ロンドンの公営住宅 映画「キングスマン」にも登場するアレクサンドラ・ロード・エステートのはなし
イギリス・ロンドンにある英国建築協会付属建築学校 Architectural Association School of Architecture 通称AAスクールに研修に行った時の話です。
AAスクールといえばザハ・ハディドやレムコールハースなど有名建築家を数多く輩出している建築学校ですが、
この研修が今思い出してもかなりきつかった…..
大体のタフなカリキュラムには耐性が出来つつありましたが、
そもそもロンドン研修はほぼ英語。ドイツ語ならそこそこコミュニケーションはとれますが、英語は全然話す機会がなく、研修の数週間前に詰め込みオンライン英会話で勉強しても歯がたたない。
研修中は毎日毎日ロンドン中を歩き回り、資料を集め、カタコト英語でインタビューをして、建築の調査をして、お昼ご飯もろくに食べれず、夜中までクラスメイトとミーティング。その後ホステルで男女ごちゃ混ぜ18人が2段ベットが並ぶ部屋で宿泊。新たな知識や経験は楽しいし、ワクワクしますが、正直毎日ついていくのがやっとで「ひい〜」ってなってました。
AAスクールの話はまた機会があれば記事にします。
さて、ロンドンで印象的だった建築がアレクサンドラ・ロード・エステート(ALEXANDRA ROAD ESTATE)です。
映画「キングスマン」の主人公の実家という設定で登場するほか、さまざまな雑誌、映画のロケ地にもなっているロンドンのブルータリズム建築。
ブルータリズム建築については前回ウィーンのブルータリズム建築についての記事を投稿したのでぜひご覧ください↓
歩道を挟んで低層の建物が両側にずらりと並ぶこの建築はA,B,Cブロックに分けられていて500世帯以上の入居規模だそうです。
室内プランもパターンが複数あるのでそれぞれ説明したいのですが、今回は外観と周辺環境に着目します。
建物は段々になり、それぞれに大きな窓とベランダがあります。ベランダには各々植物を置いたり、椅子やテーブルが出ていたりテントやパラソルを設置していたりして、住人はここでの生活を楽しんでいるようです。
ベランダに置かれたさまざまな植物が人々の生活を感じさせ、この荒々しいコンクリートの建築に柔らかい雰囲気を作り出していました。
ブルータリズム建築の特徴としては型枠に使われた板の接合部や木目がコンクリートの表面に残ったままになっていたりと、コンクリートの荒々しい仕上げ、素材感がみられます。
向かいの建物からみるとベランダや窓が丸見えですが、それぞれ個性のあるベランダが賑やかで楽しい。そんなベランダに柔らかい日の光が降り注ぎ、それぞれ十分な日当たりです。
ここの住人とみられる方々はとてもゆったりとした雰囲気でニコニコと接してくれます。ゆるやかにうねる道を挟んで向かい合うこの配置の関係があるのか住人同士の接点も多いようでとても人柄の良い優しい人が多い印象でした。
室内はセントラルヒーティングが取り入れられていてとても暖かいのだそうです。
建物の裏にまわってみると段々になっているのがよくわかります。球場の観客席のような感じ。
建築家はニーヴ・ブラウン(Neave Brown)でアレクサンドラ・ロード・エステート(ALEXANDRA ROAD ESTATE)はイギリスの指定建築物(listed building)に指定されています。機会があればぜひ室内も見てみたいものです。
本日のおすすめ本
さくさくらでした。