ブサイクに生まれて良かった!!【4】初めての恋だったのに~
昨日までの、食欲旺盛な私は、姿を消し、レオのことを考えると胸がいっぱいで、果物しか喉を通らなかった。
こんなことは、生まれてから今までで初めてのこと。
熱があるようなフワフワした感じ。
お部屋に戻り、ぼーっとしていたら、部屋をノックする音。
マリアさんかなって思ってドアを開けたら、そこには、レオが……、
心臓が止まるほど、ドキッ!
「ブー子さん、朝食の時は、失礼しました。今、戻ってきたんだ。アンデルセンとマリアが言っていたが、あまり食欲がないみたいだね?どこか具合でも悪いのですか?」
「ぜんぜん、大丈夫です。レオがいなかったから。食べる張り合いがなかっただけ…」
わけのわからないことを言って、モジモジごまかす。
「マサオから連絡があって、明日ランチを一緒にすることになったのですがいいですか?」
「レオにひとつお願いがあるの。内緒なんだけど、もしかしたらマリアさんってマサオのこと好きかも……だから、明日のランチ同席させてあげてもいい?」
「ブー子さんもそう思っていたのですね。僕も同じように感じていて、マサオは、はっきり自分の気持ちに気づいていないかもしれないが、なんとなくマリアのことは、気になっていると思うんだ。
よしっ!明日は、庭でパーティーしよう!アンデルセンたちも誘って…」
「いいわね!楽しみ!」
「ブー子さん、今日は、観劇を観に行きましょう。とても良い席が手に入ったんです。観劇なだけあって、感激すると思います!」
「プッ、おやじギャグ」
「一時間後に出発しますよ。クローゼットの中に入っている洋服は、すべてブー子さん用なので好きなのを着てくださいね」
「レオ、なにからなにまでありがとう。すごく感謝しています」
「ブー子さん、喜んでもらえて僕も嬉しいです。それでは一時間後に」
レオと二人で観劇か~嬉しいな~
あ~幸せってこういうことをいうのかしら。
観劇は、レオが言うようにすっごく感激して、涙でグショグショになってしまった。
その顔を見て、レオがほほえましく笑った。
その笑顔がなんとも、素敵に見えた。
あばたもえくぼってあるんだな~
あっ、でもこの世界では、レオはイケ面だったんだわ。
観劇の後は、ショッピングをした。
レオは、気にいったものは、何でもプレゼントしてくれる。
こんなに思い通りになんでも手に入ったら、人間傲慢になってしまいそう~
でも、そこが、人間性の分かれ目なのね。
レオとケメコさんのように。
私もレオのように謙虚でいられますように……。
感謝の気持ちを忘れないようにしなくちゃ。
夜景の見える素敵なレストランで、夕食を取り、どれも美味しかった。
でも、なにより嬉しかったのは、レオとたくさん話しができたこと。
レオは、博識のあるひとで、多方面にわたり知識が豊富だ。
話しは、尽きず、時間があっというまに過ぎていく。
「ブー子さん、今日も楽しかった…ありがとう…明日は、みなで楽しもう。おやすみなさい…」
そう言って、自分の部屋に戻って行った。
レオはけっして、強引なことはせず、私の気持ちを一番に考えてくれる。
でも、今の気持ちは、少しくらい強引でいいのに。なんて自分勝手なことを思ってしまう。
レオに早く自分の気持ちをを伝えなくては……..。
ばらの花びらのバスタブで、そう決心した。
晴天に恵まれて、心地よい風も吹き、ガーデンパーティーには、最高のお天気に恵まれた。
マサオも到着し、マリア、アンデルセン、庭師やコック、働いているみんなが庭に集まり、食べ、笑い、歌い、おしゃべりして楽しい時をみんなで過ごせてなんてハッピー。
マサオとマリアさん、レオと4人でおしゃべりしていたらレオがぎこちなさ満点で、
「ブー子さん、あちらに見せたい花が咲いてるんだ。案内するよ」
と、マサオとマリアさんを意図的に残して、その場を離れた。
その後、二人とも、とてもいい雰囲気になり作戦大成功!
と、そこへ突然、ケメコがレオを訪ねてきたという知らせがはいり、レオが席をはずした。
その後、レオがケメコを伴って庭に現れた。
「ブー子さん、友達のケメコさんが、来てくれたんだ。紹介するよ」
「はじめまして、先日のパーティーで、お会いしましたが、ごあいさつが、遅くなり申し訳ございませんでした。ケメコと申します。どうぞよろしくお願い致します」
慇懃無礼なあいさつがなんか感じ悪い。
マサオやマリアさんの言っていた通りだわ。
私は、もっぱらマサオとマリアさんと話していたら、ふっと庭のはじのほうを見ると、アンデルセンとケメコさんが何やらヒソヒソ話しをている。
なんか、異様な雰囲気だな~あの二人そういう仲なのかな~
まぁいいか~ 私には関係ない、関係ない…っと…
パーティーがお開きになり、ゲストルームに戻りマリアさんと二人、
「ブー子様、今日は、本当にありがとうございました。とっても楽しかったです。あの~私、マサオさんとお付き合いすることになったんです」
「やった~、マリアさん、良かったじゃない!
マサオは、優しくて頼りがいがあって、マリアさんにぴったりだわ」
「ブー子様…」
うれし泣き、二人で抱き合って喜んだ。
夜、バラの花びらのバスタブに入りながら、明日こそレオに告白するって、心に誓った。
今日も小鳥の声で、心地良く目を覚まし、身支度を整え、食事のテーブルに着いた。
レオの顔色が、良くない。
どーしたんだろう?
