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さよーならまたいつか! 米津玄師 楽曲分析 アナライズ

はじめに

生徒さんが弾き語りしたいと持ってきたのがこの曲、最初に聴いた感想は「なんだこれ!??」でした
レッスンの予習も兼ねて採譜していると、コードの使い方だったりメロディワークがすごく面白い曲だったので、楽曲分析を書いて見ることにしました
楽譜は1番のA,B,サビの3部構成にしました
2番にもちょっと触れているところはありますが、基本的に1番のメロディ&コード進行で楽譜はつくってあります
また、間奏などは記載していないので尺の長さなどは曲を聴いていただければと思います
※全体の楽譜は最後にアップしておきます



Aメロ

Aメロはこんな感じ


前半

▪︎コード進行(前半4小節)

前半4小節のコード進行は Ⅳ-Ⅰ-Ⅲ7-ⅥmマイナーのⅤ7-Ⅰmですね
特筆する箇所はないかと思います


▪︎メロディ(前半4小節)

そしてメロディは3拍のアウフタクトから入ります
少し長めの入りなので焦らしポイント 焦らし上手な入りです
後述しますがこの曲はA・B・サビとメロディは全てアウフタクト入りです


そしてここの"B"の音

1番はこの通りですが2番の"しぐるやしぐるる"の"る"B♭のブルーノートを入れてきてますね
"しぐるる"とは「時雨の雨が降る」という冬の季語だそうで、この何処か寂しげな様子をこのB♭の音で表現してきたかと思うと粋ですね


そしてB7のここの音

B7で"D#"の音が鳴っていてもメロディは"D"を鳴らすという、全体でみればB7(#9)の雰囲気にさせてます
このあえて導音のD#を使わないところが米津節を感じるところ


後半

▪︎コード進行(後半4小節)

後半4小節 見た目がまず不思議な感じがしますね

Em7Ⅵm7E♭m7経過和音Dm7Ⅴm7ときたらCM7ⅣM7に行くセカンダリードミナントDm7→G7→CM7の響きを想像してしまいますが、
男のDm7一発
˝G7が隠れてるのかな次はCM7だろうと思っていると"C#m7(♭5)"#Ⅳm7(♭5)が登場

ここのメロディがGに"解決"している中での#Ⅳm7(♭5)は自分もよく使う常套手段

#Ⅳm7(♭5)はⅥmのコードトーンを含んでいるので ※C#m7(♭5) C# "E G B"
"メロディは終わってるけどフワッとした浮遊感を出したい"ときに最適

次のコードがサブドミナントマイナーのCmがくるので
E→E♭→D→C#→Cとベースラインが繋がっていくので、クリシェになるようにチョイスされているコードとメロディの兼ね合いがこの曲の雰囲気の肝ですね


▪︎メロディ(後半4小節)

後半に限らずAメロ全体のリズムに言えることが、"8分音符""付点8分+16分"で構成されていること

同じリズムを繰り返すことで耳に残りやすく口ずさみたくなりますが、これを狙ってやっているのか感覚でやってるのか気になるところ


曲を聴いた感じここはB音が鳴ってると思いますが、B♭表記の楽譜もちらほらあるみたい ここは好みでOK

CmC E♭ Gに対してのこのメロディはぶつかっていそうですが速いフレーズなので問題なし 気になる方はヴォイシングを考えたりするといいかも


Bメロ

Bメロはこんな感じ

前半

▪︎コード進行(前半4小節)

マイナーのⅣ-Ⅴ-Ⅰ
2回目はB7-E7とセカンダリードミナントと雰囲気を変えて,次のAm7にスムーズに繋げる仕様


▪︎メロディ(前半4小節)

Am7のところでF#m7(♭5)のコードトーン,EmのところにEmのコードトーン

コードを意識したメロディがかっこいい

特にⅡmAm7長6度F#の音がささるのでオススメ
ドリアンの雰囲気がピッタリ


コードを意識したメロディの次はスケールを駆け上がりB音E7の5度に着地
この使い分けがホントうまい

前半は全体的にメロディがシンコペーションして疾走感があるのでそこを意識するといいかも


後半

▪︎コード(後半4小節)

ここではD#dim7とB7の代理コードを使ってより不安定さを煽ってEmに向かいます

すぐさまDm-GとⅣMCM7へのセカンダリードミナント
AメロではスルーされていたGがここでは入ってきてます

CM7へは向かわずAm7-D7-GM7とメジャーのⅡ-Ⅴ-Ⅰで最後だけ明るく終わらせてますね


基本Bメロは最後を除いてマイナーのⅣ-Ⅴ-Ⅰ
全体で2小節のSD-D-Tの構成になっていますが毎回違う雰囲気にさせて飽きさせないようなアレンジが見られます


▪︎メロディ(後半4小節)

