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クズ男と別れたい!!でも別れられない!!


今日こそ、ケンジときっぱり別れよう!

このまま、彼と付き合っていたら自分がダメになる。

待ち合わせの場所で固く決心する。

しかし、約束の時間になっても来ない。

なんの連絡も入らない。

30分たっても現れない。

あと10分待って来なかったら帰ろう。

10分過ぎて帰ろうと思ったとき、

「ワリイ、ワリイ…電池切れちゃってさ~連絡できなかったんだよ」

「なによ!その謝り方は!! 全然、悪いと思ってないでしょ!!」

「あれ、どうしたの?そんなに怒っちゃって。いつもののり子らしくないぞ」

「のり子らしくって何? ケンジのいいなりになって何をされても怒らないのり子ってこと?

なんだか疲れちゃった。もうこれで終わりにしよ。さよなら」

そう言って走り去った。そうしないと、またぐずぐずしてしまうから。

これで、良かったんだと自分に言い聞かせる。

涙で前がよく見えなくなってきた。

時間にルーズで、だらしなくて、女癖が悪くて浮気ばっかりして最低なやつ。

でも、かっこよくて、とびきりの笑顔でいつも笑わせてくれて、誰よりも優しいケンジ。


辛い気持ちに耐えきれず、親友の久美に電話した。

世話焼きの久美は、急いで仕事を終わらせてかけつけてくれた。

居酒屋の個室で、

「もう、あいつのことなんか忘れて、おもいっきり飲もう! とことん付き合うから」

「ありがとう、久美… やっと…別れられた…」

「うん、うん、よかった…よかった…。

しばらくはつらいけど、あんなダメ男のことは、きっぱり忘れなさい。」

友達って本当にありがたい。

久美のおかげで、これで良かったんだって納得できた。

久美とは駅で別れた。

私の家の前に誰かいる。

目を凝らしてみると、そこにはケンジが立っているではないか。

「何してるの?私たちはもう終わったのよ」

「のり子、遅れたことは、謝るよ。はい、これ…」

「なに、これ?」

「開けてみて。これを買ってたから遅くなちゃったんだ」

箱を開けてみると、ダイヤのプチネックレスが入っていた。

「小さくてごめんな……、俺、いつものり子に迷惑ばっかりかけてるから。

頑張って金貯めて買ったんだよ」

「もう遅いよ!! 別れるっていったでしょ!!」

振り払ってその場を離れて家に入った。

窓越しから見ると、肩を落としたケンジの後ろ姿が痛々しかった。

ごめんね、でももう疲れちゃった。


仕事中もケンジの後ろ姿が、ちらついて集中できずミスを連発。

気持ちをいれかえなくちゃ!

必死で頑張って一日を過ごして、少しでも自分をもりあげなくちゃと思い、デパ地下に寄り、少し奮発して美味しいワインとチーズ、普段は高くて買わない高級総菜を買って家に帰った。

家の前に人影。

ケンジだ…。

「のり子、どうしても、俺には、のり子が必要なんだ。

お願いだ!もう一回チャンスをくれないか」

そういうと、その場で土下座をした。

そこに、人が通りかかったので、恥ずかしさもあってとりあえずケンジを家に入れた。

「信用できないわ!」

「そう思うのは当然だ。でも、のり子がいなくなって初めて気づいたんだ。

本当に大事な存在だったんだって」

その場で抱きすくめられて、抵抗しない自分に気づいた。

わたしは、やっぱりケンジが好きなんだ。

もう一回信じてみようと思った。


週末に久美から電話があった。

「どう?元気にしてる? のり子に紹介したい人がいるのよ。

すごく誠実なひとなの」

「久美、言いにくいんだけど、ケンジともう一回やり直すことにしたの」

「え~、何言ってんの!! あんなろくでもないヤツとやり直せるわけないじゃない!!」

「でも、チャンスをくれって土下座までして…」

「あほらし……。ああいう人はね、そういうこと平気でできるのよ!