なんか、思い悩んでる感じ。
「レオ、どこか調子悪いの?」
食事もすすまなかったようなので、聞いてみた。
「ブー子さん、聞きたいことがあるんだ。
あとで、庭の東屋まで来てほしい…」
「はい…」
あんなに思いつめた顔して、何かあったのかな?
検討もつかない…
もしかして!プロポーズされるのかな~
キャー、どうしよう~
その時に告白しちゃおうかな。
ドキドキ…
東屋で待っていると、レオが来た。
深刻な顔で…
「ブー子さん、単刀直入にききますね。ブー子さんは、アンデルセンを愛しているのですか?」
「愛しているかって…?アンデルセンを?男性としてってことですよね?恋愛感情があるってこと?」
「そうです」
「だったら、愛していません!」
だって、レオのこと愛してるからって言いたかったけれど、恥ずかしくて言えない。
「もうひとつ聞いていいですか?アンデルセンを誘惑したというのは、本当のことなのですか?」
「えっ?…ゆうわく?」
誘惑って、何のことだろう?
はっ!!
最初の日の朝、アンデルセンにウインクしたことだ!!
アンデルセンが真っ赤になってうつむいていた。
あ~純情なアンデルセンが傷ついてしまったということなのか?
「こころあたりがあるんですね?」
「は、はい…」
「なぜ?愛してもいないのに…」
「一度してみたかったから…」
「してみたかった!! お~、ブー子さん、あなたがそんなことが出来る人だとは思わなかった」
「ごめんなさい……」
「ブー子さん、ちょっとひとりにしてくれませんか」
レオは、頭をかかえ、ベンチにうなだれてしまった。
あ~私はとんでもないことをしてしまったのか。
アンデルセンとレオ、二人を傷つけてしまった。
レオに嫌われてしまった……。
部屋に戻り、放心状態のまま、ベッドに腰かけていたらマリアさんが部屋に来てくれた。
「どうしたのですか?そんな暗いお顔をして」
マリアさんの顔をみたとたん、涙が滝のように流れ、我慢できずに声を出して泣いてしまった。
しばらくすると、マリアさんが呼んでくれたのか、マサオがかけつけてくれた。
「どうしたんだ?ブー子らしくないぞ!」
「マサオ~ 私、とんでもないことしちゃったの~」
「なにをしでかしたんだ?」
「アンデルセンを誘惑してしまったの。でも、それは、レオを好きになる前のことなの。それだけは信じて…」
「ブーコが…誘惑?ブー子は、今まで男性と付き合ったこともないのに、いきなりそんなことができるものなのか?」
「そんなことって?」
「その~男と女の関係だよ…」
「私とアンデルセンが? 男と女の関係なんて、そんなことあるわけないでしょ!!」
「ちょっと、ブー子、さっき、誘惑したって言ったろ?」
「ウインクしちゃったのよ!!アンデルセンは、純情だから、傷ついてしまったのね、きっと!!」
「ウ、ウインク? それだけ?」
「それだけ…とは?」
「え~~ ガハハハハ……」
マサオが急に大声でおなかをかかえて笑い出した。
ヒーヒー言いながら、涙まで流して笑っている。
そこへ、ドアをノックする音がしたので、開けるとレオとアンデルセンがいた。
「ブーコさん、ちょっと いいですか?」
「レオ…ほんとうにごめんなさい…」
レオの顔をまともに見ることができない。
「ブーコさん、なぜ謝るのですか?ブーコさんは、何も悪いことしてないですよね?アンデルセンをかばって、あんなこと言ったんですね。アンデルセンが事実を話してくれました。
ケメコさんに頼まれてあんなこと言ったそうなんだ。
誘惑したのは、ケメコさんのほうだったんだ。
僕がブーコさんをあきらめるようにと、ウソをつかせたんだ。
アンデルセンは、ブーコさんが自分を犠牲にしてもかばってくれたことに、良心の呵責をおぼえ、耐えかねて全部話してくれたんだ」
自分を犠牲にして? どーゆーこと?
「ブーコ様、本当に申し訳ございませんでした。僕は、最低の男です」
そう、言いながら、泣き崩れた…。
「えっ、でも…わたし…アンデルセンに…ウインク…」
そこへ、マサオが口を挟んできた。
「ブーコは、誘惑なんかしてないんだよ。ウインクなんか、レオだってファンの女の子たちに何度もしてるよ。安心して、レオに気持ち伝えていいんだよ」
「ちょっと…マサオ、そんなみんなの前で…」
「これで、一件落着。あとは、レオにまかせるよ」
と言って、マサオは、アンデルセンを立たせ、かばいながら部屋を出て行った。
「ブーコさん、嫌な思いをさせてしまい、ごめんなさい。ブーコさんを信じられなかった自分が本当に情けない。ブーコさんが、僕のことを好きになれない理由が、自分でわかったよ。
許してほしいとは言わないよ。
これ以上、ブーコさんを引きとめておくことは、僕のわがままだっていうことに気が付いたんだ。
ブー子さん、この数日間、本当に楽しかった。
僕にとってかけがえのない日々だった。一生忘れない」
え~そんな~ 私はレオと離れたくない!!
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「ブー子、ブー子起きて!」
目を覚ますと、そこは、合コン会場で、あさ子が目の前にいた。
レオは、どこ?
「あさ子、ここにいた彼は、どこに行ったの?」
「やだ~ブー子、ずっとひとりで飲んでたたじゃない?
ごめんね~男子4人だったもんね」
「えっ?4人?、あのこんな感じのブサイク男子いなかった?」
「なに言ってるの?夢でもみてたんじゃない?」
夢だったのか~
と、おもいきや、私が着ているこのワンピースは、レオからもらったものだ。
このネックレスと指輪だって、このバッグもそう!
やっぱり、夢じゃない!!
【5】につづく
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