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「花束みたいな恋をした」を観たら、"共感モンスター"になってしまった
エンドロールが終わって、映画館を出てから、しばらくトボトボと歩いていた。映画のことを考えながら電車に乗ったら、あっという間に最寄駅についてびっくりした。
「花束みたいな恋をした」は、ごく普通の、どこにでもいるような男女の、どこにでもあるような恋愛を切り取っている映画だった。出会い方は奇跡的だったけれども。この映画を観てダメージを受けている人はおそらく、似たような経験が過去にあるからに違いない。この映画を刺さるものにしているのは、つまり「共感」だと思う。
恋ってなんだろう、好きってなんだろう 本当に。
もうワケがわからん、ただ一つ言えることは、共感は恋愛のきっかけにこそなるが、恋愛感情そのものではないということ。麦と絹は、お互いに趣味やカルチャーに対する思考が似ていて、「わかる」「同じだ」をたくさんたくさん重ねていった。いつしかその共感が、恋愛感情とすり替わっていったのかもしれない。
「共感」で繋がっていたふたりは、反対に「共感」することでしか繋がれなかったという…。
「花束みたいな恋をした」が、多くの人々の"共感"を呼んでいるということも相まって、もはや皮肉にしか思えなくなってきた。そんなわたしも共感の嵐で特大ブーメランなのですが
でも、この感情を「共感した」のひとことでは終わらせたくないッ!
わたしはハロプロが好きなんだけれども(突然)、モーニング娘。のザ⭐︎ピ〜ス! という曲にこんな歌詞がある。
好きな人が 優しかった(PEACE!)
決して優しい人が好き、なのではない。好きな人が優しくてラッキー!というマインド、素晴らしくない?
趣味が合う人が好き、共感できるから好き という考え方は、本当の好きとは言えないのだろう。もちろん、趣味が合うことはサイコーなんだけれども!もしかすると絹と麦は、趣味が合って共感できる、まるで自分のようなお互いに恋をしていただけなかもしれない。愛は愛でも自己愛でしたー!ってめちゃめちゃ残酷じゃないですか?
実際別れる前に観覧車に乗るシーンで、観覧車に乗ったことないと言った麦に絹が「5年付き合ってても知らないことってあるんだね」(曖昧)と言っていたから、実はふたりはお互いの過去のこと(幼少期の思い出とか、自分自身のこと)を深く話してこなかったのかもなあと思った。
と、ここまで散々言ってきたけど、じゃあ麦と絹は本当にお互いのことが好きではなかったのかというと、そういうわけでもない(どっちやねん)のが本当になんというか……人間の感情って割り切れないものだなって…。
たとえば絹が圧迫面接を受けて泣いているときも、麦はすぐに気がついて部屋着のまま絹のもとへ走っていくし、麦の内定が決まったことを知った絹の表情も、きっと本心だと思うし。相手のために走れること、喜べること、それは紛れもない愛ではないの!?!?この映画、すべてを通して麦と絹のお互いへの感情が結局愛なのか恋なのか情なのか共感なのか分からん辺りがとてもリアルで死にそうになったし、特に後半にかけて描写される壮大なすれ違いが苦しくて「どうしたらいいんだよッ!」って映画館で叫びたかった。
結局麦と絹は別れてしまうけど、一緒に過ごした5年間のなかで辛かったことやモヤモヤしたことはすべて過去に置いて、楽しい思い出だけを花束みたいに(もしかしたらふたりで歩きながら抱えていたトイレットペーパーみたいにかもしれないけど)そっと抱きしめて、ずっと生きていくんだろうなぁと思う。
「花束みたいな恋をした」って、とても良いタイトルだなぁ…本当に。
上映開始15分前ぐらいに思い立って急いで映画館に行ってよかった。Awesome City Clubの勿忘 ひたすらリピートしています。
この映画を観て「共感した」という言葉だけで終わらせる"共感モンスター"にはなりたくなくて感想を書いてみたけれど、「共感」というフレーズをばんばか出しすぎて、結局"共感(使いすぎ)モンスター"になってしまった… (無理矢理のタイトル回収)
お読みいただき、ありがとうございました。
画像引用
https://twitter.com/hana_koi_jp/status/1326359141791657984?s=21
『#花束みたいな恋をした』
— 映画『花束みたいな恋をした』公式 (@hana_koi_jp) November 11, 2020
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場面写真解禁
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人生最高の恋に落ちた麦と絹。
毎日を共に過ごし、夢を追いかけ、社会人になっていくふたりの
忘れられない5年間を切り取った場面写真を一挙公開です📸#菅田将暉#有村架純#はな恋 pic.twitter.com/bcZZK1JdrX
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