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結婚式ゾンビ【毎週ショートショートnote】

「本当に良いの?」
「ああ、いっきに殺ってくれ。」
生前の僕は、彼女の手で最期おわりを迎えた。

終わりの後は始まりである。
僕は呪術師の彼女によって、10年後生ける屍ゾンビとして蘇った。

生前、皇位継承権を持っていた僕には何も自由がなかった。
お飾りだけの権力、きらびやかな城という監獄、愛してもいない婚約者。
生きているのに死んでいるようだった。

ある年、ひどい日照りが続いた。
作物は枯れ、人民は飢餓に苦しんでいた。

時の皇帝は、雨乞いの為に呪術師を呼んだ。
それが彼女だった。

彼女が儀式を行うと、たちまち雨が降り国難は去った。
誇らしげな彼女の顔に僕は恋に落ちた。

しかし、僕の環境は彼女を愛する事を許してはくれなかった。
僕の恋情に気付いた皇帝によって、彼女は無実の罪で捕らえられ処刑が決まった。

僕は処刑の日に結婚することが決められてしまった。

僕は牢に忍び込み、10年後に発動する蘇生術を施され彼女と心中した。

僕と彼女は満月の夜に蘇り、永遠の愛を誓った。

今宵は蠍座満月。
蠍座が司るのは、死と再生、そしてソウルメイトです。


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