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お次は何が?

 後頭部にスナブノーズのリボルバーを突きつけられていても、俺は動じることはなかった。
 いきがっているわけではない。
 どう転がろうともそれが運命。
 運命なら粛々と受け入れるべきだ。
 俺は常々そう思っているからだ。

 前方、視線の先の何もない荒野に突き刺さる銛をぼんやりと見ていた。
 
「二回目は俺の当たり。首の皮一枚繋がるとはまさにこのことだな」

「ただのまぐれ当たりだボケ! お前がここから生きて帰れるわけはないんだよ」
 
 悠々とした俺に対して悔しそうに歯噛みするパブロ。
 一応はこの地域の悪党を統べる大悪党だというのに、その態度に余裕はなかった。

 折角仕立てのいいスーツを着て、高そうなチェアに深々と座り、葉巻を片手に手下をぞろりと連れているのに。
 そんなに感情を表に出していてはとりつくった威厳が台無しだ。

「お前、随分と余裕だな。まさかイカサマでもしてんのか、あ?」

「イカサマってあんた……。このゲームでどうやればいいんだ?」

 遥か上空を穿つワームホールに視線を移して俺は言った。
 随分と呆れた口調になっていることだろう。

 目を凝らせば晴れた空に半透明の大穴が空いている。

 世界のどこかに通じているあのデカい穴から何が落ちてくるのか。それを先に二回当てることができたら俺の勝ち。こいつら悪党どもから放免される。街でばったり出くわしても何もされない。逆に二回外したら即お陀仏。

 そんなゲームを俺はやっている。やらされていると言った方が正確か。

 勿論、この場から逃げ出そうとしても無駄だ。
 万に一つ背後の拳銃から逃れられたとしてもライフルの餌食になる。


「次は何が落ちる。さあ、答えてみろ」

 綽綽とした態度に苛ついたのか、パブロが俺に急かした。
 
 一回目は金貨。ビーチボールと答えた俺の外れ。
 二回目は先の通り俺の当たり。 
 そして、運命の三回目は……。

 俺は数瞬考え込み、答えた。

「鯨かな?」

つづく

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