怒ると怖い神様
ある日、太陽さんがブラビョンに遠い国のお話をしてくれました。
昔むかし、その国には我がままな王様がいました。
王様は思いどおりにならないと、家来たちに当たり散らすのです。
王様が王位についたばかりのころは、王様のことを思って助言をする家来もいましたが、王様にとってはうるさいだけでした。
そのため、王様は自分に逆らう家来を次々と首にしていきました。
ブラビョンは、太陽さんにたずねました。
「そんな王様なら、国民から嫌われていたんじゃないの?」
「国が豊かなときは、国民は王様を嫌ってはいなかったんだよ。まぁ、関心がなかっただけなんだけどね」
と太陽さんがこたえました。
そして、王様の身勝手さはどんどん大きくなっていきました。
すると、家来の中には王様の命令どおりに働くと、自分たちも贅沢ができることに気づいたのです。
そのため、不正ばかりが行われるようになり、豊かだった国はだんだんと貧しくなっていきました。
ブラビョンは、太陽さんにたずねました。
「正そうとする人はいなかったの?」
「もちろん、正そうとする人はいたけれども、権力によって追いやられてしまったんだ」
と太陽さんがこたえました。
ブラビョンは、なんだか悲しい気持ちになってしまいました。
「どうすることもできないの?」
ブラビョンがたずねると、太陽さんがこたえました。
「ニンゲンは苦しくなると、『助けてください』って神様にお願いをするんだ。するとね…」
神様はその願いをうけとると、国民の苦しさが伝わり涙をたくさん流しました。
悲しさの次は、王様や悪い家来たちへの怒りの感情が大きくなりました。
そのため、その国に大雨と大地震がもたらされたのです。
「それじゃ、国民がかわいそう」
とブラビョンが言うと太陽さんが話してくれました。
「犠牲になった人はいたけれども、ほとんどの国民は解放されたんだ。その国を捨てて、ほかの国に行ったんだ。そして、王様はひとりぼっちになってしまったんだよ」