何度も同じことして、また謝ってその繰り返しよ!」

「でも、今回は本気だと思う! 私、信じてみる!」

「あ~あ、もう勝手にして!!」

久美は、怒って電話を切ってしまった。

でも、私はケンジを信じる。

いつか、ケンジの真摯な態度が本物だって久美もわかってくれる。

明日は、休日だから今夜はケンジとゆっくり過ごせる。

ケンジの好きな料理を作って喜ばせよう。

スーパーマーケットであれこれ選んで買い物をする。

好きなひとのためにお料理を作る幸せをかみしめていた。


ケンジの帰りを待つ。

約束の時間がきても連絡がない。

携帯をならしても留守電。

どうしたんだろう?

事故にでもあったのだろうか?

2時間経過して、やっと電話にでたケンジは、

「あっ、のり子、何?」

「今日、来るって約束したよね?」

「ごめん、今、ちょっとまずいんだよ。後でそっちに行くわ」

周りは、ガヤガヤと騒々しく、女性の声も聞こえる。

きっと、仕事でトラブっって大変なのかもしれない。

来たら、ドンマイって励ましてあげなくちゃ。

そう、自分に言い聞かせる。

でも、この胸のざわつきを鎮めることができない。

後で来るっていいながら、ケンジはなかなか来なかった。

真夜中、部屋をノックする音で目が覚めた。

「のり子ごめん、タクシー待たせてるから。カネ足りないんだよ。早く、早く!!」

お金をせびるケンジ。

一万円を渡して戻ってきたおかねは小銭だけだった。

「なんで、お金もないのにタクシーなんか乗るのよ!?」

「だって、あとで行くって約束したろ? もう電車が動いていないんだから、タクシーしかないだろ?」

一万円っていうお金は、一人暮らしの私にとってはとても大きな金額だ。

それを、お金もないのに平然とタクシーに乗って帰ってくるなんて信じられない。

「のり子が、心配してると思ったから、いちもくさんに帰ってきたんだぜ。

一万円は、今度返すからさ。もうクタクタだよ」

そう言うとアッという間に寝息をたてはじめた。

酒臭い息を吐いて、イビキをかいて寝ているケンジ。

仕事でトラブっているんだと自分に言い聞かせ、帰ってきたらなぐさめてあげようなんてちゃんちゃらおかしいわ。

ばかみたい。

全然そんな深刻な表情のかけらもないじゃない。

やっぱり、久美の言っていた通りだ。

土下座をしてから何日もたっていないのに。

もう既に約束したことも忘れて飲み歩いて。

怒る気力さえも無くなった。

空が白けてきた。

夜が明けてしまった。

今日が休みでよかった。

ケンジは当分起きないだろう。

置手紙を書こう。

くどくど私の気持ちを書いたところで、気持ちが通じるとは思えない。

ただ戸締りをして鍵はポストに入れておいてとだけ書いた。

身支度を整え、そっと家を出る。

こんな朝早くに開いているお店は、なかなかない。

始発に乗り、山の手線に乗り換え久美にメールをした。

山の手線を1周半した頃、久美から返事がきた。

あんなに怒っていた久美だったが、久美の家においでって言ってくれた。

久美は、何も言わず笑顔で迎え入れてくれた。

「朝ごはん食べてないんでしょ? トーストとコーヒーくらいしかないけど」

「ありがとう。やっぱり、久美の言う通りだった」

コーヒーの香りが部屋を包む…。

「いいから。まずは、腹ごしらえ」

涙でしょっぱくなったトーストをかじりコーヒーをすする。

「どう?落ち着いた?」

久美の優しさが身にしみる。

「今日、午後から彼と約束があるんだけど、よかったらのり子も一緒に来ない?彼も喜ぶと思うから」

さすがに、そうそう甘えていられない。

ひとのデートの邪魔をする気はないので、お断りして家に戻ることにした。

ケンジは午後からの出勤なので、その時間を見計らって帰ろう。

ポストを開けて鍵を探したが見当たらない。

部屋のドアを開けてみると、ケンジが、私のエプロンをつけて料理をしている。

「おかえり…のり子。どこに行ってたんだよ~」

「ケンジ!まだいたの?仕事は?」

「今日は休みにしたんだ。のり子と一緒に過ごそうと思ってさ」

。。。

「どうしたんだよ!ボーっとして。 早く入れよ。俺のパスタは評判いいんだ。 イタリアンのシェフに習ったプロの味だぜ。早く手を洗ってこいよ」

私はあっけにとられながらケンジのペースにはまり、何も言えないままテーブルについた。

ケンジのパスタは、確かに美味しかった。

サラダもきれいに盛り付けてある。

食事中もおかしなことを言って笑わせて。

いつのまにか、お腹も心も満たされていた。

「今晩も泊まっていくから」

私の都合も聞かないで、あたりまえのように言って、ごろんと横になってテレビを見て笑っている。

あんなに真剣に悩んで久美まで巻き込んで、悔しいけど、嬉しさをかくしきれない私がいる。

私は一体どうしたいんだろう?

別れたいのか、別れたくないのか?

