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紅葉鳥【#シロクマ文芸部】

「紅葉鳥」と貴方の艷やかな声が私の鼓膜を震わす。

人気のない山中、忍んで紅葉狩りをしている私たち。貴方の目線の先には、鳥ではなく角の立派な鹿がいた。

「もしかして、紅葉鳥って鹿のこと?」

「そう。雄鹿が紅葉の時期に求愛する声が鳥に似ているんだって」
そう言いながら、貴方は私の髪に指を絡める。

「何だか切ない響きね」
散る紅葉の中、愛を叫ぶ鹿は、想いを遂げられるだろうか。

私は冷え切った手で貴方の頬に触れた。貴方の体が私に重なり、愛の言葉を囁き続けた。

紅葉鳥はいつの間にか姿を消していた。


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