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紫陽花の花言葉 5

病室から兄がフラフラとした足取りで出てきた。

「あの人……あんなに弱々しくなってしまったんだな」
兄の顔は青ざめていた。若いながらも威厳のある姿しか知らない兄にとって、ショックだったのは仕方のないことだった。

「3年前から体調を崩していて。自宅療養していたんだけど、3ヶ月前から急激に衰弱したので入院させたんだ。……もう今夜が峠だって医師せんせいから宣告されてる」

父がこんな状態だというのに、母は兄に連絡をしようとはしなかった。兄は父の現状を知る権利があるはずだ。会う会わないは、兄が決めれば良い。そう思いながらも、兄に連絡を取ることを躊躇していたのは、父の本意が分からなかったからだ。

「なぁ、清明。どうして俺に危篤を報せてくれたんだ?お前が律花さんに責められるだろう?」

「父さんが意識が混濁していた時に、『すまない、夏越』って譫言うわごとを繰り返していたんだ。それを聞いて、兄さんに連絡を取らなくてはいけないと思ったんだ。そうしなければ、俺は一生後悔するって分かっていたから……」

「そうか」
兄は目を閉じ、何かを堪えているようだった。

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さくらゆき
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