でも、今、私のそばで笑っているケンジを見ていると、これでいいんじゃないかと思ってしまう。

夕方、近所のスーパーに二人で買い出しに行った。

お好み焼きを作ろうということになり、大阪風と広島風どっちにするかもめたが決まらないので、両方作ることにした。

買い物中も作っている間もずっと、笑いっぱなしだった。

ケンジの人を楽しくさせる能力は天才的だ。

次の日、朝ごはんを作ってケンジを起こして、時間を告げるとなんでもっと早く起こしてくれないんだと急に機嫌が悪くなった。

「じゃあな!」

そう言って家を飛び出した。

取り残された私の心に、再びむなしさが広がった。

ちょうど、そこに久美から電話がかかってきた。

私は、正直に昨日からのこと、自分の気持ちを久美に伝えてみた。

久美は、お手上げというかんじで、

「のり子、今日時間ある?連れて行きたいところがあるの」

今日は、一人でいるのが辛かったのでありがたい誘いだった。

久美と待ち合わせをして、電車に乗り駅から少し歩いた。

一軒のカフェの前。

久美が先に入り後に続く。 入った瞬間、なんともいえないやわらかな空気を感じる。

「いらっしゃい…久美さん、おひさしぶりね」

ひとの良さそうな、真ん丸顔のおばさんが出迎えてくれた。

「こんにちは。 今日は私の友達を連れてきたのでよろしくお願いします」

落ち着いた雰囲気で、居心地がよい。

「久美、すてきなところね。なんか癒されるわ」

「しあわせになるために、みんなここに相談に来るの。私も助けられた一人よ」

私たちは、コーヒーを注文して、しばらくこの空間に浸っていた。

そこへ、にこにこ顔のおばさんがテーブルに着くなり、

「男性で悩んでいるのね、彼は、能天気でルーズでユーモアにあふれてる芸術家って感じかな?」

何も話していないのに、おばさんはズバリと言い当てる。

「すごいです!その通りです。でも、芸術家?っていうのは、ちょっと……」

「あらっ、彼は、芸術的才能は、優れているはずよ」

「そう言われてみれば、センスいいし、色使いもいいし、料理の盛り付けとかきれいです」

「でも、今のあなたといると彼は、その良いところを発揮できないわね。

悪い所にばかり目がいって、そのいいところに気づいてもいなかったしね。

あなたが、直してほしいと思っているところにばかり意識がいっているから、ますますそこが際立ってくる。

ルーズな彼をますますルーズにしているのよ。

だって、あなた彼のいいなりだもの。
彼にとって、あなたはとても都合のよい人ってこと。

でも、あなたにとっては不本意だから、不満がつのり、ストレスがたまちゃうのよね。

彼のことを云々言う前に、まず自分と向き合うことが必要だと思うの。

ひとのことは変えられないのよ。自分が変わるしかないの。

彼の都合にばかり合わせないで、自分らしくいられるようにすること。

そんなあなたを彼がどう思うか?それは、彼の問題。

言いなりにならないあなたから離れるかもしれない。

変わったあなたをみて、彼も変わるかもしれない。

別れるにしても、ちゃんと自分の気持ちに決着をつけないと、いつまでもその思いが意識として心の奥深くに巣くってしまうのよ。
そうして、この先のあなたの人生で、また状況は違っても同じような辛い出来ごとを引き寄せてしまう。あなたが気づくまで何度でも。

