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助手席の異世界転生【#毎週ショートショートnote】

サスペンスに出てくるような崖の上に二人の還暦近い男女が立っていた。

「この異世界転生装置は二人乗りでな、一人では発動しないんだよ」

そう言われて、幼なじみのテツロウに言われて、ミサトはどう見ても自動車にしか見えない装置の助手席に乗せられた。

「さぁ、異世界に出発だ!」
テツロウはアクセルを踏み込んだ。

装置はミサトの叫び声をBGMに、崖から真っ逆さまに落ちていく。

ドボンという音と波しぶきが、この世界での最後の記憶だった。

ミサトが目を覚ますと、そこは明治時代だった。ガス灯が夜の到来を告げる。装置は影も形もなくなっていた。まさかの過去転生にミサトは戸惑った。

「そういえば、テツロウは?」
辺りを見回しても、テツロウの姿は見当たらない。

彼を探して歩いていると、デパートのショウウインドウに自分の姿が映っていた。

「えっ?これが私?」

ミサトは18歳の姿の見知らぬ少女になっていた。

姿の分からないテツロウを探す冒険が始まった。


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さくらゆき
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