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男子宝石【毎週ショートショートnote】

年末の片付けまつりと称して、家に溢れかえった物を処分していた。
物、物、物!
ごみ袋に詰め込んでいくが、際限ない。
どうしてこんなに要らないものばかり買ってしまったんだろう。
気が狂いそうになる。

「ねえ、お母さんお腹すいたー」
小さい息子の言葉に、深い溜息を吐きながら、ご飯の準備に取りかかる。

何でこんなにイライラしているんだろう、私。
炒め物のジュージューする音が、やけに耳に残る。

息子にご飯を食べさせた後、食器の洗い物を乱暴に済ませて、再びごみ袋を片手に物を捨てていく。

手に入れた時は、とても嬉しかったはずなのに、私は結局ごみを買っていたのだろうか。

「お母さんー、これ綺麗だから、お母さんにあげるー!」
息子が差し出したのは、キラキラ輝くビー玉だった。

おとなにとって、ビー玉なんてガラクタである。しかし、息子には宝石と同等の価値があるようだ。

そうだ、私だって子どもの時は、あらゆるものが宝物だった。

私は息子を抱き締めた。


久しぶりに、毎週ショートショートnoteに参加してみました。
12月らしい題材にしました。

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さくらゆき
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