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妹思いの兄と兄を避ける妹♯1

いつからだろう?妹が俺に対してあんな態度を取るようになったのは。
○○「姉ちゃん、おはよう。」
理佐「あら、○○。おはよう!お姉ちゃん、今日から大学生だから天の事、お願いね?」


○○「ああ、分かった。」
俺の名前は渡邉○○。高校2年生のどこにでもいるようなごく普通の俺は高校3年生の時に一人暮らしを始めた大学生の理佐姉ちゃん、そして俺と理佐姉ちゃんの可愛い妹である高校1年生の天と一緒に暮らしている。
○○「姉ちゃん、分かってるだろ?天が俺に対してどれだけ冷たい態度をとるようになったか。」
理佐「知ってるよ?でもさ、○○がそんな風なら天も素直になれないんじゃないかな?」
天「おはよう、お姉ちゃん!」

理佐「おはよう、天!よく眠れた?」
天「うん、眠れたよ!」
理佐「そっか、それなら良かった!ほら、○○も。」
○○「おはよう、天。」
天「おは。」
○○「おはじゃなくてちゃんとお姉ちゃんにしたみたいにおはようって兄ちゃんにも言ってくれよ、天。」
天「ウザ。どいてよ、顔洗いに行けないんだけど。」
○○「はあ、俺って天に何かしたのかな?」
理佐「ドンマイ、○○。帰ってきたら天の事について話そっか。」
○○「ああ、うん。行ってきます。そうだ、天!遅刻するなよ?」
天「…。」
理佐「行ってらっしゃい。もう、天?お兄ちゃんの何が嫌なの?」
天「別に…嫌じゃないけど…。」
理佐「そっか。じゃあほら朝ごはん食べちゃいな?一緒に家出るから。」
天「うん!分かったよ、お姉ちゃん!」

いつから天は俺に対してあんなにも冷たくなってしまったのか。まだ、天が小さかった頃は俺に対して優しい笑顔しか見せなかったのにな。
天「お兄ちゃん、大好き!」
○○「お、嬉しいな!お兄ちゃんも天の事が大好きだぞ!」
天「お兄ちゃん、天ちゃんね!」
○○「ん?どうした、天?」
天「天ちゃん、大きくなったらお兄ちゃんのお嫁さんになる!」
理佐「まあ!」
○○「そっか。ありがとうな、天!お兄ちゃんは天が大きくなるのを楽しみにしてるぞ!」
この時の俺は、1歳しか違わない天に何故か真実を明かす事は出来なかった。何故なら兄妹で結婚は出来ないと告げると天の夢を壊しかねないと考えたからだった。
○○「はあ、参ったぜ。これから姉ちゃんがいない時、天と何を話せって言うんだよ。」
ひかる「どうしたん?○○。」


有美子「また天ちゃんの事?」

保乃「どうしたん?まさかまだ天ちゃん口聞いてくれないん?」

○○「ひかる、有美子、保乃おはよう。そうなんだよ。」
ひかる「なんで天ちゃんは急に○○を嫌がるようになったんやろ?」
○○「さあな。それが分かったら苦労しないよ。」
有美子「もしかして、理佐先輩を独占されるから嫉妬してるのかな?」
○○「嫉妬か。でも、そう言われると俺と姉ちゃんが暮らしてる家に入学式が終わってから急に天が住むようになったんだよな。」
保乃「理由とか聞いたん?」
○○「いや、聞いてないんだよ。急に住むって言い出したら姉ちゃんもOK出したしさ。」
ひかる「本当は○○大好き!だったりして。」
○○「それはないよ。」
有美子「なんで?」
○○「今朝だって姉ちゃんにはおはようって言ったけど、俺にはおはだぜ、おは!」
保乃「おは、可愛いやん!」
○○「それだけじゃないんだよ、俺にウザい、どいてよ、顔洗いに行けないんだけどって言ったんだぜ?もうキツイよ。」
ひかる「やっぱり反抗期か理佐先輩を取られると思ってわざと冷たい態度を取ってるのかな?」
○○「天が何を考えていようと俺は天が高校を卒業するまであの家にいるつもりなんだよ。」
有美子「じゃあ天ちゃんが高校を卒業したらどうするの?」
○○「そうだな。今度は俺が一人暮らしをするかな。それで、天から離れた場所で暮らそうと思うんだ。」
保乃「それって理佐先輩に言ったん?」
○○「いや、まだ言ってないよ。でも早いうちに言おうと思ってるんだ。俺の気が変わらないうちにな。」
俺が天の事や俺が一人暮らしをして天から離れようとしている事をクラスメイトの森田ひかる、関有美子、田村保乃に話していたその頃、天は自分のクラスで俺の事を昔のように明るく藤吉夏鈴ちゃん、大園玲ちゃん、守屋麗奈ちゃんに話していた事を俺は想像もしていなかった。








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