見出し画像

恋は猫の雨宿り【#シロクマ文芸部】

恋は猫の雨宿り。突然の雨に軒下に避難した時だった。

先客の風格のあるキジトラの横顔に、心がさざめき立った。

彼は私の存在に気づくと、短くひと鳴きし、どんよりとした空を眺めていた。

ねぇ、こっちを向いて?
私は白いからだを彼に擦り寄せた。

キジトラの君はつれなくて、避けられてしまった。

雨の向こうに、恋しい相手がいるのね。

私の恋は雨があがる前に終わってしまった。


いいなと思ったら応援しよう!

さくらゆき
読んで下さり、ありがとうございます。いただいたサポートは、絵を描く画材に使わせていただきます。