me?
僕とひとりになってくれる?

It’s not black and white, there’s only so much words can convey
白黒つけられない 言葉で伝えられることは限られてる

I could be human or there could be more that I could say
僕は人間だと言えるのか 他の選択肢だってあるんだろうか

So, can you hear?
ねえ 聞こえる?

Can you hear?
ねえ 聞こえる?

I’m afraid I’ll disappear
消えるのは怖いよ

I’m a wanderer, my dear
僕は放浪者 そうだよね

Falling down like lonely tears
孤独な涙みたいに落ちてゆく

Could you be alone with me?
僕とひとりになってくれる?

Could you be alone with me?
僕とひとりになってくれる?

直訳気味の訳+英語解説

1行目:歌詞、3行目上記翻訳で適用した和訳で、その間の訳が2行目です。

In the back seat of your mind, do you feel as though you’ve always known me?
君の脳内の後部座席で まるで僕のことをずっと知ってたみたい?
頭の中の後部座席あたり 僕がいるってずっと分かってたみたい?

 In the back seat~にいるのをIとするかyouとするか迷いましたが、とりあえず原文に出ていないのでどっちとも取れそうな感じで、前半に君・僕という言葉は使わないようにしました。

★英語メモ:as though~ まるで~

Shivers down your spine, are you feeling like you’re missing something?
背筋を震わせて 何かを逃したように感じてる?
ぞっと震える背筋 何かを逃してる気分なの?

 you're missing ~ 今まさに何かを逸しているような、失いかけているような、ということですね。miss は「(電車とかを)逃す」、「(誰かがいなくなって)寂しい」っていうのが主な意味ですが、要は不在になることを悲しく思う気持ち、と捉えています。

 ぞっと、は彼の名前の由来なので付け足しました笑

★英語メモ:shiver down one's spine 背筋が震える

I could turn your night alive, would it be wrong to trust me?
君の夜を生きてるように灯そうか 僕を信じるのは間違いかも?
僕だったら まるで死んでる君の夜に明かりを灯せるけど 僕を信じるのは間違いかも?

 生きてるように変化させる、が日本語だと自然な訳が思いつかず、死んでるところから変化させる、と入れ替えました。

Only inches and inches away
たった数インチ 数インチ離れている
あとたった数センチ 数センチのところにいるのに

 inch awayですぐそば、という意味のようです。なのでそのエッセンス+「~なのに」としたのは後半でI can’t take it anymore ~あたりの歌詞があるためです。もう少しなのに、という惜しさ、諦めの成分をここで入れておくのがよいかなと思いました。

★英語メモ:inch away from
《be ~》~の目の前[すぐ側]にいる[ある]
inch away fromの意味・使い方|英辞郎 on the WEB (alc.co.jp)

It’s not black and white, there’s only so much words can convey
白黒つけられるものじゃない 言葉が伝えられることは限られている
白黒つけられない 言葉で伝えられることは限られてる

 ここは割と直訳です。英語メモのは初知りでした。調べてよかったです。

★英語メモ:only so much/many
used to say that there are limits to something:
ONLY SO MUCH/MANY | 意味, Cambridge 英語辞書での定義

I could be human or there could be more that I could say
僕は人間なのか ほかにこれだって言えるものはもっとあるだろうか
僕は人間だと言えるのか 他の選択肢だってあるんだろうか

 ここのcould beの訳し方は結構迷いましたが、なるべくニュアンスが入らないようフラットに訳したつもりです。

So, can you hear?
ねえ 聞こえる?
ねえ 聞こえる?

 ほぼ直訳です。

I’m afraid I’ll disappear
消えるのが怖い
消えるのは怖いよ

 ここもほぼ直訳で、周りの口調と合わせた程度です。

I’m a wanderer, my dear
僕は放浪者 愛しいひと
僕は放浪者 そうだよね

 my dearは日本語に訳しづらかったんですが、とにかくそれを伝える相手がいるということで「そうだよね」を足しました。
 個人的にはここの歌詞(タイトル)は I'm wandering ではなくて I'm a wandererであるのがとっても重要なんだと思います。現在進行形は、終わりと始まりがある動作の途中なのですが、そうじゃなくてwanderする者、と自分を定義している。さまよっている、ではなく、さまよう人、と言いきるのはそれがアイデンティティになってしまっているような切なさがあると思います。

Falling down like lonely tears
孤独な涙みたいに落ちてゆく
孤独な涙みたいに落ちてゆく

 ここも直訳です。

Could you be alone with me?
僕とひとりになってくれる?
僕とひとりになってくれる?

 ここは漢字を「独り」にするか迷いましたが、aloneが必ずしもネガティブな意味合いを持たないことをふまえてひらがなに開きました。

I’m an untold archetype, there’s a reason why they all evade me
僕は言い表せられないアーキタイプ(元型) 皆が僕を避けるのには理由がある
いわゆるこういうタイプの存在って僕を言い表せる言葉はなくて だからみんな僕を避けるんだろう

 この部分はuntold archetypeがそもそも訳しても意味が分からなくて難しかったです。先に単語の訳を載せると、こんな感じなのです。
 ここだけわかりづらいので引用の箱に入れますね。

★英語メモ
・untold
 1.言い表せない
 2.〔数量が〕無数の、計り知れない、膨大な
 3.〔被害などが〕甚大な、莫大な
untoldの意味・使い方・読み方|英辞郎 on the WEB (alc.co.jp)