今、逃げるように彼から別れても、決していい方向には進まないと思うの。

だって、あなたは、まだ彼のことが好きなんでしょ?

あなたの優柔不断な態度も頭では、別れたほうがいいと思っているのに、感情的には好きだから別れたくないという気持ちが入り混じって、自分でもどうしていいのかわからなくなってるじゃない?

好きという気持ちを殺して別れたとするでしょ?
新しい彼氏が出来て、その彼とうまくいかなくなった時に、きっと元彼との過去を引きずると思うの。

そして、もうひとつの選択肢。
このまま付き合い続けても、今のままのあなたでは、彼に対して常に不満とストレスをかかえていくことになるわ。

彼に振り回される人生ではなく、難しいかもしれないけれど、ありのままの自分、自分に嘘をつかないで生きていく。

たとえば、あなたは、本当は寂しがり屋でいつも会っていたいのに、強がって重い女に思われたくないからって彼の理想の女像を演じていない?

彼と付き合う前から、勉強していた資格の勉強も彼に会うために止めたりしてない?
自分を一生懸命生きている人は、結果的にひとのためにもなる人生を歩むことになるものよ。

それで、もし嫌われてもあなたにとっては、なんにもマイナスになることはないでしょ?

別れて、しばらくは、つらいかもしれないけれど、ひとつ手放したら、その空いたスペースに新しい出会いが待っているものよ。
別れは、新しい出会いの始まりなんだから。

逆に、あなたが変わったことによって、あなたに刺激をうけて、彼がいい方向に変わるかもしれない。
依存しあう関係ではなくて、お互いを認め合う新しい関係を二人で築いていけばいいんじゃないかな。
そんなこと出来ないって思ったら出来ないし、大丈夫出来るって思ったら出来るもんだから」


たしかに私は、自分のことばかり考えていた。

いいなりになったのも嫌われたくないからだったんだ。

好きなのに無理に別れたら、苦しくなるに決まっている。
それは自分が一番よく知っている。
別れても別れなくてもどちらにしても後悔するはめになったはずだ。

このことに気づけてよかった。

そうして、ケンジのいいところも、悪いところも認めて受け入れてみよう。

それができるかどうか試してみよう。

なんだか、気持ちがとても楽になった気がする。

ケンジに対しても優しくなれる気がする。

「久美、私をもう一度だけみててくれる?」

「OK!こうなったらとことん付き合うわよ!」

「ありがとう」

おばさんに、必ず報告にくると約束して、この安らぎの空間を後にした。

不思議なことに、あの日以来、あんなに深刻に思っていたことがウソのように私の頭から消えてしまった。

なぜ、あんなにがんじがらめになっていたんだろう。

別れなければしあわせになれないと思いこんでしまっていたのだ。

心と身体は、未練たらたらなのに。

こんな状態で別れても、不完全燃焼で気持ちが残ってしまう。

自分の気持ちにきちんと決着つけなくちゃ。

もう、待っているばかりの恋愛はおしまいにしよう!

自分の時間を大切にしよう。

中断していた勉強も再開しよう。


仕事を終えてからは、毎日早く帰り試験勉強をした。

夕飯を終えてから、必死に問題に取り組んでいて、時間をみたら既に日にちが変わっていた。

ケンジからの電話。

どうしよう… 出る? 出ない?