後半は前半とメロディの使い分けがうまい それがここ

ド,レ,シ,ド,ラ,シ,ソ,ラ と スケールを一つ飛ばして一つ戻る下降法

そしてGのコードトーンからのスケールを下降してGで解決

華麗なメロディさばきですね、リズムや音の使い方、使う場所、聴き手を飽きさせないテクニックが散りばめられています


サビ

全体像はこんな感じ

▪︎コード(8小節×2)

サビの初めは盛り上がり王道コード進行 Ⅳ-Ⅴ-Ⅵm-Ⅰ からスタート
全体的にSD-D-T構成ですがここでもいろんな工夫が見受けられます

3小節目ではD7へは行かず、EmのⅤ7B7を使用してEmへの誘導を強くしてからの"E7"
明るく解決しながらもドミナントなので次へ繋ぎやすくしています
この”裏切り"が音楽では大事ですね


次はAメロの雰囲気を踏襲しつつのDm

次がC#m7(♭5)で「Aメロと同じ流れね!」なんて思っているとここで"F#7"!!

C#m7(♭5)一発だと#Ⅳm7(♭5)の解釈でやってきていたのがF#7が入ると

BmⅢmへのⅡm7(♭5)C#m7(♭5-Ⅴ7F#7で考えるのが一番しっくりくるのかなと

Ⅲmへのセカンダリードミナントはあまり見ない型なので、他にもこれが使われている曲があったら是非教えてください


またF#7の時にメロディがGに解決しているので全体でみると”F#7+G音”F#7(♭9)

F#7(♭9)→"Gdim7" と曲全体でディミニッシュの雰囲気になってるのもすごいですね

ドミナントに対してメロディは解決してるとこんな雰囲気になるんだ

と覚えとくと何かに活かせるかも!
※通常はⅤ7にメロディが解決してるとただのアボイドになりがちなので注意


そしてCmサブドミナントマイナー-Dの流れ

後半8小節も前半8小節と同じような流れですが、やはり少し変化させてくるアレンジがひかります

サビ全体が基本SD-D-Tで進行していきますが
2回し目には
・Dmのところが通常ⅡmのAmへ
・オレンジ囲いのところが盛り上げる時に最適な”ⅥmからⅡmに向けて”のベースライン上昇

へと変えてきてます

ただの繰り返しにならないように変化させるのはもはや現代の必須テクニックですね


▪︎メロディ(8小節×2)

サビのメロディを聴いた第一印象は、Aメロ,Bメロとは打って変わって聴きやすいメロディだなと感じましたやっぱりサビは耳に残って口ずさみたくなるようにシンプルにいきたいですね

特筆すべきは最初のアウフタクトから始まるところ
G,B,D,Eと始まりますが相対音的にいうとド,ミ,ソ,ラ

名付けて"ドミソラ旋律"です

某"S"MAPさんの某"夜空ノムコウ"のサビ あれから〜と同じ入りですね

拍の頭”ラ”の瞬間にⅣM7がくることでワクワク感と切なさが入り混じったような雰囲気が出てきます


そしてサビで重要なのがリズム
全体的に8分音符主流でこの

"ターッタタタタタ"というリズムが続きます

歌うときはこのリズムを体に染み込ませてから歌うとGood

同じリズムを繰り返すのはやはり耳に残りますね


サビメロディで特にすごいなと思ったのがCmに対してのメロディ
前半はCmのコードに対して素直にB♭の音を使っていますが

サビメロ前半Cm

後半はCmに対してコードを意識したBの音を使用!

サビメロ後半Cm

これにより後半はメロディックマイナーのような"CmM7"の響きになっています

これは狙ってやってるとしか思えませんが米津さんの頭の中には色んな響きが鳴っているんでしょうね


最後に

できるだけ分かりやすくを心掛けつつも、思ったことを
そのまま書いたので少し難しい内容になってると思いますが
どこかしらほんの少しでも参考になれば嬉しいです
最後に全体の楽譜を置いておきます

※Aメロ、Bメロ,サビと完全に分けた楽譜になってます 
間奏やちゃんとした尺は原曲を聴いて確かめてみてください

少しでもいいなと思っていただけたら寄付をしていただけると嬉しいです!

では!

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