茨の鎧 #完成された物語
ショートショート、書いたことないけどチャレンジしてみました。
鏡に写る私は、君にしか見えない。
どうか、君には幸せになって欲しい。
私は君の影武者だから。
そう、君は私の光だった。
双子として生まれ、影と悟られぬよう女子として育てられた。
君は私の側仕えに恋をした。
彼女も君を想い、身分の違いに涙していた。
二人がお互いを想っているのを知った時、
「私が君として生きる。遠くに逃れて幸せになって。」
と口にしていた。
心優しい君には戦は似合わない。
血塗られた運命は私が背負う。
茨の道は私が替わりに歩く。
女子の着物を脱ぎ捨て、君の鎧を纏った私は、どこから見ても君にしか見えない。
私は踏ん切りがつかないでいる君に言った。
「私はもともと君の影なんだ。私は私の務めを全うする。」
君には私の着物を着せて、夜遅くに二人を見送った。
どうか、どうか幸せになって。私の光。
数年後、私は首をはねられ、君として荒野で果てた。
こちらの企画に参加してみました。
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