電話を取った。

「のり子、今からそっちに行くから…」

「今からって…もう終電終わっているでしょ?言っておくけど、タクシー代ないわよ!」

「ないってどういうことだよ?3千円くらいもってるだろ?」

「今日、お買いものして全部使ちゃったから」

「なんだよ! それぐらい持ってろよ~」

と、あっけなく電話は切られた。

ほんとうは、財布の中には数万円入っている。

なんだか、笑っちゃう。

それぐらいのお金を持っていないのは、ケンジあなたでしょ。

あんなに必死に嫌われないようにと、ご機嫌をとっていたのがばかみたいに思えるくらい断るのは簡単だった。

これでいいんだ。

なんだかさっぱりした気分。

明日のために今日も早く寝よう。

目覚ましをセットしてベッドに入った。


次の日も仕事を効率よく片付けて早めに帰宅した。

試験まで、あと一か月。

食事もそこそこにして、問題に取り組んでいたらまたケンジからの電話。

どうしようか迷ったが、勉強のペースが乱れるので出なかった。

こうやって、少しづつ気持ちの整理がついていく気がする。

1時間くらいたったころ、玄関のチャイムがなった。

扉の向こうにケンジが立っている。

「どうしたの?」

「なんだよ…家にいたのか? さっき、電話したら出なかっただろ?」

「ごめんね、試験が近いから勉強に集中してて聞こえなかった」

「試験勉強してるのか?」

「そう、前に話したでしょう? 資格試験の勉強再開したの」

。。。

なぜか、一瞬、考え込んでしまったケンジ。

「そうか、ごめんな…。 じゃましちゃって… がんばれよ!のり子なら絶対受かるって」

そう言い残し、あっさり帰っってしまった。

いつものケンジらしくない。

でも、なんか、ちょっと嬉しい。

励ましてもらえるなんて思わなかったから。


試験が終わるまで、ケンジから一切連絡はなかった。

お陰で、心乱されることなく勉強に打ち込むことができた。

これは、ケンジなりの気づかいなんだと思う。


久しぶりに、同僚に誘われ食事をして帰った。

家の前にケンジが立っている。

「どうしたの? 連絡してくれたらいいのに」

「連絡したら、断られそうな気がしてさ。ちょっと話しがあるんだ。   ちょっとだけ時間いいかな?」

いつものケンジらしくない真剣なまなざし。

「あのさ、のり子はさ、俺の自慢の彼女なんだ」

「どうしたの?急に……」

「のり子は頭が良くて、一流企業に勤めていて、でもそれを全然鼻にかけたりしないし優しいし、俺さ、のり子ならなんでも俺の言うことを聞いてくれるって思ってた。

思いたかったんだ。 それで自分への愛情の深さを試していたんだと思う。

こんなことしてしてたら、いつかのり子が離れると心のどこかではわかっていたんだと思う。

でも、ぐうたらでいいかげんな俺はそれを感じないようにしていたんだ。

のり子が、資格の勉強をしだして、もっと高みを目指しているのをみて、俺にはやっぱり不釣り合いだって思った。

でも、俺やっぱり、のり子が好きなんだよ。

だから、よーく考えて出した結論を言う!!

今まで諦めていたデザインの勉強に挑戦してみることにした」

思いがけないケンジの言葉。

「ケンジ… 絶対大丈夫よ!

ケンジは、芸術的才能あるんだから絶対大丈夫!!」



おばさんが言っていたとおりだった。

相手を変えることはできない。

自分が変わるしかないと。

私がかわったことによって、ケンジをも変えてしまったのだ。

私は、ケンジを誤解していた。

それがわかって本当によかった。

ケンジが仕事で成功するかどうかは、わからないが、今から心配しても仕方がない。

そう、私たちは、今を精一杯生きることしかできないんだから。

おわり



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