・archetype
 1.典型、原型
 2.元型、アーキタイプ
  ◆スイスの心理学者カール・ユングの用いた心理学用語。人間の心の深層にあって遺伝的に伝わり、集合的無意識を作り上げている心像の基本的な型で、普遍的な原型には「母」「再生」「精神」「トリックスター」の四つがあるとされた。
 3.《生物》原型
archetypeの意味・使い方・読み方|英辞郎 on the WEB (alc.co.jp)

 a typical example of something, or the original model of something from which others are copied:
 the original model or a perfect example of something
ARCHETYPE | 意味, Cambridge 英語辞書での定義

 「人間の心の深層にあって遺伝的に伝わり、集合的無意識を作り上げている心像の基本的な型」。ほう……。
 英語の方がわかりやすいかもしれません。「典型的な何かの例、もしくはコピーされた何かのオリジナルモデル」「オリジナルモデル、もしくは何かの完璧な例」
 ――ということで、こういうタイプって分類できる何か、という理解をしました。そしてuntoldっていうことは、そういう分類やオリジナルモデルを持っていない、ということなので、この……「いわゆるこういうタイプの存在って僕を言い表せる言葉はなくて」という悪あがき的な訳になりました……。もっとスマートに訳したかったです。笑

Lost just out of sight? Well you won’t be alone now
ちょっと目を離して見失った? まあ君は孤独ってことにはならないか
ちょっと目を離せば見失う? それならひとりでいるわけじゃないってことになるね

 ここは原文の意味が上手く取れなくて、間違ってるかもですが、失くすもの・見失うものがある=そばにいるものがある、という理解で、それが少しわかりやすくなる日本語訳にしてみました。

I could be yours, kept alive in the shallow breaths you try to hide
僕は君のものだったかも 浅い呼吸に何とか生かされるまま 君は隠れよう(隠そう)とする
僕は君のものだと言えるのかも 呼吸はずっと浅いまま生かされて 君は隠そうとするけど

 ここはほぼ直訳です。could beの訳し方をI could be humanのところと合わせてみました。

Only inches away
わずか数センチ 離れて
あとたった数センチのところにいるのに

*繰り返しの歌詞については割愛します

So can you hear?
ねえ聞こえる?
ねえ聞こえる?

I’ve lived here, I’ve lived here waiting, it’s been some time
ここで生きてきた ここで待ちながら生きてきた いくらか時間が経った
ここで生きてきた 待ちながらここで生きてきた いくらかの時間が経った

 ここもほぼ直訳です。淡々とした言い方でもいいんじゃないかと思って日本語もほとんどそのままにしました。

I can’t take it anymore, I’m one step behind
もう耐えられない 一歩すぐ後ろにいる
もう耐えられそうにない あと一歩だったけど

 私はこの曲をthey all evade meな状況からdisappearに近付きゆく段階の感情を歌っていると思っているので、「~けど」を付けました。

★英語メモ
これ以上は無理です/私はもう我慢できない。
i can't take this anymore.の意味・使い方・読み方 | Weblio英和辞書

*これ以降はすべて繰り返しなので、翻訳の方だけ載せていきます。

So, can you hear?
ねえ 聞こえる?

I’m afraid I’ll disappear
消えるのは怖いよ

I’m a wanderer, my dear
僕は放浪者 そうだよね

Falling down like lonely tears
孤独な涙みたいに落ちてゆく

Could you be alone with me?
僕とひとりになってくれる?

It’s not black and white, there’s only so much words can convey
白黒つけられない 言葉で伝えられることは限られてる

I could be human or there could be more that I could say
僕は人間だと言えるのか 他の選択肢だってあるんだろうか

So, can you hear?
ねえ 聞こえる?

Can you hear?
ねえ 聞こえる?

I’m afraid I’ll disappear
消えるのは怖いよ

I’m a wanderer, my dear
僕は放浪者 そうだよね

Falling down like lonely tears
孤独な涙みたいに落ちてゆく

Could you be alone with me?
僕とひとりになってくれる?

Could you be alone with me?
僕とひとりになってくれる?

個人的な曲の解釈

 私はこの曲を「In the back seat of your mind, do you feel as though you’ve always known me?」の部分からも、自分の中にいる自分との対話だと解釈しました。
 自分の中で相反する自分たち。
 みんなから避けられてしまうけど受け入れられたい自分や、それがしんどくてもう諦めたい自分とか。
 そうやって解釈すると、Could you be alone with me? はその相反する自分たちがひとつになれるかな、という意味かなと解釈できます。自分の中のこういう部分はまだこうしたいかもしれないけど、こちら側に来て自分としてひとつになれるかな、みたいな……伝わるでしょうか……。

 歌詞全体を見ると、自分のことを俯瞰してる自己というか、僕には「僕」みたいな部分もあるって分かってるでしょう、見たくないかもしれないけどね、――みたいに読めてくるのです。個人的には、ですが。

 MVのアニメーションからも、自分と自分が向き合う、重なり合うような場面があったり、地球に対しての眼差しが場面場面で攻撃的だったり穏やかなものだったりと、色々な感情が見えるように思います。

 AlienであるレンだからこそなMVで、untold archetypeとかもAlienだからこそだとは思いましたが、自分の中での葛藤や周りとのズレは汎用的なものだと思いますし、何より和訳でもほとんど手を加えなかったシンプルな言葉でつづられたサビは、それだけで切なくて良い歌詞だなと思いました。

So, can you hear? ねえ 聞こえる? 
I’m afraid I’ll disappear 消えるのは怖いよ
I’m a wanderer, my dear 僕は放浪者 そうだよね
Falling down like lonely tears 孤独な涙にみたい落ちてゆく
Could you be alone with me? ぼくとひとりになってくれる?

 解釈語りはこのへんにして、この記事は終わりにしようと思います。
 少しでも原曲歌詞の理解の助けになっていたら幸いです。

 そしてここまで読んでくださったあなたに感謝です。ありがとうございました!

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