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親方と僕 裏社会

前回の話、厳格な掟に関してもそうだけど、それがどこまでが親方の考えだったのか、意図だったのか、分からない。

あの実践の斬新さと言うのもそうで、一体どこまでが親方の考えたことだったのだろう。

僕の感触では、親方の目指したことを、集めた素材が上回り、食い破って行った。

それは美しく素晴らしい光景だったが、花火の様に儚く消えて行った。

大元のきっかけはもちろん親方で、実験精神、大胆な冒険心、常識を疑い覆す探究心と言う親方の指向性が集まる人、物、事に反映されたことは確実だ。

そうして生まれた場所はおよそ世の常識とはかけ離れたものだった。

社会では存在しないことになっている世界。

誰も気づくこともなく、見ることも触れることもない世界が、でもひっそりとそこに存在していた。

志を持ってやって来る者、何処かから迷い込んだ者、連れて来られた者、半ば収容されたような者。様々な偶然で集まった人達も、まるでそこに居るのが必然の様に、その場をますます革命的なものにしていた。

そんな世界を僕は裏社会として語ってみようと思う。

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