夢見るそれいゆ 241
「…國吉。履き物がビーチサンダルだけど、足どうした?」
國吉先輩のお父さんは、眉間にシワを寄せて先輩に問い質した。
「草履の鼻緒が外出している時に切れてしまいまして…。すいません。」
國吉先輩が火傷のことを隠そうとしているのを、私は察した。
「すいません。先輩は、アスファルトに座り込んだ時に脚を火傷しているんです!
コンビニの氷で応急処置はしたのですが、一応病院に診てもらったほうが良いと思います。」
私の話を聞いて、お父さんは國吉先輩の袴の裾を、即座に捲りあげた。
「これはひどい。なぜ言おうとしない。」
お父さんは低めの声で國吉先輩に質した。
「報告するほどのことではないと思ったからです。」
先輩は目線をそらした。
「あのな、お前の体に何かがあったら、『よしのが悲しむ』ぞ?」
その言葉に、私はこの人が國吉先輩に敢えて厳しくしている理由に気付いてしまった。
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