2022.12.07. ブラックアダムは筋肉ムキムキのおっさんが大暴れする映画を求める人には満点の作品だ
ブラックアダムを見ました。個人的にドウェイン・ジョンソンの出る映画は筋肉ムキムキのおっさんが大暴れする様子を見るのを目的に鑑賞しているのですが、その観点からするとこの映画は満点の作品でした。
この作品はDC映画のシリーズの一作ですが、特に他のDC映画の予備知識がなくともOKな初見さん歓迎仕様だったのでドウェイン・ジョンソン目当てで見ても大丈夫です。
一応ブラックアダムが『シャザム』と同ルーツの存在だとか、スーサイドスクワッドの司令官であるアマンダ・ウォラーがゲスト出演しているとか、ユニバース的な要素はあります。
あと『シャザム』を事前に見ている観客のみ引っかかるミスリードもあります。
が、そういうのは世界観を補強するフレーバーとしてのみ存在しているだけなので、特に知らなくても面白さを損なうことはないでしょう。
この点では、DC映画特有のゆるやかなユニバースがいい感じに作用していました。
話変わって、ブラックアダム自体のキャラは予告編で想定していたほどヤバいキャラじゃなくて若干拍子抜けしたところはあります。JSA(ジャスティス・ソサイエティ)という正義のヒーロー軍団をボコボコにして返り討ちにする凶暴さはありますが、基本的には話の通じる人だったりするので、善悪もない筋肉狂人は期待しない方がいいです。
ただ、正義を標榜しているゆえに悪党であっても極力民間人の命を奪うことのできないJSAとは違って、善悪の呵責もなく悪い奴らを塵にしていくブラックアダムの暴れっぷりには見ていて爽快感がありました。
世界の危機には対応するのに圧政に苦しむ小国の人々の窮状はスルーする高慢さを非難されるヒーローたちに対して、不可抗力とはいえ悪党たちを問答無用でぶっ殺すブラックアダムの方が人々に支持されるという展開も結構捻ってきたなと感心しました。
こうした単純に善悪に分けることのできないアンチヒーローのブラックアダムだからこそ、本当のヒーローとはなにかと問う終盤の展開ができたんだなと思いました。これぞキャラ造形を巧みに生かした脚本の妙よ……。
というか、かなり真面目に作ってあるなこの映画。
このようにブラックアダムは、筋肉ムキムキのおっさんが大暴れする様を見ようと劇場に赴いたボンクラ極まりない俺への思わぬサプライズがあって見ていた楽しい映画でした。